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BanG Dream! It's MyGO!!!!!

最近、アニメにしろ、ドラマにしろ、従来の編成を無視した放送形態の作品が増えている。

本来なら1月、4月、7月、10月の各クールがわりの週以降(曜日の配置によっては前月末から新クール開始となることもある。たとえば10月1日が火曜日なら週の頭の月曜日、9月30日からスタートといった具合)に新番組はスタートする。

ところが最近はクールがわりする前にスタートする作品が増えている。本作も6月29日というクールがわりより1週間はやい週に放送開始となった。

また、ゴールデン(プライム)枠のドラマではおなじみとなっている初回の放送枠を拡大するやり方を導入するアニメも最近は増えている。
「鬼滅の刃」はフジテレビ作品となってからは「遊郭編」も「刀鍛冶の里編」も初回は放送枠拡大バージョンだった。

「推しの子」は初回を90分枠(CM尺が少ないので実質通常の4話分程度)とし、その超拡大バージョンをテレビ放送に先駆けて映画として劇場公開したことも話題となった。

本作も初回は90分枠で放送された。

とはいえ、「推しの子」と本作には決定的な違いがある。「推しの子」は映画として上映しても通じるような長尺の1エピソードを90分枠で放送したが、本作は単純に90分枠を使って、1〜3話を続けて放送しただけだ。
テレビアニメの劇場での先行上映(イベント上映)のように重複するオープニングやエンディングを1回に集約するような再編集もしていない。そんなわけで、初回は今見ている最中の作品の番宣を何度も流して無理矢理、CM枠を埋めているような感じだった。

そうした変則的なスタートとなったので、一体、本作は全何話で構成されるのだろうかと思った人も多かったのではないだろうか。

通常の深夜アニメは12〜13話構成だが、初回の3話一挙放送を1話とカウントして12〜13週で全14〜15話とするのか、それとも、きちんと3話は3話とカウントして通常の12〜13話とするのか。あるいは、クールがわりより1週はやく放送開始となった分、放送終了も前倒しされて、14〜15話もしくは12〜13話で終わるのか、もしくは、クール最終週まできっちりと放送して16話構成となるのか注目されたが、結局は全13話(11週間の放送)という形になった。

ただ、最終回放送の前週に1〜12話までの総集編を流すという構成は納得できなかった(なので放送枠としては12週間)。

制作進行が遅れて穴埋め的に(オタク用語で言うところの万策尽きた状態)総集編を放送するというケースはよくあるが、本作はそういうパターンではない。

総集編が放送されたのは、最終回を残すのみとなった時期だ。勿論、終盤に万策が尽きてダイジェストやキャストのインタビューなどで構成した番組で穴埋めした作品だってある。

でも、本作は意図的に最終回を前に総集編を入れたと見ていいのではないだろうか。

それは、明らかに最終回である13話はそれ以前の12話までとはテイストが違うからだ。



ストーリー的にはいったん、12話で区切りがついている。MyGO!!!!!というバンドがぎこちないながらも何とか形になりライブを成功させるまでが12話できちんと描かれているからだ。

13話では、MyGO!!!!!が成功を祝して打ち上げを開くシーンこそ描かれているが、このエピソードの主役はMyGO!!!!!ではない。

この回で主人公となっているのはAve Mujicaというバンドだ。そして、本編終了後には、「BanG Dream! It's MyGO!!!!!」の続編として、Ave Mujicaを主人公にした作品が制作されることが告知されていた。

要は、最終回は別のバンドを主人公にした続編のエピソード・ゼロ的作品だったということだ。
せっかく、12話までが評価される内容だったとしても、最終回がこれでは一気に熱も冷めてしまう。

個人的にはシリーズものやスピンオフ、リメイクなどは、そのクールを代表する覇権アニメに選ぶべきではないと思っているが、そうしたものも含めて選んでくれとなれば、少なくとも12話までの内容なら覇権と呼ばれるにふさわしい作品だったと思う。でも、最終回でせっかくの評価をなきものにしてしまったといったところかな。

12話までの本作が面白かったのはドロドロとした人間関係が描かれていたからだ。

通常、ガールズ・バンドもの(というかアイドルものやDJものもそうだが)のアニメというのは、発起人がいて、最初はなかなか賛同を得られなかったりするものの徐々に仲間を集めていき、場合によっては対立関係にあった者まで巻き込んでバンドとしてまとまっていき、ライブを成功させる(or課題の残る結果となり決意を新たにする)までを描くという構成がデフォルトだ。

でも、本作はそうではなかった。一応、メンバーが揃い、ライブは成功したけれど、その後の打ち上げの時点でもメンバー間の関係はぎこちないままだ。

そりゃそうだよね。

①コミュ障(Vo.)
②KY(Gt.)
③風来坊(Gt.)
④性悪(Ba.)
⑤万年ヒステリー(Dr.)

というメンバー構成だからね。ぶっちゃけ、誰にも共感できない。

①、④、⑤はMyGO!!!!!の前身となったバンド、CRYCHICのメンバーで、④はCRYCHICを再結成させるために、バンドをやりたい②を利用している。⑤も②や③といった新参者に冷たい。

一方、④が連れ戻したくて仕方ないCRYCHICの元メンバー2人は別のバンドを結成してしまう(これが先述した続編の主人公となるAve Mujica)。

CRYCHICを再結成したくて仕方ない④からすると面白くない展開だからね。

そりゃ、ギスギスした関係になるよね。

でも、こういう展開はガールズ・バンドやアイドルもののアニメではあまり見かけなかったから、めちゃくちゃ面白かったんだよね。暗いけれどね。

だから、Ave Mujicaをメインにしてしまった最終回は蛇足だったと思う。12話でいったん終わりにして、最終回で描いた内容は続編の1話とすれば良かったんだよ。

というわけで非常に惜しい作品だった。

MyGO!!!!!の曲はめちゃくちゃ良いんだけれどね。

そう言えば、MyGO!!!!!が主人公でなかった最終回にはなかったけれど、それ以外の回にはあったメンバーがお伝えする天気予報コーナーって何だったんだ?まぁ、登場したキャラは1人だし、コメントも使い回しだったけれど。
あと、マスターにきちんと尺が伝えられていなかったのか何だかは知らないが、終盤になるまで、いつも最後の地点の天気スーパーはほとんど読み取れない尺しか出ていなかったよね。その辺がいかにもTOKYO MXクオリティーって感じだった。








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