見出し画像

ポルノグラフィティ 12th Album 暁 感想

ポルノグラフィティが5年ぶりにアルバムを出しましたね。
だいぶ聴き込みましたが、今回のアルバムは、ベテランの域に達した2人が作った円熟味のあるアルバムと言えるでしょう。
今までのアルバムとは雰囲気が違う、聴けば聴く程虜になるそんなアルバムです。


01.暁
詞:新藤晴一 曲:岡野昭仁
晴一らしい凝った詩の世界観が昭仁の作る曲に合わせて目まぐるしく展開されていく。聴く者にとっては付いていく事で精一杯、そんな一曲。とりあえずパワー溢れるワードで背中を押してくれてる応援歌。コロナ禍という闇からの脱却。これが一つ今回のアルバムを制作する上でのキーワードだと感じるし、だからこそ暁というタイトルにしたのだと捉えます。

02.カメレオン•レンズ
詞:新藤晴一 曲:新藤晴一
大人の恋愛を歌ったこの曲は聴いた瞬間から独特な雰囲気のEDMで別世界へと誘われる。
不倫ドラマの主題歌だったのでそういう曲なのかな?と思ってたけどそうでは無かった。
お互いの事を分かり合おうとしても、必ずしも分かり合えない所ってどうしてもあるよね。それは性別的な所なのか性格的な所なのかは不明だけど。「こういう所があるんだな」と理解し歩み寄りお互いが合わせる気持ちを持つ事が大切だと感じる所です。
『夕陽と星空と僕』では「君の形 僕の形 重ねてはみ出したものを わかり合う事をきっと 愛とか恋と呼ぶはずなのに」と歌ってますが、まさにそんな感じ。この心が大切。 

03.テーマソング
詞:新藤晴一 曲:岡野昭仁
初めて聴いた感想としては「YOASOBHIやん」と思ったけど、コロナ禍の発売だからこそこういった楽曲を作ったという事を聞いてからは違和感なく聴ける様になった。制作意図が分かってからは印象が違う。何より晴一がシンプルな言葉で作る応援歌というのはある意味貴重。「フレーフレーこの私よ そしてフレー私みたいな人」この「私みたいな人」のワードアクセントが素晴らしい。
続•ポルノで昭仁が「次のライブでは必ず!皆で歌える様に!」と叫んだがそれは叶わず、この曲を会場全員で歌える日が来たならば感動必須。

04.悪霊少女
詞:新藤晴一 曲:新藤晴一
悪霊というワードとイントロから何故かキョンシーを思い出してしまう。歌詞の世界観からキョンシーは全く無関係なんだけど。恋心=悪霊に取り憑かれると いう発想は流石で、仮にそう思いついたとしてもここまで完成させられたロックな楽曲はなかなか出来ないと思う。1番と2番の間のイントロが格好良くて好き。

05.Zombies are standing out
詞:新藤晴一 曲:岡野昭仁
良い意味でこんなにシンプルな曲はない。ただひたすらにゾンビについて歌った曲。だからこそ余計な解釈が入らずノレる、純粋にその世界観とかっこいいサウンドを味わう事が出来る。この曲がSonyウォークマンのタイアップになってるのは不思議に感じたけど、音楽の世界に没入出来るという意味ではピッタシの曲なのかもしれない。

06.ナンバー
詞:新藤晴一 曲:岡野昭仁
私はUKロックを知らないけど、昭仁が音楽と触れ合う中で重要視していた部分を全面に押し出した楽曲。UKロックをリファレンスして作った曲なので、新曲であるにも関わらず懐かしい印象を覚える。歌詞には様々な動物が現れて穏やかで柔らかいイメージを想像させるけど、このMVを観てしまうとそのイメージをぶち壊される。タチが悪いのが、田園風景のあるロードムービー的な作りなので、世界観全てぶち壊される訳では無いのが、もう訳分からなくなる。

07.バトロワ•ゲームズ
詞:新藤晴一 曲:岡野昭仁
私の世代(30代)でバトロワというと、映画にもなった「バトル•ロワイヤル」を思い浮かべてしまう。最初はガッツリそのつもりで聴くと視点が合わず違和感がめちゃくちゃあった。このMVを観て「あのバトロワじゃないんだ」と落とし込む事ができ、ダンスナンバーとして楽しむ事が出来る様になった。慣れてしまうと音のキレが心地良く、リピートしてしまう。

08.メビウス
詞:新藤晴一 曲:岡野昭仁
私の中で物議を醸した一曲。「なぜ歌詞が平仮名ばかり?」「歌詞がいきなり怖いよ」「タバコの銘柄かと思った」平仮名ばかりの歌詞と冒頭のショッキングな歌詞で不気味さ漂ってます。メビウスはタバコの銘柄を指してるのではなくてメビウスの輪の事を指している事が聴いてて判明しました。まぁそうか。メビウスの輪は「永遠」という解釈が出来るんだけど、歌詞にある「あなたがいない朝から」と「私のいない夜まで」を繋げても、結局そこに2人はいないよね。悲しい。晴一がインタビューで「以前はネガティブ要素のあった言葉も今の時代では十分な個性」という事を話してたけど、所謂メンヘラ要素を目の当たりにすると萎縮するよ。

09.You Are My Queen
詞:新藤晴一 曲:新藤晴一
メルヘンな雰囲気で歌詞もお花畑感漂ってる。個人的には女の子を子に持つ父親目線の曲なのかと思ったけど、立場完全に彼女寄りのカップルかもしれないし、MVの様な捉え方も出来る。あのMVを観た(観てしまった)事で、この曲の捉え方がブレブレになってしまった、私の中では珍曲。
アルバム通しで聴けば箸休め的な立ち位置にもなる。

10.フラワー
詞:新藤晴一 曲:岡野昭仁
「こんな夜更けにバナナかよ」という映画の主題歌。筋ジストロフィーにかかりながらも自らの意思に正直な生き方をする主人公の物語なんだけど、主人公を思いながら作った曲だとの事。病気や障がい、境遇、その他悩みや生きづらさを抱えている人達の背中を押すメッセージ性のある一曲。

11.ブレス
詞:新藤晴一 曲:岡野昭仁
肩肘張らずに生きていこうぜって感じの曲。「ポジディブな言葉で 溢れるヒットチャート 頼んでもないのにやたら背中を押す」この部分はまさに晴一感が出てるけどこの後発売するシングル『テーマソング』はしっかり背中を押すこのコントラストが最高。人間なんて何の歌詞が刺さるかはその時の状況次第だし、色んな視点からの応援歌があった方が良いよね。

12.クラウド
詞:新藤晴一 曲:新藤晴一
「クラウド」という現代の管理システムに焦点を当てた失恋ソング。悪霊少女でも思ったけど、よくもまぁこの視点を思いつくもんだ。特殊なモノに焦点を当てた曲ってどこかチープな仕上がりになる印象が強いけど、この曲は詞曲共に完成度が高くて何度もリピートしてしまう。

13.ジルダ
詞:新藤晴一 曲:岡野昭仁
最初のイントロからもうこの曲の世界に誘われる。舞台が週末のバルという事で、大人な感じ漂うお洒落な雰囲気が想像できる。バルとか行った事ないのに。初聴から耳に残る気持ちのいいメロディ「君はスペシャルでゴージャスに輝いてる オフィスカジュアルな〜〜」からのサビへの繋がりで完全にこの曲の虜となった。アルバムの中でもかなり好きな曲。

14.証言
詞:新藤晴一 曲:岡野昭仁
今のポルノの集大成とも言える壮大な一曲。失った恋人について歌ってるんだけど、その絶望感がヒリヒリと伝わってくる。私は離別でなく死別だと捉えた。

完璧なものなど この世にはないというのなら あの愛はそれを覆した ほんの一瞬 たくさんの星が証言してくれるはず

「証言」の歌詞で1番インパクトがあるのがこの部分。晴一の書く歌詞は哲学的で洒落てる。今回もこのフレーズをサビのラストに落とし込む事で、どれほど大切な人だったのかが痛い程に感じる。MVを最初に観た時は「なんじゃこりゃ?」となったが、今はあのMVじゃなきゃ満足出来ない。

15.VS
詞:新藤晴一 曲:新藤晴一
ポルノグラフィティ20周年記念で発売された50枚目のシングル。「50周年にしては少し曲として弱いな」とか一丁前に思ってたけど、聴けば聴く程耳に馴染んでいき、発見があり、ポルノファンだからこそ楽しめる一曲だった。
「プッシュプレイ」や「ダイアリー00/08/26」で出た歌詞のアンサーがあるのは熱い。「Let's go to the answer」でもあったが、昔の曲を入れ込み遊びを加えるのは嬉しい。


発売から半年が経過してやっと感想を書き終えました。
今尚飽きる事なく聴ける名盤です。
次のシングル、そしてライブが早くも楽しみです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?