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❨432❩1972.11.6.月.晴・曇/目の前に立ちはだかる急な坂/Brazil

一日、埃地獄の中に居る様だった。
走るより、歩いて自転車を押す時間の方が長かったような気がする。

舗装はほとんど切れていた。
所々舗装が見えたが、そんなものはあって無きに等しだ。
上り坂も苦するが、下り坂もまたガタガタ道だけに、必死にハンドルを握る。

夕方部落に入り、また目の前に立ちはだかる急な坂が見え、全身の力が抜けていくようだった。
真っ白く埃にまみれて、その坂から車が下りて来るのが見えた。車でさえ、辛そうに見えた。
俺も車以上に、頭のてっぺんから靴の先まで真っ白。もうはたく気にもならない。
しばらく家の前でボンヤリしていたが、もう一頑張りと思い、走り出した。

埃まるけになって降りて来る車を見ていて、自分の姿が浮かんだ。
みじめな姿だが、その中に躍動感があふれ、勇気づけられた。

10km行って、バールの横の小屋にダウン。酔っぱらいがうるさいが、粉ミルクとビスケットで夕飯を終え、寝る。

今日一日で4回、水浴びをした。
夜は涼しい。昼間が全くウソのように思える。

埃にまみれて
下る車に
我 姿を見、力湧く。


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