イタリア料理を楽しむにあたって 総括~高須賀の美食入門11~

各論の初めとしてイタリア料理を取り上げます。この後の記事を読めばわかりますが、全ての西洋料理の原点はイタリア料理にあるからです。ここを抑えれば西洋料理の9割は制覇したと言っても過言ではないでしょう。


まず初めにイタリア料理店に行ってからの大雑把な流れを書いていきます。よくわからない場所に踏み入れるのは勇気がいりますが、大体の全体像がわかれば無駄にドギマギせずにスマートに過ごせます。本場に行っても困らないレベルのものを書いていきますので、想像をふくらませながら読み進めていってください。

<イタリア料理の基本的な流れ>

キチンとしたイタリア料理屋では料理の出る順番が決められています。

①アンティパスト(前菜の意味。ハムやサラダ等)

②プリモピアット(第一の皿の意味。パスタ、スープ、リゾット等)

③セコンドピアット(第二の皿の意味。メイン。肉や魚)

④ドルチェ(デザート)

⑤食後の飲み物

この順番に料理が出てくるのが一般的です。つまり正式なイタリア料理は、最低でも4皿はあるわけです。

こう見ると結構ボリュームがあって、ランチにパスタだけ食べに行ったりする日本人には驚きの食事量です。とはいえこれは正式なフルコースの流れで、実際の所イタリア人もいつもこの量を食べているわけではありません。


かつては悠々と食事の時間を取れていたので、このようなゆったりとした食事内容をワインとともに楽しめていたようですが、今ではイタリア人も怠けては生きていけない世知辛い世の中になってしまいました。パスタだけ、ピザだけ等で昼食を済ませるのは既にイタリアでも半分常識になりつつあります。まあ勿論食べる時は大いに食べるのですが。



<飲み物>

本場では食中は主にワインが飲まれる事が多いですが、ビールも普通に飲まれます。まあ飲みたいものを頼めばいいでしょう。


お酒が駄目ならジュース(ブラッドオレンジジュースが有名)やミネラルウォーターを頼むのがベター。ミネラルウォーターは炭酸無しと炭酸ありの2つがあります。どちらを選ぶかは好みの問題です。好きな方を頼みましょう。


食後の飲み物は紅茶かエスプレッソが出される事が多い。濃いコーヒーが苦手だけどコーヒーが飲みたいのなら、カフェアメリカーノを頼めばエスプレッソをお湯で割ったものを出してくれます。日本ではコーヒーというとカップ一杯分入ったブレンドコーヒーのようなものが想起される事が多いですが、欧州ではコーヒー=エスプレッソの感覚です。


ある程度のランク以上のレストランでは、食後酒にグラッパという少しアルコール度数が高い蒸留酒(ブドウの搾りかすから作られる)を勧められる事もあるかもしれません。興味があったら試してみてもいいでしょう。慣れないと結構キツイですが。

<予算と店のランク>

キチンとしたコース料理を楽しむのなら、昼は3000円~、夜は5000円~.は用意しておきたいところです。最高級のお店なら料理だけで2万ぐらいはかかります。ワインはグラスなら700円程度から。ボトルなら安くて3000円。高いと10万超えとかもあります。予算に応じて頼みましょう。


本場イタリアではレストランの格が名称で決められており、一般的には比較的価格帯が安い気軽なお店をオステリアやトラットリアと呼び、そこそこの格式が高いお店をリストランテと読んでいます。実際のところはイタリア人のテキトー気質が作用して、本国ではこれらの区別が若干曖昧になりつつあります。まあ日本ならリストランテ=高級。トラットリアやオステリア=庶民向け、と覚えておけばまず間違いはありません。


その他にもワインバーみたいなお店をエノテカと読んだり、ピザ専門店をピッツェリアなんて呼んだりもします。

<マナー>

基本的にはあんまり難しいことは考えずに食事を楽しめばOKです。一応基本としては沢山食器が置かれているなら最外側から使い始める。もし食器を落としてしまっても自分では拾わず、サービスの人に伝えて交換してもらう。乾杯の時にワイングラスをチンと鳴らさない(割れます)。パスタはすすらない位を守ってれば十分でしょう。わからないことは普通に店の人に聞けば十分です。食器も間違った順番で使ってしまったら、遠慮無く申し出ましょう。普通に交換してくれます。


ある程度高級なお店では服装指定があるところもあります(予約の時に説明してくれる事が多い)。大体において男性がジャケット着用。女性はワンピースが良しとされている事が多いです。


なお男性はジャケット着用を指定されたら、店内でそれを脱いではいけません。欧州では歴史的にジャケットの中の服=下着だという認識があり、ジャケットを脱ぐ=下着丸出し、になるのです。これは欧州で食事をするなら絶対に知っておいた方がいい知識です。日本人の感覚だとちょっとわかりにくいものがありますが。

とりあえずこれ位の知識さえあれば、どのお店に行ってもまず困る事はないでしょう。むしろ知りすぎなぐらいかもしれません。

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