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『宝や。』より。まあるくてあっつあっつな宝もの。

大阪のソウルフードと言えば「たこ焼き」。

まあるくて小さくて頬張ると思わず笑顔になっちゃう、ふわっとろあっつあつの、そう、アレです。

大阪にはたこ焼き屋はどこにでも存在していて、そしてどこの店でも美味しく味わうことができます。

今回は恐るべき無数のたこ焼き屋の中から、私の推しで最強のたこ焼き屋、『宝や。』をご紹介させていただきます。手前味噌で申し訳ないのですが、実は私の夫が経営するたこ焼き屋です。

谷町にある小さなお店

ソース処味の宝や。

『宝や。』は大阪市内でありながら古い時代の面影を感じることのできる、中央区谷町の一角にあります。

谷町は心斎橋から東に位置し「空堀商店街」や「人形の町まっちゃまち」など、新旧混在した多くの商店の賑わう趣きのある町です。

相撲の熱心な後援者のことを「タニマチ」と言いますが、ここが発祥と言われています。
その由縁は、明治時代に谷町で開業医をしていた男性が大の相撲好きで、無料で力士の治療などを行ったことから慕われ「タニマチ」と呼ばれていました。そこから相撲の後援者のことを「タニマチ」と呼ぶようになったそうです。

ちなみに谷町はカレー店の激戦区として知られていますが、密かにたこ焼き屋の激戦の地でもあるのです。大阪なんてどこにでもたこ焼き屋はあるようですが、特に谷町では密集しています。

『宝や。』の大将は、この谷町一のたこ焼き屋を密かに狙っているそうです。夢はでっかく?ですね。

お屋敷『からほり れんlen』の住人

お屋敷の中のいろんなショップ

私の推しのたこ焼き屋もここの住人です。『宝や。』は、お屋敷『からほり れんlen』という商業施設の中に入っています。

地下鉄長堀鶴見緑地線の松屋町駅③番出口すぐの階段をあがると、正面に商業施設『からほり れんlen』の堂々とした門が現れます。

『からほり れんlen』は有形文化財に指定のお屋敷を改装して作られた商業施設で、中には有名なチョコレート屋さんやクレープのお店、革製品、器、着付け教室、カフェや居酒屋など多くの楽しいショップがたくさん入っています。

大将は無口で頑固な阪神ファン

タイガース、今年はアレンパやで!!

たこ焼き屋の屋号は『宝や。』。『。』は頑固な大将のこだわりで、決して間違いではありません。『モーニング娘。』みたいな感じです。(古い?)
この記事を書いていて改めて気づいたのですが、そういえば屋号の正式名称は『ソース処味の宝や。』でした。頑固でへそ曲がりの大将も、きっと今はもう忘れていると思います。こだわってつけたはずなんですけど。

大将は昔、柔道をしていたということで、ガタイが大きく迫力のある人物。いつも黄色いタオルを頭に巻いているので分かりにくいですが、金髪で左耳にはいかついピアスをつけています。硬派なのか軟派なのか判断に迷うところですが、基本的に無口で必要以上の会話はあまりしません。

ちょっと近寄りがたい雰囲気ですが、笑うとかわいいですよ。

スポーツが好きで、かなりの阪神ファンなので、アプローチするならぜひその辺りから切り込むといいかもしれません。レアもののキュートな笑顔に出会えるかも?

創業は2009年8月13日

あの日の夕陽を忘れない

真夏の暑い日でした。お店にはまだクーラーも無く、汗まみれでのオープンです。
慣れてなくて、素人丸出しの焦げ焦げのたこ焼きでしたが、たくさんの人が応援に駆けつけてくれました。

夕暮れには西日がまともにあたり、尋常ではない暑さ。魂が抜けたみたいにくたくたになって、ふと顔をあげると、真っ赤に染まる夕暮れの空。
この日の光景を忘れまいと、ぼんやりとした頭で考えていました。
いつか年老いた私たちは、こんな風に沈みゆく夕日を同じように二人並んで立って、変わらぬ気持ちで眺めているんだろうなぁ、なんてセンチメンタルな気分で。

『宝や。』のこだわりのたこ焼きの作り方 

くるっくるっじゅうじゅうくるっくるっ

『宝や。』のとっても美味しいたこ焼きの秘密。門外不出の作り方を、今回は特別に披露してしまいましょう。頑固な大将には内緒ですよ。 


『宝や。』の命、生地 

野菜のスープ

自慢のたこ焼きの生地には、数種の野菜を長時間煮込んだスープがたっぷりと練り込まれています。

スープに使われる野菜は、キャベツや玉ねぎ、人参、りんごなどなど、形がなくなるまでじっくりと煮込み、とろとろになったところで漉し布を使い丁寧に漉していきます。

寸胴に残った、金色に光るスープ。

こだわりの粉に、金色のスープを絶妙なバランスで投入。すりおろした長いも、卵などを加えて、大きな電動泡立て器を使って高速で撹拌します。真っ白でねっとりとした『宝や。』オリジナルの生地の完成です。

これが『宝や。』の命です。


 冷凍のたこを使う理由

サイズは大きめ

 『宝や。』のたこ焼きには大きくてもっちりこりこりした、たこが入っています。たこ焼き屋の要と言えば、もちろん「たこ」。

『宝や。』のたこは、なんと冷凍の輸入のものを使います。
明石のたこが有名なので、多少金額があがってもそっちを使うべきだろうと思いがちですが、これが案外、たこ焼きには合わないのです。明石のたこは、明石のたこの行くべきところがあるのですね。人にも適材適所があるように。

そんなわけで『宝や。』では、冷凍のものを使いますが、冷凍のものでもいろいろ種類はあって、吟味を重ねて、今使っているものに落ちつきました。

ちなみにたこを入れずにたこ焼きを作ると、全然おいしくないんですよ。たこ焼きを発明した人、なぜたこを使おうと思ったのか。つくづく天才、たこ、恐るべし力!


こだわりの鉄板 

鉄板は、一番大きいサイズのものを使用。

大きなたこを入れてもはみ出さず、仕上がりの美しさと食べ応えのしっかりとしたたこ焼きを目指しました。

流行りの銅板にするか悩みましたが、丈夫で長年使うごとに味が染み込んでいく鋼のものの方が『宝や。』には合うと考えました。


 職人技の焼き加減

薄い皮の内側はぐつぐつグラタンのよう

朝、鉄板に火を入れます。

うすく油をひいた鉄板から、ふっと白い煙があがったところで、大きなたこをくぼみにひとつひとつに投入。凍ったたこはじゅうじゅうと音を立て、小さなくぼみの中で踊り始めます。そこに命の生地をさっと流し込む。

すかさず揚げ玉と隠し味をぱらぱらと全体にまぶして、生地が沸騰するのを静かに待ちます。
穏やかで緊張の、矛盾したこの時間が大事。

生地が膨らんでぐつぐつしはじめると、ふたつのピックを器用に使って生地を返していきます。くるり、くるり。たこ焼きが形成されていく感動。
簡単そうに見えるけど、とても柔らかい生地なので、素人では絶対に扱うことができません。当然、私も。

返された生地はうっすらと焼き色がついて、表面は繊細なクレープのよう。熱で揚げ玉が次第にとけて、わずかに表面を揚げる効果を担います。優しい味にコク。かりりとした食感にしてくれる揚げ玉。とても優秀な食材。

15分程度で、熱々で美味しいたこ焼きのできあがりです。


 好みで選べるソースの数々

ソースは、定番の甘口、辛口、ポン酢、だし醬油、ヒマラヤ岩塩、つぶ塩ペッパーなどがあります、最近仲間になった、カレーソースも密かな人気となっています。

トッピングは、青ネギ、紅ショウガ、鰹節。

私のおすすめは、つぶ塩ペッパーにマヨネーズ、トッピングに青ネギをたっぷり。

薄い表面はさくっとして、中はふわとろ。めちゃくちゃ熱いので、一口で食べるのは危険です。猫舌でなくとも火傷必至。


メニューはこちら!!


つぶ塩ペッパーマヨネギ

たこ焼き:
6個300円
8個400円
12個600円

たこせん:
たこ焼き1個入り100円
たこ焼き2個入り150円
たこ焼き3個入り200円
(エビせんべいにたこ焼きを挟んだ、昔懐かしいおやつ感覚で食べ歩きが楽しめます。たこ焼きは好みの個数を挟めます) 

たこ汁:300円
(お出汁の中にたこ焼きが3つ入っています)

べたやき:300円
(平たくのばした生地にたこと共にプレスしたもので、イカ焼きみたいなものです)

焼きそば:450円
おでん:150円(冬期のみ)
アイスクリンモナカ:150円(夏期のみ)

まとめ

昔懐かしいたこせん

以前、ふらりとやってきた俳優の三浦春馬さんが、写真集に『宝や。』を掲載してくれたおかげで、彼を偲んで訪れるファンの方も時々のぞいてくださったりします。先日は北海道から来られた方もいました。

知らない間に森高千里さんが来られてFacebookにあげてくださっていたこともあり、あとで知ってびっくりです。

大将は当時、三浦春馬くんのことは知らなかったし、森高千里さんには気づかなかったし、残念ですが、無愛想なくせになぜか愛されキャラなのは、そういうところなのかも知れないですね。お得な人です。

『大阪環状線 Part3 ひと駅ごとのスマイル(玉造駅「手のひらマスク」の回)』という関西のテレビドラマにも少しだけ出演させていただいたこともあります。『宝や。』は、テレビドラマデビューも果たしているのです!すごい!(自画自賛)わずかですけど。

小説にも登場しました!『関西魂~はたらく妖怪~』という関西作家志望者集う会の出版する本にも『宝や。』は出演しているのです。まあ、私が書いたんですけど。

『関西魂(かにたま)』はたらく妖怪編

野菜たっぷりのヘルシーで優しい味わいのたこ焼きは、ここでしか味わえません。

古くて雰囲気の良い町の中にあるせいか、近所の常連さんの他に観光客もちらほらやってきます。うららかな晴れた日に、たこせんを片手に街を散策するのも幼い頃に戻ったようで楽しいものですよ。

ぜひ一度、遊びにいらしてくださいね。

『宝や。』の場所とアクセス 

住所:大阪市中央区谷町6丁目17番43号
電話番号:06-6764-0273
『からほり れんlen』内
URL:からほり れん len (len21.com)

営業時間

11時~19時頃(生地がなくなり次第終了)
定休日:水曜日(祝日は営業)

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