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「日銀が利上げを始めたら変動金利はいきなり上がる」は本当か?

どうも、モゲ澤です! 10月及び12月の日銀の金融政策決定会合の結果や日銀幹部の発言を受けて、今後は日本も金利がある世界になるのではないかという報道が相次ぎました。その頃から「今後の住宅ローン金利はどうなりますか?」との質問が届くことが増えました(10月の金融政策決定会合の主なポイントはこちらの記事にまとめています)。

今回は、もしマイナス金利が解除されたときに、変動金利はどんな動きが予想されるのかを解説していきたいと思います。

変動金利の動きのポイントは「基準金利」

過去のnoteでも解説しましたが、変動金利は「基準金利-引き下げ幅」で適用金利(皆さんが借り入れる金利)が決まります

変動金利の決まり方

基準金利は定価で、そこから引き下げ幅の分のディスカウントが入っていると考えるとわかりやすいと思います(詳しく知りたい方はこちらのnoteも読んでみてください)。図の場合は基準金利2.475%で引き下げ幅が2%ですので、適用金利は0.475%です。

引き下げ幅は審査時に決定し、完済まで一定です。そのため、借入後の変動金利が動くかどうかは基準金利次第で、さらに基準金利は短期プライムレート(短プラ)+1%としている銀行が多いです。つまり、基本的に変動金利は短プラに連動すると言えます。

近年の住宅ローン金利の低下は「引き下げ幅」拡大が要因

この短プラの長期推移が下のグラフの青線です。緑色の市場金利は日銀の政策金利に連動している金利、とご理解ください。政策金利が上がれば市場金利も上がり、下がれば同様に下がる動きをします。

短プラと市場金利の長期推移

しかし、昔は短プラ(青)と市場金利(緑)の動きは連動していたのですが、1995年頃から市場金利(≒政策金利)が大きく下がったのに対して、短プラはほぼ一定の状態が続いています。わかりやすく示すとこのような感じですね。

市場金利が一定以下になると基準金利(短プラ)と連動しなくなる

ですが、近年も変動金利は下がり続けており、0.3%台や0.2%台の金利の商品も出ていますよね。「あれ、おかしくない?」と思ったあなた!この理由は基準金利が下がったからではなく、引き下げ幅が拡大されてきたからなのです。

基準金利は変わらず、引き下げ幅が拡大してきた

以前であれば2%程度だった引き下げ幅が、今は2.1%、2.2%・・・と大きくなってきています。近年の住宅ローン金利の低下のからくりがここにあることは、頭に入れておいてください!

なお、補足ですが、引き下げ幅を拡大して金利を下げているので、低金利の恩恵を受けられているのは新規で借入した人だけです。すでに返済中の人は金利は下がっていませんので、その点は要注意です。(だから、借り換え市場が生まれているのですが、あまり説明が長くなるとわかりづらくなっちゃいますよね・・・この辺で留めておきます)。

利上げ時に変動金利はどう動く?

では、日銀が利上げに動いた場合には変動金利にどのような影響があるでしょうか? 結論から言えば、ある程度市場金利(≒政策金利)が上昇したあとに基準金利が上がると私は考えています。

ある程度、市場金利が上がれば基準金利が上がる

先ほど説明したように、近年は市場金利(≒政策金利)が昔に比べて大きく下落しているにも関わらず、基準金利は変化していないです。そのため、市場金利(≒政策金利)の上昇局面ではこれと逆の動きになると考えられます。つまり、マイナス金利が解除されたあと、ある程度市場金利(≒政策金利)が上がってきた後にようやく基準金利は上昇するでしょう。

一定程度まで市場金利が上がったあとに基準金利も上がる

変動金利が上昇するのはこの段階ですので、日銀が利上げに動き始める時期とはタイムラグがあります。「マイナス金利解除ですぐに変動金利が上がる」と思っている方もいるようですが、過去の動きから逆算するとそうはならないだろうと私は考えています。

なお、基準金利が上がり始めるしきい値は、私は政策金利が0.1%の水準だと考えています。現在はマイナス金利政策によって政策金利=-0.1%の水準ですので、基準金利の上昇までには0.2%分のバッファーがあります(これも以前のnoteで詳しく説明しています)。

新規貸出の人と返済中の人で影響は違う!

しかし、このバッファーの範囲であれば変動金利への影響が全くない、というわけではありません。繰り返しになりますが、銀行は基準金利ではなく、引き下げ幅を拡大することで適用金利を下げてきました。

市場金利が上がるとまずは引き下げ幅が縮小する

ですので、政策金利を上げて市場金利が上がり始めたときには、まず引き下げ幅の縮小が行われる可能性が高いです。銀行は最初に引き下げ幅を縮小し、そして市場金利がしきい値を超えたところで基準金利を引き上げる、ということになります。

引き下げ幅の縮小が意味するのは、これから住宅ローンを借りる人の変動金利が高くなるということです。

引き下げ幅縮小で新規貸出から変動金利が上昇する

政策金利が-0.1%→0%に利上げされた場合に基準金利が変化しなくても、引き下げ幅が縮小されれば適用金利は上がります。「先月までは0.3%台で借りられたのに、今月は0.4%台になっちゃった・・・」のような声があちこちで聞かれることになるでしょう。

まとめると、金利上昇局面では次の2段階で進んでいくというのが私の見立てです。

変動金利の上昇は2段階で進む

マイナス金利→ゼロ金利の利上げ開始時点では、新規貸出では金利が上昇するのに対して返済中の人の金利は上がりません(毎月返済額も変わりません)。そして0.1%以上に利上げが進むと、返済中の人の金利も上昇し、毎月返済額も上昇すると考えられます。

つまり、これから借りる人の金利が上がることと、すでに返済中の人の金利が上がることは区別して考える必要があるのです。これらがごちゃまぜになった記事も多いのが実情です。

金利上昇の可能性が出てきたことでいろいろな情報が飛び交っていますが、どんなメカニズムで次に何が起きるのかを理解しておくことが冷静で賢明な判断のためには重要です。あおり記事に流されて判断を間違えないよう、軸になる考え方を身につけておけると良いと思います。

今後も金利情報やお得な住宅ローン情報を発信していきますので、ぜひフォローやスキ!をいただけると嬉しいです♪

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