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カウンセリング理論 - その他

現在通っているキャリアコンサルタント養成講座で学んだことを、復習を兼ねてまとめています。
(2024年3月に受験予定です!)


家族療法(システムズ・アプローチ)

理論的背景

1950年代半ば頃アメリカで生まれた、家族全体を援助対象とした心理療法。
各流派の理論や技法には特徴があるが、一般システム理論に基づいたシステムズ・アプローチを根底とするところは、どの流派にも共通している。

家族システム論は、ベルタランフィの一般システム理論からきた考えで精神力動的視点から、家族をひとまとまりの「システム」と捉える発想である。
個人を集団の一部と捉えることで、これまでの個人療法や医学的治療のように、問題の原因を個人に還元するのではなく、家族の相互作用の関係性の中に存在すると考える

主要な概念や技法

>>個人ではなく、システムを問題と考える

問題を起こしている個人ではなく、その問題を起こさせているシステム(家族の人間関係など)に問題があると考える。

問題の症状は「関係の問題」であり、それを一番負担に感じた人、または被害を受けた人が症状としてSOSを表現したとみなす。この人をIP(Identified Patient)と呼ぶ。

誰かを患者や加害者にして責任を押し付けるのではなく、全体の問題としてシステムの不具合の解決を図ろうとする。

>>家族をシステムとして理解する

家族をシステムとして理解するためには、システムの境界と階層、循環的・円環的因果律、家族システムの発達と変化を捉えることが重要。

1.境界と階層がある
家族の中には個人の境界があり、個人は家族のサブシステム、家族はより上位のコミュニティなどのサブシステムという階層を作り、相互に関わり合っている。

2.循環的・円環的因果律の中の悪循環
物事を相互影響の中で捉えるシステム論は、原因→結果であるため、問題の原因を追求する、という直接的因果論でなく、問題は周囲との影響しあう関係から起きている、とみる循環的因果論。

3.家族システムも変化・発達する
個人が成長プロセスをたどるように、家族システムも変化・発達すると捉える。予測できる変化を理解しておくと、予測外の変化や危機への対応の必要性と方法が工夫可能になる。

その他 代表的な家族療法理論

  • 構造理論(構造学派)

  • コミュニケーション理論(コミュニケーション学派)

  • 多世代理論(多世代学派)

ナラティブ・セラピー

理論的背景

家族療法を起源とし、1980年代後半から複数の国々で実践された一群の心理療法の総称。社会構成主義から影響を受けて起こった、大きな理論的、実践的変化。

語りによって構成される現実や、語りがもたらす意味を重要視し、クライエントが置かれている文化社会的なコンテクスト(背景文脈)を明らかにしようとするものである。

自己について語ることが自己を構成するという、社会構成主義的な自己論に立脚し、新たな語りを生むことが、新な自己を構成することに通じると捉える。

主要な概念や技法

治療者とクライエントとの会話を、問題解決の手段とは必ずしも考えず、会話のプロセスそのものが治療と考え、問題の浸透しているストーリー(ドミナント・ストーリー)とは異なった、それに変わるストーリー(オルタナティブ・ストーリー)をクライエントと治療者が協働しながら構築していくことに主眼が置かれる。

アンダーソンが治療者に勧めた態度が「無知の知」。
クライエントこそが自分自身の問題についての専門家であることを認め、治療者自身の専門知識や先入観を一旦脇に置き、「知らない」という立場に意図的に立つことによって、クライエントの語りを尊重し、会話を促進しようとした。

そのような過程を促進するために、治療者は、循環的な質問、再起的な質問、会話的な質問などを積極的に用いる。このような質問技法を多用する点において、ナラティブ・セラピーは古典的な非指示カウンセリングとは異なっている。

実存療法

理論的背景

19世紀半ばから後半にかけてのキルケゴール、ニーチェらをはじめ、ドイツのハイデッガー、ヤスパース、フランスのサルトル、マルセルらに代表される、「人間の実在」つまり人間特有の存在の仕方を中心的関心とする「実存主義」思想の影響を受ける。

実存療法は、「実存主義」や「実存哲学」を背景理論とし、「開かれた世界への志向性や自己執着からの解放」などが共通原理となる。

フランクルの実存分析やビンスワンガーの現存在分析に見られる人間感を基本理念とする。

分析の対象は個人内の力動ではなく、人間存在のあり方、個人の生きる意味や責任などのより高次な精神活動とする。

主要な概念や技法

「ロゴテラピー」を創始したフランクルは、フロイトの「快楽への意志」やアドラーの「権力への意志」が満たされても、「意味の意志」が満たされ無い限り真に満足することはないとし、人間は以下なら困難や苦悩の中でも意志の自由を持つ、と唱えた。

ヤーロムは、実存療法を「人間の心の奥になる内的な葛藤は、与えられた存在性に対して個々人が直面した時に生じるという信念に作用する、治療の哲学的方法である」と定義している。

実存療法では、個人を固有な存在として尊重し、「意味」の追求を重要視。意味を見つけて自らの意志で生きることを選択していく自由があると考える。直面化や解釈をはじめ、意味や価値を探究するための働きかけが技法として用いいられる。

交流分析

理論的背景

小集団による心理療法としてだけでなく、パーソナリティ論、人間関係論としても理論が確立されており、人間関係や個人の発達理解、組織開発などにも広く利用されている。

心理療法としての交流分析の特徴は、人間の自立性の達成にある。

  1. 理論は自己理解、自己洞察を得られやすいように構成されている。

  2. 「今、ここ」で過去の体験を再現することにより、その体験を検討し、自分の意思決定により新たな自己の行動を選択できる方法論を持っている。

  3. 「親密さ」を重視し、真実の関わり、心からのやさしさ、暖かさを強調する、といった特徴を持つ実存的アプローチ。

主要な概念や技法

交流分析の理論派主に次の5つの基本概念で構成される。

1.ストローク
人の存在を認める行為、「人は誰しもストロークを求めて生きている」とバーンはいったが、ストロークには、実際に身体的に接触する「タッチ・ストローク」と、言葉がけなどの精神的な「認知的(心理的)ストローク」があり、乳幼児期にはタッチ・ストロークが不足すると発育不全を起こすとした。

誉める、励ます、うなずく、微笑む、などが肯定的な認知的ストローク、
叱咤する、励ます、にらむ、無視する、禁止するなどは否定的な認知的ストローク。

2.構造分析(自我状態)

構造分析では自我の状態を3つに分類し、構造分析を通じて、個人の中でどの自我状態が優勢であるかを明らかにする。この3つの自我状態とは、親(Parent)、大人(Adult)、子供(Child)であり、親と子どもには2種類の自我状態がある。

親の自我状態には、主として批判や避難を行う批判的な親の状態(CP: Critical Parent)と、主として誉めたり労ったりする擁護的な親の状態(NP: Nurturing Parent)がある。このような親の自我状態は過去に自身の親から取り入れたものであるとされる。

大人の自我状態とは事実に基づいて冷静に物事を判断する自我状態である。

子どもの自我状態には、両親のしつけの影響を受けていない、感情的、衝動的、自己中心的な自由な子どもの状態(FC: Free Child)と、両親のしつけの影響を受けた部分で、両親の期待に沿った行動をする順応した子ども(AC: Adapted Child)の状態がある。このような子どもの自我状態は過去に自分が子どもの時に体験したものであるされる。

3.交流パターン(やりとり)

人と人との一対一のやりとりの単位。人間は3つの自我状態を持つので、その人がP/A/Cのどの自我状態で誰に話しかけ、相手がどの状態で反応するかを詳しく観察することで、人間関係とコミュニケーションを改善するための手がかりを得ることができる。

4.人生分析(人生ゲーム)

隠された動機によるやりとりのことで、表面的な心地よさの裏に、必ず不正直な駆け引きがある。それがノイローゼや慢性的悪循環の人間関係をつくる基になる。ゲーム分析は交流分析の治療的活用法の中核。

5.脚本分析(人生脚本)

交流分析では人生をドラマと見立て、各自が独自の詩なりをお演じるが、その中で人が演じる役割や筋書きを「脚本」と呼ぶ。脚本を分析し、自己実現するため脚本を意識的に建設的なものに書き換えようという、交流分析の最終段階。

>>エゴグラム

自我状態の5つの昨日の関係とそのエネルギーの大きさを棒グラフまたは折れ線グラフで表したもの。自我状態の5つの機能をどのように使っているかを知ることで自己理解が深まる。バーンの弟子であるデュセイによって考案されたもの。

日本人成人の平均エゴグラム
NPが最も高く、養育的な、母親的傾向が強い。

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