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出れば外も、内。


ロッテルダムが決まってから、ディスカッションやインタビューに参加した監督が言っていた「会話のレベルが違う」


現地入りしてはじめて、私も感じることとなった。

毎回上映の最後には監督Q&Aがあって、お客さんからの質問は日本語でも答えることが難しい、精神的な、自分と映画を深く考えないといけない複雑なものが多かった。



そして連日party!party!party!な映画祭だけど、そこで交わされる会話は人生、愛、何においても「あなたはどう思う?」




みんな、映画が終わってから自分の人生を考えることができる作品を評価しているようだった。


『莉の対』がハッピーワッホイイェーみたいな作品じゃないからというのもあるけど、今の気持ち、文化的なこと、思想、価値観、そういったことを上映後にガンガン伝えに来てくれる。日本人というだけで珍しいから、そこら辺で会っても話しかけてきてくれる。



すごく、自分と向き合うんだなと思った。
そして自己肯定感の重要性をものすごく感じた。



意見を持つだけじゃなくて、自分を知って、相手を知ろうとする。





その最たる人がhayetだった。

私幸せそうすぎて笑う


こんなに愛を持って話してくれて、見つめてくれて、抱きしめてくれる人をわたしは知らない。


人に抱きしめてもらうって、こんなに心が安らぐんだ。エネルギーが満ちるんだ。と初めて知った。



会う度に、猛烈あたたかいハグで迎えてくれて、私たちを気にかけてくれた。



誰にでもそんな風なのか?というと違う気もして
(幸福なバグかもしれないけど無視)
右も左もわからない私たちの面倒を見てくれていた節はもちろんあるけど、どういうわけか『Rei』を特別に思ってくれている様に感じていた。




partypartyparty!の中で、少し、ちゃんと喋れる時間があった。



「これまで何千本と映画を見てきて、心が動く瞬間、新しいことに出会うワクワクが少なくなっていく中で『Rei』はとても新鮮に心に入ってきた。見終わった後も映画のことや、自分のことを考えた。そういう映画は本当に貴重。ありがとう。」



「ありがとう」をこんなに深い目で言う人は、どんな人生を歩んできたんだろうと思った。





一人と孤独は違う。
光莉(私が演じた役)は仕事も頑張っていて、友達もいて、趣味もあって、とても充実しているように見えるけど、常に外に外にばかり向いている。自分と向き合う時間が全然ない。



でも、大体の人がそう。
必死で仕事をして、適当にご飯を食べて、疲れ果てて帰ってきて。そんな毎日で、死ぬ時どうなるの?幸せだったと思う?



自分を理解して、自分をちゃんと持っていないと、どんなに外と関わっていても孤独からは抜け出せない。甘えたり、依存したり、その逆も然り。
大人にとってそんな関係は健全じゃない。



人はどこまでいっても個人と個人。
どんなに仲が良くても大好きでも二人がひとつにはなれない。幸せにしてほしい、幸せにしたい、そんなことを思うのはナンセンス。
誰と気持ちを分かち合いたいか、誰と一緒に数々の経験をしたいか。それが愛だよ。






もはや私の忘備録だよ、ごめんなさい。





とにかく心の声を聞けと言っていた。
頭の中で考えることも嘘ばかり、と。



慌ただしい毎日に加え、日々莫大な情報が入ってきて、自分の一部である頭さえ嘘を言ってくるんだから、心の声をキャッチするって難しいよなぁ。


感化されて、本屋さんで心の声聞けそうなやつ買っちゃったもんね。

5年契約



『Rei』が呼ばれて壇上に上がる時も、トロフィーをもらった後も、私たちみんなをハグしてくれた。



「ここから、ここから。」

完全に理解できてないのが悔しいけど
「あなた達は大丈夫。ここからがスタートだよ。」
これだけはちゃんとgetした。







自信を持ちなさい
主演女優らしく堂々と振る舞いなさい


映画祭ではそんな助言も度々受けた。


たしかに、自信はない。



でも、私はそこまで謙虚じゃないし(笑)、褒められたら謙遜よりもありがとうと受け取れる人間だと思っていたけど、気持ちの良い人でありたいと思ってしている私の言動は、どうやら作品や私の格を上げないらしかった。




高い気品・品格を保ちながら気持ちのいい人であるには、今とは違う立ち居振る舞いがあるのかもしれないと思った。




私はまだまだこの『莉の対』でたくさんの見たことない世界を見たいし、それは国内でも海外でも同じで、そして今後出会う作品でも然り。




自分を、作品を高める立ち居振る舞い。



自分を知って、壮大なテーマにも自分の考えを持って、話題を選ぶこと。



進みたい道が、まだあやふやだけど、少し見えた。




外の世界はすごかった。
その外はきっと国だけじゃなくて、生活や人間関係や、これまでとは違う全て。



まあまあ鬼はいたけれども、そんな外での試行錯誤暗中模索四苦八苦は、間違いなく私を強く柔らかくしてくれた。



鬼も福も全部取り込んだよ、ロッテルダム映画祭!



私たちの作品を映画祭に連れてきてくれたモデレーターのクリスティーナ、通訳という仕事の域を越えて私たちに尽くしてくれて仲良くなってくれた潮音さん、映画祭に精通していて心強い日本人のモデレーター相原さん、そして大好き大尊敬のhayetとクルーのみんな。



この写真はロッテルダムの全て。
ありがとうが言い尽くせない、大事な人たち。
これを撮ってくれたさゆりちゃんも現地で出会った最強の仲間。



ロッテルダムで出会った最高のプロフェッショナル達は、たぶん基本、ロッテルダムにはいない。


みんな映画祭で世界を飛び回っている。




またどこかで、必ず会う。