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声春っ!

アイドルグループ、特に秋元系など大所帯グループのメンバーが大挙出演する、いわゆる“村内”ドラマの一番の楽しみといえば、推しメンを発見することだと思う。

結成・デビューからそんなに経っていない推しメンがいないグループなら、そのドラマをきっかけにお気に入りのメンバーが見つかることもあるし、既に推しメンがいるグループでも、ドラマを見たことによって、別の気になるメンバーが出てきて、気づけば推し増ししていることもある。

気になる理由はルックスとか、声質だけではない。推しメンか否かにかかわらず、あるメンバーの演技力に気付かされることも多い。そして、その演技力に対する評価がきっかけで推しメンになることだって多い。

日向坂46の“村内”ドラマは、けやき坂46名義だった時代を含めて本作が3作目だが、過去2回ではいずれも、ドラマきっかけで推しメンを発見することができた。

けやき坂時代の「Re:Mind」では、何故か話さないキャラクターを演じたかとしに興味を持った。

その後、推しメンは増えていったが、日向坂になってから最初のドラマ「DASADA」の時は、既に推しメンになっていたきょんこが意外に演技仕事に向いているのではないかということを認識させてくれた。

そして、今回の「声春っ!」では、主人公の子どもの頃からの同級生で旅館のお嬢様を演じたミホ・ワタナベの演技力の高さに感心した。

何かと主人公グループに文句をつけてくる嫌な奴→ツンデレ→ちょっと変な友人

この変遷がお見事だった。

また、丹生ちゃんのウザかわいい演技も印象的だった。全く演技には見えない、世間が思う丹生ちゃんのキャラそのままだったけれど。
ただ、W主演とうたわれていた割には、ポスターでの扱いも作中での出番も少なかったような気はする。

あと、ひなのの謎キャラも、彩花の寮母さんも良かった。

本作は結構、演技面では主演のみーぱんを含めて健闘していたのではないかと思う。

ただ、作品自体は褒められたものではなかったかなとは思う。
いまだに、アニオタを嫌うドルオタ、ドルオタを嫌うアニオタは多く、自分のように兼務している人は少ないんだなと驚くことも多いが、この作品はそうした両派の争いを助長する恐れもあるのではないかと思った。

アイドルに声優ものをやらせるって、アニオタが発狂しそうだもんな…。
アイドルアニメで声優が歌うのは絶賛するくせに矛盾しているんだよね。

だから気をつけなくてはいけないのに、その配慮が足りない部分もあった。

メンバーの演技自体は良いけれど、作中で声優演技をしているシーンでの声の出し方は、アニオタが批判しそうなものもあったしね。
ミホ・ワタナベや丹生ちゃんは良かったと思うが。

それから、何よりストーリーがなっていない。
最初は、毎週、山寺宏一演じる校長や、平野綾演じる講師が声優になるための訓練とは名ばかりのむちゃぶりをして、それにメンバーたちがどうリアクションするのかを楽しむコント的な作品になるのかと思っていた。

最初の数話はそういう構成だったし、平野綾はかつて、「ミューズの鏡」というほとんどコントな深夜ドラマに出ていたので、尚更、そうなると思い込んでしまった部分もあったのだとは思う。

ところが、メンバーたちの成長ストーリーも中途半端にしたまま、話はあっという間に卒業間近まで時間が飛んでしまう。そして、そこまでやってきたのに、主人公は挫折して声優学校をやめてしまう。
しかも、それからの日々もほんの少ししか描かれないにもかかわらず、作中の時間軸だけはどんどん進み、気づいたら、恩師の校長が死んでしまう。
さらに、その校長の残したメッセージのおかげで、何故か、声優学校をやめた主人公に話題作のオーディションのチャンスが来てしまう。

自分で書いていても、なんだ、このデタラメな展開と思ってしまう。
福田雄一作品だって、もっと、まともなストーリー展開だぞと言いたくなるほどだ。

でも、最終回まで見てみたら、意外ときちんとまとまっていた。花丸ちゃんはあげられないが、平均的くらいは取れていたとは思う。

まぁ、秋元系アイドルのドラマというのは、ツッコミどころだらけなのは当たり前のことだしね。

ミホ・ワタナベや丹生ちゃん以外で良かった点としては、主題歌があげられると思う。「DASDA」の時の“青春の馬”もそうだったけれど、今回の主題歌“声の足跡”もかなりの良曲だったと思う。

色々と文句は言っているけれど、とりあえず、おひさまなら楽しめるドラマではあったと思う。

そして何よりも、丹生ちゃんが可愛い!
丹生ちゃんに花丸ちゃんだ!

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