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『銀の匙』の泉を求めて -中勘助先生の評伝のための基礎作業 (70) 漱石先生の英文学講義を聴く

 大学時代の中先生の消息を伝えるものはほとんど何もなく、山田さんの手紙を通じてわずかに垣間見ることができるという程度にとどまっています。それ以外の文書というと中先生のエッセイ「漱石先生と私」に漱石先生の講義を受ける中先生の姿が描かれています。漱石先生は一高の英語の講師でしたが、文科大学のイギリス文学の講師を兼任していて、中先生は漱石先生の授業を受けました。「漱石先生と私」から講義風景を拾いたいと思います。

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中勘助先生は『銀の匙』の作者として知られる詩人です。「銀の匙」に描かれた幼少時から昭和17年にいたるまでの生涯を克明に描きます。

●中勘助先生の評伝に寄せる 『銀の匙』で知られる中勘助先生の人生と文学は数学における岡潔先生の姿ととてもよく似ています。評伝の執筆が望まれ…

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