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阿波座にあるビルの地下に日本酒秘密基地!島田商店


もう数年前になるが、阿波座のビルの地下に信じられない空間があるという情報を得て行ってきた。

その建物は、地下鉄中央線・千日前線の「阿波座」駅の2号出口から真っ直ぐ中央大通りを東に進んで、りそな銀行の角を右に曲がり、3つめの角にある。酒屋さん「島田商店」だ。
 
お店に入るといたって普通の酒屋さん。日本酒の瓶が所せましと並んでいる。しかし…普通の酒屋さんと違うところがある。フロアの中央に地下へ続く階段が…。

まさか…秘密結社の会合が行われているのか!?

階段を恐る恐る下りていく。そこに広がっていたのは「地下セラー」

お店の地下の冷蔵庫も日本酒が保管されていて、実はここが「利き酒コーナー」になっている。
好きな日本酒を、1杯220円で試飲できるのだ。緊急事態宣言が発出されていた間は休んでいらっしゃったが、10月1日から再開している。

吉野杉で造られた酒樽の底板を利用したテーブル2卓と、椅子が置かれていて、テーブルからも日本酒の香りがしそう。
壁には、レトロな柱時計があって、タイムスリップしたような素敵な空間だ。

醸造から3年以上熟成させた古酒も含めて30~40種類の中から選ぶことができる。

自分で選んでももちろん良いが「古酒」の知識が全然無いもので、
代表取締役の島田史洋さんが4種類の日本酒を選んで下さった。
 
1つは山形の蔵元、出羽桜の「枯山水」3年物の古酒だ。
非常にフルーティな味わいで、燗しても美味しいと思う。
 
2つめは灘のお酒「白鷹」の大吟醸。キリっとした物凄くキレの良い味。
1つめの「枯山水」とは対照的な味でそれぞれの味の特徴がよく分かる。
 
3つめは奈良の長龍(ちょうりょう)酒造の「熟成古酒」!
なんと25年物だ。美しい琥珀色をしている。
驚くのがウィスキーのような香り。でもフルーティさがあるので、ウィスキーと梅酒の中間のような味わい。非常にマイルドな口当たりだ。
 
そして4つめは月桂冠の「秘蔵酒」。20年もの。
「大手メーカーが本気を出したらこんな風になりました!」という素晴らしい味わいだ。格調高い香りで、重厚なのにまろやか!

4杯でちょうど1合ぐらいの量になる。
1杯222円なので、これだけ飲み比べて楽しんでも888円!
 
 
それぞれにとても良いお酒なので酔い心地が良い!
ゆっくりじわじわ~っと酔ってきて、急激にガンっと酔ったりしなし。
これを、島田さんは「45度の角度で酔いが上がる」と表現する。
それで、酔い醒めはスッキリ!翌朝には残らない。
こういうお酒が「心酔わすお酒」なのだそうだ。
 
さらにアテを3種類から選ぶこともできる。
「径山寺味噌」「梅干し」「吟醸酒粕漬くりぃむちーず」
それぞれ1皿222円だ。
私はくりぃむちーずを食べたが、最高に美味しかった。
実はこのくりぃむチーズは、長龍酒造が作ったもの!そりゃ日本酒に合う!

しかし、ご注意いただきたいのは、あくまでこのお店は酒店であり、これは有料試飲コーナーであるということ。

日本酒の良さを多くの人に知ってもらいたいという思いで営業されているので、グループでの利用はできない。
そして、地下セラーでの会話は、お酒の話だけ。
日本酒の味をじっくり楽しんで、酔っぱらう前にさっと帰るようにしよう。
気に入ったお酒を1階で買って帰るとなお良い。

日本酒の楽しみ方は様々だ。
温度はもちろん、おちょこの分厚さ、材質によっても味わいが変わるし、合わせる料理によっても違う。
「クラシック音楽のようで、ジャズに近い」と言う島田さん。

また、お客さんの国籍によっても、味の好みが全く違うらしい。
アジアからのお客さんは日本酒の味を好むらしいが、ヨーロッパ圏のお客さんは、熟成された古酒の味が好きだという。故郷の蒸留酒に似てるからなのだろう。

私たち日本人が、日本酒を呑んでどこか懐かしい気持ちになるのも、同じ理由なのだろ思う。

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