【読書メモ】「大谷翔平とドジャースの挑戦。」:Sports Graphic Number1094・1095号
今週号のナンバーの表紙を見ていただければ、いつものごとくのジャケ買いだとご理解いただけるかと思います。大谷翔平さんの冒頭の記事も期待以上の素晴らしいものでしたし、花巻東からスタンフォードに進んだ佐々木麟太郎さんと、「松坂世代」の一員としてはいつまでもスター視している松坂大輔さんの記事も読み応えが充分で、印象に残った点を書いてみます。
直感と決断
インタビュアーからの選択に関する問いに対して、大谷さんは直感の重要性と考えることの重要性を以下のように語っています。
いや、深いですね。29歳の発言とは思えない。。。日々の熟考と小さな決断の積み重ねによって経験値を積んでおくことで、いざという大きな決断ができるということなのでしょう。感嘆しつつ、はてどこかでこれに近いような発言を聞いたことがあるなと思って探していたら、将棋の羽生善治さんの言葉でした。
出版年から判断すると羽生さんが34-35歳の頃のご発言です。プロフェッショナルの思考の深さと言語化能力には驚くばかりです。一つひとつ熟考して決断するというプロセスを積み重ねることで直感力が醸成され、機会が来た時にすぐに決断ができる、ということなのかもしれません。
ライフキャリアとしての決断
大谷翔平さんの高校の後輩で、スタンフォード大学への進学を表明して話題になったのが佐々木麟太郎さんの記事も興味深いものでした。高校時代のホームラン記録が有名な選手ですが、スタンフォードへの進学を決めた決断もすごいものでした。
高校三年生でこれだけの長いスパンで総合的な決断ができるという点に驚きます。あれだけ甲子園で騒がれた選手なので、プロ野球の複数球団から声がかかったでしょうし、日本の大学からも話はたくさんあったと思われます。そうした中でスタンフォードに進学するという着想を持てたこと自体がすごいと思いますし、決断できた点にも尊敬します。
苦悩と決断
最後に取り上げるのは松坂大輔さんのインタビュー記事です。最初に取り上げた大谷翔平さんの記事と同様にインタビュアーは石田雄太氏。同氏の文章が好きで書籍も持っているほど、安心して読めるスポーツ・ジャーナリストです。
素晴らしいジャーナリストだからこそ、インタビュイーの言葉を引き出せるのでしょう。松坂さんがWBC連覇および2大会連続でのMVPに選ばれた後のシーズンでの、度重なる故障での苦しさを語っている箇所が印象的です。
明るい将来を見据えている大谷翔平さんや佐々木麟太郎さんの記事もよかったですが、苦しい状況での決断という松坂大輔さんの記事も素晴らしいと感じます。松坂さんの記事は長期連載中なので書籍になったら即買いでしょう。
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