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【介入研究】キャリア・アダプタビリティを高めるワークブック!?

先日の中原研合宿にて、「キャリア・アダプタビリティは高められるの?介入研究はないの?」というご質問に対して的確に答えられなかったので、調べてみました。今回は、「My Career Story」というサビカス先生が監修されたワークブックを活用したワークショップによって、イタリアの学生を対象にした介入によってキャリア・アダプタビリティ尺度(以下:CAAS)のスコアが上昇した研究について紹介します。

Santilli, S., Nota, L., & Hartung, P. J. (2019). Efficacy of a group career construction intervention with early adolescent youth. Journal of Vocational Behavior, 111, 49-58.

ちなみに、「My Career Story」は「私のキャリア・ストーリー」というタイトルで和訳されています。自分自身を振り返られる多様な問いに対して答えていく冊子なので、ご関心ある方はお手に取ってみてください。私自身も使ってみましたが、直訳風ではあるものの、文章自体が短いのでクリアに問いの内容を理解できるのではないかと。

キャリア・アダプタビリティ全体の上昇

本論文での介入研究は、イタリアの中学生(海外では中学生でもキャリア・アダプタビリティを活用した調査が普通に行われています。キャリア教育も然りです。)を対象にして行われました。週に一度(2時間)のキャリアに関するセッションを合計3回にわたって行いました。実験群では「My Career Story」を用いたセッションを行い、統制群では学校や職業に関する興味・関心を導くような個別レポートを用いたセッションを行っています。

その結果、実験群と統制群とで事前調査ではCAASのスコア全体の差異がなかったものの、事後には1%水準で優位に実験群の方が高かったことが明らかになっています。

Santilli et al. (2019) p.54

関心が特に向上し、統制・好奇心も向上

四つの下位次元の事前・事後での変化についても著者たちは調査しています。その結果、関心が1%水準で優位に向上していることと、統制と好奇心が5%水準で向上していることが実証されています。

Santilli et al. (2019) p.55

「My Career Story」は、自分自身の過去を振り返りながらナラティヴを構築していくというアプローチをとるワークブックです。ナラティヴ・アプローチによってキャリア・アダプタビリティが高まることを本論文では実証していると評価できるのでしょう。

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