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劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-

当初は本作と同じ4月19日に公開予定だった「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章」の初日が5月24日に延期となったのは若者受けする本作に話題をかっさらわれていくのを避けたためではないかと個人的には思っている。
同作の配給会社ギャガは去年、アーケードゲームを手掛けるGENDAの傘下に入り経営体制が変わった。日本の映画業界の慣習を無視したようなマーケティング戦略を取ったのではないかと個人的には思っている。

そういう手段を取った理由は、10〜20代の女性人気が高いスポーツアニメで腐女子がBLを想起するようなキャラ設定もあるという共通点がある「ハイキュー!!」の劇場版「ゴミ捨て場の決戦」(2月公開)が興収95億円の大ヒットとなっているからだ。現時点で今年公開作品として最大のヒット作となっているが、まだ続映中ということを考えると100億円超えは確実と見ていいと思う。まさか、年末公開の「SPY×FAMILY」の劇場版や春の定番の「ドラえもん」よりも本作がヒットすると思っていた人はいなかったはずだ。

だから、「ハイキュー!」と似たタイプの作品である本作との競合を避けたのだろう。



勿論、異なる点もある。「ハイキュー!!」は業界内で圧倒的なシェアを誇る東宝配給作品だ。

一方、本作はバンダイナムコフィルムワークス作品だ。同社は松竹との共同配給で今年、「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」が興収44億円超の大ヒットとなっている。これは、1982年公開の「機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編」(23億円)を20億円以上上回るガンダム映画最大のヒット作品となっている。だから、バンダイナムコが力不足と言うわけではないが、それでも東宝に比べると弱いと思われてしまうのは仕方のないことだと思う。

また、1週早く公開された劇場版「名探偵コナン」シリーズ最新作「100万ドルの五稜星(みちしるべ)」に若者を中心としたライト層の注目が集中してしまう恐れもある。
勿論、去年のGWは劇場版「名探偵コナン」シリーズの「黒鉄の魚影(サブマリン)」が138.8億円、一応洋画扱いの「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」が140.2億円と揃って記録的ヒットとなった。しかも、「コナン」より遅れて公開された「マリオ」の方が成績が上回っている。だから、本作がコナンに肉迫する興収をあげる可能性だってないわけではない。
でも、50代以下ならみんな知っている「マリオ」と10〜20代限定人気の「ブルーロック」ではファンベースが異なりすぎる。オーバー30で「コナン」を見る人は多いが、本作ではそうはいかないだろう。

そして、本作が興行的に不利と言える最大の理由は総集編的な内容だということだ。はっきりと総集編映画とはアナウンスしていないし、テレビシリーズは1話も見たことがないが、テレビシリーズのサブタイトル一覧を見ていると本作の内容とリンクする文言が色々と書かれているので、おそらく総集編なのだろう。

総集編映画で興収50億だ、100億だというのはまずあり得ないので、まぁ、30億円を超えれば大成功って感じだと思う。

ファーストガンダムの総集編映画「機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編」ですら23億円だし、「新世紀エヴァンゲリオン」の最初の劇場版、いわゆる旧劇の最初の作品「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生」が興収換算で(当時は一般的に興収の6割程度の配給収入でヒットの度合いを発表していた)18.7億円と推定されている。

「魔法少女まどか⭐︎マギカ」はあれだけブームを巻き起こしたのに、総集編映画は前後編合わせて11.5億円だ。

ファーストガンダムや旧劇、まどマギの頃とはアニメに対する世間の目が異なる、現在は映画の興行形態が違うとは言え、本作が記録的な大ヒットになるとは思えない。

というか、内容も酷い。ダイジェスト感がすごいんだよね。タイプの異なる凪と玲王がダイジェストで描かれた場面を通じていつの間にか仲良くなり、ダイジェストで描かれたいくつかの対戦を経て仲違いして、それどころではない敵が出てきたのでひとまず休戦みたいな感じで終わりだから、映画としての満足度はかなり低い。

「ハイキュー!!」も上映時間が短い作品だから意識してそれに合わせたのかも知れないが91分というのは短すぎるのではないかと思う。せめて、120分程度なら消化不良感はなかったのではないかと思う。

ただ、凪というキャラのやる気もないし、努力もそんなにしないのに、きちんと結果を残せるキャラというのは好きだ。自分もそれに近いタイプだし。

努力は必ず報われるなんてことはないからね。

ところで、本編の後に、「あでぃしょなる・たいむ!」というオマケのショートアニメが上映されていたが、これって、4週別に作品内容が異なるらしい。こういう映画をなめた作りで上映するのはやめてほしいと思う。
まぁ、あくまでこれは本編とは別のものだから、上映期間中、ずっと同じものを流す必要はないという発想なのだろうが。

ちなみ、1週目だったので、「凪のともだち」というサボテンを“ペット”として飼うことになった話をやっていた。もしかすると、本編より面白いのではないかと思ってしまった。



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