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Suchmos HSU氏死去に思うこと

Suchmos(サチモス)のベーシスト・HSUの死去に関してネット上で噂されている死因の真偽について語るつもりはない。

ここではバンドの音楽性について振り返ってみたいと思う。

サチモスは今年2月に活動休止を発表したが、その背景の一つにHSUの病気があったのは間違いないと思う。それと同時にサチモスの音楽に対する需要が低下したことも要因ではないかと個人的には思っている。

立て続けにサチモスとNulbarich(ナルバリッチ)はブレイクしたが、おそらく、サカナクションのリリースペースが低下したスキをうまくつき、J-WAVEやスペースシャワーTVでプッシュしやすい、一般受けと通好みがミックスされた、お洒落でアーティスティックな感じもするバンドとして需要があったのだと思う。

音楽性は一言でいえば、ジャミロクワイとマルーン5の中間で、ジャミロクワイ寄りなのがサチモス、マルーン5寄りなのがナルバリッチって感じだった。
でも、そうした音楽をさらに歌謡曲化した=邦楽好きにアピールしやすいOfficial髭男dismやKing Gnuがブレイクしたおかげで、サチモスとナルバリッチの印象は薄くなってしまったってのはあるのではないだろうか。

それでも、ナルバリッチは従来のイメージを壊さない範囲でイメチェンをしていたから、いまだに新曲が出れば、TOKIO HOT 100の上位にランクインできるくらいの人気は保っている。

ところが、サチモスは売れた「STAY TUNE」や「808」の路線を拒否するような音楽活動になったからラジオフレンドリーでもなくなってしまったんだよね。
余談だが、「STAY TUNE」って正しい表現は「STAY TUNED」だよね。歌詞で「頭だけ良いやつ もうGood night」って言っているくらいだから、彼らは頭は良くないんだろうねって、ヒットしていた当時に感じたことを思い出してしまった。

話は戻るが、NHKのワールドカップ関連のタイアップ曲「VOLT-AGE」がイマイチだったことがファン離れを起こした原因だよね。本来ならこういうスポーツ系タイアップは新規ファンを獲得できるのに、アンセム度の低い楽曲を提供したおかげでネタにされてしまったからね…。

歌詞にあるby your sideの部分の空耳から“倍野菜”と呼ばれているこの曲が、「STAY TUNE」や「808」のバージョン違いな曲調のものに、いかにもなアンセム感が出る“オーオー”と言っている要素を加えたようなものになっていれば、多分、人気はさらにに上がったんだと思う。

でも、彼等はアーティストとしてのプライドからそれが許せず、スポーツ関連のタイアップ曲なのに、アンセム度の低い曲を提供してしまった。嫌なら断れば良かったのだが、断れなかったんだろうね。それで、せめてもの反抗のつもりで、ああいう曲を出してしまったんだろうね。しかし、それがバンドの人気を低下させる要因になってしまったんだよね。彼等のコアなファンは喜んでも、ライト層やスポーツファンは喜ばないからね。

NHKのラグビーW杯絡みのLittle Glee Monsterのタイアップ曲「ECHO」みたいなアンセミックなものが本来は求められているんだよね。その辺の見極めができなかったのが敗因かな。

しかも、この曲が酷評されたことに気を損ねたのかどうかは知らないが、それ以降の活動はどんどん、キャッチャーさから離れていってしまった。まぁ、それまでもやりたいものと求められるものとの間で闘ってきたんだろが、もう少しうまくやれれば延命できたのにねって思ったかな。


※画像は公式ホームページより

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