見出し画像

筋肉が泣いている

最近は、筋肉系のYou Tuberの動画を結構観てしまうわけですが、

こないだ、芸人でボディビルダーのなかやまきんに君の動画を観ていたら、面白かったことにゃ、

フィジークの大会の40歳以上の部にエントリーして、敗退したきんに君が一人打ち上げをしている動画で、大会を振り返って語っていると、

彼が急に、感極まって泣き出したのだ。

減量が辛かったのか、大会に負けて悔しかったのかと思ったら、ところがどっこい、そういうことではなく、

同じく40代の、長年トレーニングに勤しんできた人たちとの会話の中で、今のように筋トレや、ボディビルに対して、

世の中の見方に偏見も多く、風当たりが強かった頃の話を思い出しつつ(その時代を共に生き抜いた人たちとの連帯に)泣いているようなのだった。

確かに、ようやくここ最近は、身体鍛えてます!という人に対してある程度のリスペクトが持たれるようになったけど、

昔は、かなり馬鹿にするような風潮って強かった気がする。

筋肉=バカ(脳みそが筋肉的な)

であるとか、「なんの役にも立たない筋肉」といった見方。

そういうのって、今でもないわけじゃない。

最近鍛え始めた僕でさえ、そういう感覚の質問を受けることはあるもの。

でも、そのたびに思うのだけど、いわゆる「趣味」に対して、そんな質問することってあります?

例えば、ゲームが好き!って人に「それ、何の役に立つの?」だとか、釣り好きの人に「バカみたい」とか言う人がいたら、

そうとう失礼な奴ですよね。

興味がなければ、「へー」で終わりだし、やったことなくても興味が湧けば、「どうやってるの?」「詳しく教えて」です。

多分、筋肉に対する偏見は、かなり日本独特のものらしく、もちろんアメリカなどでは、ワークアウトしている人に対するリスペクトはもちろん、「仕事ができる人」といったイメージもある。

それは、そうしたトレーニングは、頭を使って、時間管理や食事管理をしないとできないことを知っているからというのもありますが、

単純に、たくましい身体のほうが、いいじゃん!というシンプルな理由も大きいでしょう。

日本的な筋肉に対する偏見の理由は、いろいろあるでしょうが、僕が考えるのは、歴史的に観て、日本人が武道や、日本的所作の理想とする身体が、

「上虚下実」(じょうきょかじつ=上半身の力が抜けて、なで肩。丹田を中心に下半身に気が充実している)

というものだったこと。

そしてそれが、農耕民族に適した身体だったのだろうと思います。

農作業というのは、屈んでの長時間の作業が必要なので、上半身に肉をつけると邪魔になる。逆に狩猟民族は、一瞬で獲物を捉える俊敏な筋肉が必要。

僕は、日本人の働き方が、どうしても長時間労働を良しとする風潮にも、このDNAに刻まれた農耕民の発想が残っていると思います。

まあ、よくよく考えても、現代においては、「理想的な身体」なんていうものは、ない。(身体を使わなくてもサバイバルできるんだから)

だから、こんな考察も大した意味はないのです。

今や、生き方のほとんどが「趣味の問題」になりつつあるわけだから、好きなように生きている人に向かって、

「その生き方、何の意味があるの?」

といった無神経な質問をしない人間でありたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?