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ふりかけ、ふりかけ、ふられて、ふりかえらず


……おや、こんな所に、恋の素材が。

さあて……この子は、僕と恋に落ちてくれるかな?

素材に向かって、自慢の恋のもとをふりかける。

ふわり、ふわーり。
ふわり、ふわーり。

まだ薄いなあ、恋にならない。

ふわり、ふわーり。
ふわり、ふわーり。

まだちょっと……薄い。

ふわり、ふわーり。
ふわり、ふわーり。

ようやく色付いたみたいだ、よし、もうひとふり……。

ふわり、ふわーり。

……加減が難しい、ちょっと濃くなり過ぎたみたいだ。
こんなにねっとりと絡みつかれては、たまらないな。

……水を入れて薄めよう。

しゃば、しゃば、しゃば。

しまった、薄くなり過ぎたみたいだ。

うまくいかないなあ……。
薄まってしまった恋は、風に流れて別の素材のもとへ。

恋にならずに、ただの思い出になってしまった。

……良さそうな素材に見えたけど、誰かに美味しく料理されてしまったよ。

遠くでぷりぷりと美味そうに輝く恋を見ながら、涙が出てしまったよ。

……僕はどうにも、恋をうまく作ることができないみたいだ。

僕の持つ恋のもとも、もうずいぶん少なくなってしまった。
枯渇する前に、なんとかして素材を確保しないとなあ。

僕は、自慢の恋のもとを、懐の奥深くにしまい込み。

恋のあふれる世界に背を向け、一人ぼっちで、薄暗い道を歩き始めた。


ふりかけと言えばこれです(*'ω'*)

うめーのなんのって!!

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