映画『うなぎ』を見た。

映画うなぎをみた。とっても好きな映画だったのですこし書こうと思う。

あらすじ。

不倫した妻を殺した罪で服役していた男が出所し、自殺から助けた女性と床屋を営むが、ペットのうなぎにしか心を開かないというお話。

主演:役所広司

まず、この時代のフィルムの持つノスタルジーについて。

何故なんだろう。ぼくはこの時代には生まれていないのに、この鮮やかさがどうにも懐かしくいとおしく思える。河川敷なんかもそうだが、特に床屋の内装に目を奪われる。これなんだ。

ぼくがブラウン管時代のTVを覚えている子供だからなのかもしれない。

ストーリーは舞台的な閉じた人間関係の中で進んでいく。千葉の佐原というところを舞台に、地元の人間が床屋に集まる。彼らがどれもかわいらしいのである。過去を背負った男が主人公であるが、このおはなしは青春ラブストーリーである。大人が演じるボーイミーツガールなのである。自転車に二人で乗るシーンなんかもあるのである。うなぎだけが友達の主人公が、仲間と、そして少女と出会い最終的にはうなぎを川へ帰す。はっきりいって、こんなのパルムドールを受賞する作品ではないのである。TVドラマである。だけどぼくはそれがたまらなく好きだ。

作中で幼稚園のガキ大将と罵られる主人公の山下。わかりやすい成長物語なのである。

不穏な空気がしばしば漂うのは見ていて飽きない。しかしそれらはどれも結局大したことなく終わる。山下が再び人を殺すことはないし、刑務所での知り合いにヒロインは強姦されないし、うなぎも殺されない。これでおもしろいというのは、なんだか不思議な魅力がいっぱい詰まっている。


いい空気の映画だ。僕の好きなパルプフィクションと似たようなものを感じる。面白い映画というのは、2時間が退屈でない。これがつまらない映画となると、せわしなく事件が起こり音楽にまくしたてられるのだが退屈だ。

地元のお祭りから早めに切り上げて帰ってきて、まだ遠くにお祭りの声を聞きながら窓を開けて横になっているような、心地よい映画でした。ぜひみてください。

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