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1-11 自国通貨で破綻したレバノンは?

自国通貨を持っている国でも
財政破綻した国はないの?
と言われると、
レバノンなどがあります。

レバノンは、
レバノンポンドという
自国通貨が流通していますが、
ドル建て国債を発行していたことから、
ドルを返済できなくなり、
2020年3月に財政破綻となりました。

どうして自国通貨を発行できるのに、
ドル建て国債を発行したの?
と感じる方も多いかもしれませんね。

レバノンの場合は、
複雑なのですが、
国内でものやサービスを生産する能力が
ほとんどありませんでした。

そのため、
生活品などのほとんどを
輸入に頼っています。

そうなると、
輸入時の条件が悪くならないように、
固定為替相場制にする必要性がありました。

固定為替相場制と聞くと、
馴染みがないかもしれません。

よくニュースなどで
『1ドル=120円』など言われてますよね。

現在では、
『1ドル=150円』になってますよね。

このように、
変化するのを変動為替相場制と言います。

一方で、
固定為替相場制は
『1ドル=1500レバノンポンド』
と固定しているわけです。

こうなると、
どの時期でも輸入物価の値段の変動を
抑えることができるわけです。

『え!そんなことできるの!?』
『今の日本もそうだといいのに。』
と思われる方もいるかもしれません。

ただ、
『固定します!』
と宣言すればできるわけではありません。

一定の為替レートを維持するために、
レバノンポンドの価値が下がりそうなときに、
レバノン政府がアメリカに対して、
保有しているドルを売って、
レバノンポンドを買い支えて
価格を維持する必要があるわけです。

かなりややこしいですが、
簡単に言えば、
【レバノンポンドよりもドルが人気になってきたら、
ドルを売ってレバノンポンドを買う】
必要があるということですね。

では、レバノンは、
ドルを発行できるのでしょうか?

もちろんできません。

かといって、
アメリカに対して
輸出できるような産業もありません。

そうなると、
保有しているドルは
少しずつ減っていくわけです。

手持ちのドルがなくなれば、
固定為替相場制を保持できないので、
ドル建て国債を発行(ドルを借金)して
ドルを持っておく必要があります。

ただ、
時間が経ってもドルが不足したまま、
ドル建て国債の返済日を迎えることになり、
最終的に財政破綻になってしまったわけです。

重要なポイントとしては、
【財やサービスの生産能力があるかどうか】
なんですね。

レバノン自身に
自国で生活用品を生産できるのであれば、
輸入に頼る必要はないですし、
ドルを調達する必要もないわけです。

自国通過においても、
国内の生産能力が不足すると生じる
財政破綻の例なんですね。

次回もお楽しみに!

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