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アイドルマスター ミリオンライブ! 第1幕

「アイドルマスター」シリーズは「ラブライブ!」シリーズと並ぶアイドルアニメ(正確に言うとアイドルものメディアミックス作品)界の2大巨頭だ。しかし、「アイマス」は「ラブライブ!」ほど非オタには認知されていない。それどころか、オタク界隈でも自分のようにそんなに詳しくない者も多い。

その要因は一言で言えばシリーズに属する作品が多いことに尽きるのではないかと思う。

ゲームシリーズだけを数えてもWikipediaによると現時点で25作品もある。これにスピンオフも含めると何シリーズと数えていいのか分からないテレビアニメや、何タイトル出ているのか分からないCDもある。
現時点ではスマホアプリ限定のコンテンツや舞台展開のものを含めても6シリーズしかない「ラブライブ!」シリーズに比べたら敷居はかなり高いと思う。

劇場版の公開というのはオタク向けアニメが非オタに広がるきっかけになりやすいが、「アイマス」シリーズはこれまで、2014年に「THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!」が公開されただけだ。
「ラブライブ!」シリーズも決して多くはないが、無印、「サンシャイン!!」それぞれの劇場版、「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」OVAのイベント上映作品と3本が公開されているので、それに比べても少ないと言っていいと思う。

本作「アイドルマスター ミリオンライブ! 第1幕」は先述した「輝きの向こう側へ!」以来となるアイマスの劇場公開作品となる。

とはいえ、純粋な新作映画でもなければ、これまでに発表された作品の総集編映画でもないし、OVAのイベント上映でもない。これから放送されるテレビの新シリーズ全話を分割して何話かずつにまとめた先行上映に過ぎない。要はリメイク版「宇宙戦艦ヤマト」シリーズなどと同じパターンだ。

テレビ放送時なら毎回入るオープニングやエンディングがカットされるというのも「ヤマト」で見られるパターンだ。ただ、放送時の中CM前後に入るアイキャッチやアバン部分での前話までの振り返りがそのまま入るのは「ヤマト」ではなかったが…。

毎期のようにアイドルアニメが放送され飽和状態となっている。そのため、奇をてらったようなアイドルアニメが増えている。本作はそうした中で作られた作品だというのを実感する。

メインヒロイン(主人公はマネージャー)と思われたアイドルが1話で他界し、その後は幽霊として出てくる上に、実際のメインヒロインはその死んだアイドルの妹と、そのアイドルの心臓を移植された少女になるというトンデモ展開の「IDOLY PRIDE」(2021年1月期)。

主人公はウソをついている者が光って見えるという特殊能力を持つマネージャー。そして、彼に見出された5人組アイドルのうち、主人公と思われた人物が実は主人公ではなく、本人は劣等感に苛まれているが一度見た他のアイドルの動きを完コピできるという才能がある者が主人公であるというトリッキーな展開となった「シャインポスト」(2022年7月期)。

超人気アイドルがまさかの妊娠という設定だけでもトリッキーなのに、担当医とこの医師が受け持つ別の患者がこのアイドルの双子の子どもとして転生。しかも、このアイドルがガチ恋オタクに殺される。そして、このオタクが自宅に押し寄せることができたのにはウラがあるとして、双子のうちの1人(元担当医)が謎解きをするために芸能界に潜入。さらにもう1人(元患者)はそのアイドルが所属していたグループと同じ名前のグループを立ち上げるという果たしてアイドルアニメにカテゴライズしていいのかどうか非常に迷う「推しの子」(2023年4月期)。

「ラブライブ!」シリーズ第2弾「サンシャイン!!」の主人公グループAqoursのメンバー全員が登場するものの、異次元転生モノに出てくるような無国籍な町が舞台で、しかも、魔法や妖精、話す犬なんてのも出てくる謎設定。それでいて、アイドルものの名残りを感じさせる歌うシーンはあるという意味不明な「幻日のヨハネ」(2023年7月期)。

結局、発起人が仲間集めをし、徐々に賛同者が増えていき、グループとして完成し、大会出場とかライブ開催といった目標をクリア(or失敗)するまでを描くというありきたりなストーリーでは注目されないってことなんだろうね。

本作のアイドルユニットMILLIONSTARSは37人組の大所帯だが、1話スタート時点では34人まで決まっている。主人公とその友人は残る3人のうちの2人だ。通常のアイドルアニメでは主人公は発起人もしくは発起人ではないが初期メンバーであることが多いというのを考えると異例の展開だ。
だから、グループが完成するまでの人集めの苦労とか、メンバーが一致団結するまでの紆余曲折なんてのもほとんどなく、この先行上映版第1幕(テレビ版では4話まで)の段階で既にイベント開催直前という通常のアイドルアニメでは1期のクライマックス直前になるようなエピソードが展開されている。

おそらく、通常のアイドルアニメが2期プラス劇場版でやるくらいの展開を1クール(先行上映版では3本)で描いてしまうんじゃないかと勝手に想像している。

先述した諸作品のようにトリッキーな設定を用意するか、トリッキーではないけれど、お約束的なストーリー展開はせずに一気にたたみかけていくしかない。そうでもしないと、ありきたりなアイドルアニメとして相手にされないということなのだろう。「アイマス」と並ぶ2大老舗の一つ「ラブライブ!」シリーズの「スーパースター!!」がイマイチ評判が良くないのは、あまりにも王道展開過ぎるからなんだろうね。

ところで、自分が本作を見ようと思ったきっかけはTrySailのメンバー3人が揃って出ているからなんだけれど、ぶっちゃけ、見る前は主演・ヒロイン役が多い雨宮天はともかく、出演作品が少なく、事実上声優としての人気よりアイドルとしての人気の方が上の麻倉ももや夏川椎菜なんてほとんど出番がないだろうなと思っていた。でも、もちょもナンスも意外と出番があった。というか、天さんの方が少ないようにも感じた。

《追記》
ところで、MOVIX亀有のスタッフってどうにかならないのかな。上映終了と同時にスクリーン前に仁王立ちして、“清掃するから素早く退出しろ”としつこく怒鳴っているんだよね。しかも、ここって本編上映終了後に売店のCMとか、映画関連のプレゼント告知とかを流すことが多いんだよね。それで、上映終了と同時に“出ていけ”連呼はないだろうって思う。余韻も何もあったものではない。非常に感じが悪い。清掃する余裕がないような上映スケジュールを組むんじゃないよって言いたい。

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