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理想のリーダー像とはなんだろうか①

はじめに

 私自身、様々な学生組織に所属した際に、それぞれの組織のリーダー像や組織体系を注視して特に知見を深めてきた。18歳までの人生の中で高校卒業という一区切りの中、今まで感じた「理想のリーダー像」について書き留めておきたいと思う。(未熟な知見であるため内容についての相違等はご容赦ください。)

 リーダーとは英語で「leader」と書く。「leader」を英英辞典で引くと以下のように書いてある。

leader - the person who leads or commands a group, organization, or country.

Oxford Languages

 日本語にすると、「グループ、組織、または国を統率する、または指揮する人。」となる。簡単に言ってしまえば組織を「まとめあげる人」なのだ。
 しかし、世の中そう簡単ではない。自分と同じ思考を持っている人であれば、どう言えばどう動くのかはわかりきっている。しかし、自分と同じ思考や価値観の人などおらず、一人ひとり声のかけ方が変わってくるのも現実だ。
 また同じように、組織もそれぞれ特性がある。その組織に合った”リーダー像”が求められるのはいうまでもない。しかし基礎として大事な部分は変わらないと感じている。”うまくいく組織創り”とは、経験から見えた一般論から掘り下げてみる。

組織についての理解をしているリーダー

その組織について理解をするというのは、リーダーにとって当たり前のことである。しかし、本当に本質をみることができているのだろうか。リーダーが本質に気づけていないとき、下の者からは指示や方針に対する反感が噴出する。「わからないくせに勝手に決めるな」というものである。このような声が直接的に上がることこそあまりないものの、陰口じみた形で言われることは多い。この不信感を生む背景には、本質を理解していないリーダーの発信することには、説得性や信頼性に欠けてしまうというものがある。かといえども、リーダーになりたての立場で完全に理解をしていることは不可能である。そんなときに求められるのは、理解をしようとする姿勢である。その組織の本質を理解する前に謙虚な姿勢を崩してしまうと、既に理解しているチームメンバーからの不信感を買ってしまうというものだ。リーダーたる者、常に本質を追い求める謙虚な姿勢を心掛けたい。

声を聞くリーダー

 組織が円滑に動いていく上で、信頼関係は特に大事だといえる。では、どんな時に信頼関係は生まれ、どんな時に崩れてしまうのだろうか。まず、間違ってもしてはいけないことがある。それは、相手に対して「信頼できない」という感情をもってしまうことだ。これを態度や口に出すのはもっての外。致命的な関係性の破壊も招きかねない。相手に対して不満があるのであれば、信頼できないと決めつけるのではなく、まずは相手に自分の思っていることを伝え、かつ相手の意見をきくことが大切である。相手の「声」を聞くということは、信頼関係を築く第一歩であり、信頼関係を壊さないためにも大切なことである。チームメンバーの「声」を聴こうとする姿勢を心掛けたい。

志を持つリーダー

 前項では、声を聞くことの大切さを挙げた。声を聞くのは大切なことである。しかし、声に自分の声や意見がながされてしまうのでは、それもまた信頼されるリーダーとは言い難い。リーダーもまた、しっかりとした信念や志を持ち、その意見を組織内で適切にシェアできることが求められる。「志のないリーダー」は、チームメンバーに不信感を与え、組織の行く末を不安視させる原因となる。志を持つリーダーは、自分がもつ組織やプロジェクトに対して情熱と信念を持ち、その目標を達成するために全力を尽くす姿勢を示すことが重要である。組織では、志を持つリーダーが求められる。様々な活動をしていくなかでは、答えのない問いに度々直面し、それらに対して取り組む必要があり、困難や挑戦に満ちているため、乗り越えるための筋となる志をリーダーが有している必要があるのだ。

 また、この志となるものをチームメンバーに「適切に」共有することも求められる。リーダーだけがそれを隠し持っているのでは、主となる組織内の意思や考え方の統一ができないからである。リーダーには「聞く」ことも求められるが、「伝える」ことも求められるのである。しかし、ここで注意しなければならないのは、伝え方である。相手の意見を否定するような伝え方をすると、チーム内に亀裂を生みかねない。相手の意見を尊重しながら自分の意見についても理解を求めるような姿勢を心掛けたい。


Why → How → What の順で説明をするリーダー

 何かをチームメンバーにお願いするとき、何かチーム内で方針を立てるときには、リーダーが説明を行う。その際に、「What」(何を)だけを説明してしまいがちであるが、これは不信感を生む大きな誤りである。これについて、有名な「TED(Technology Entertainment Design)」という世界の各分野の専門家や著名人によるスピーチを企画する団体の中の、[1]サイモン・シネックの「How great leaders inspire action(優れたリーダーはどうやって行動を促すか)」という話は非常にわかりやすい。簡単に説明すると次のような内容だ。
 組織の中で何かを説明するときは、「Why(なぜそれをするのか )」→「How(どのようにしてそれをするのか)」→「What(結果的に何をするのか)」という順でしようということである。急いで結果だけを伝えてしまうとかえって悪影響を招きかねない。慌てず手順を踏んで説明する姿勢を心掛けたい。

内容
テーマ :「リーダーが行動を促し目的感を生み出す方法」

概要 : Appleや、黒人市民権運動家のキング牧師や、ライト兄弟を例に挙げて、優れた、達成することができる世間のリーダーに共通する、他の人とは違うこととは何かを論じている。それは考え方の順番であり、「What(何を)」ではなく、「Why(なぜ)」から説明することこそ行動を促す鍵だと述べられている。

ポイント① : 人びとの思考や伝え方のゴールデンサークルでは、「What(何)」や「How(どうやって)」よりも「Why(なぜ)」が人間の行動や意思決定において重要である。

ポイント② : チームメンバーは自分の信念のために行動する。
何をしなければいけないのか、現状がどうあるのか、というのは、行動を起こす上で理解する物にはなり得るが、人々はそれでは納得「感」は得られないのである。自分の奥底に眠る「信念」が納得していない限り、進んで人は行動しないのである。信念をつかさどるゴールデンサークルの中心部である「Why」が重要なのだ。

ポイント③ : 人々は自分の価値観や信念を共有する人に惹かれる
自分の価値観や信念(言動の根底にあるもの)を共有するリーダーは非常に好まれる。また、何かアクションを起こす時に、これらをしっかりと伝えておくことがチームの士気を高めるカギとなる。

やりがいを創り出すリーダー

 その組織の運用効率は、メンバーの意欲や士気に依存することはいうまでもない。しかし、サラリーなどの対価がなく、契約関係などが全くない学生団体のような組織においては、意欲や士気というものは上げようにも難しい実情がある。では、どのようにやりがいを創出するのだろうか。人がこのようにしたい、させたいという思いは、欲求から生まれてくるものである。人は様々な欲求に従って動く生き物であり、組織の中での働きに関係してくる欲求について、主に「自己完結型欲求」と「他者貢献型欲求」、「他者依存型欲求」などを定義する。

 「自己完結型欲求」とは、主に自分が立てた目標を達成することや、自分が成長していると感じているときなどに満たされる。自分の中で完結できる欲求である。

 「他者貢献型欲求」とは、社会に対する貢献や、他人への貢献を通じて満たされる欲求である。「自分が役に立てている」と自己的に感じることによって満たされるものだ。

 「他者依存型欲求」とは、他人や社会からの評価や承認、称賛によって満たされる欲求である。「自分が役に立てている」と他者から認めてもらうことによって満たされる。

 では、これらの欲求に対応してやりがいを創出するためには、どのようなマネジメントをする必要があるのだろうか。それぞれ考えていってみる。

「自己完結型欲求」といっても組織の環境に左右される。チームメンバーが、それぞれの能力を発揮し、または能力を高めるためには、羽を伸ばして活動できる環境作りが必要である。人は主体的に動くときに能力を最大限発揮し、または、これまで発揮できていなかったものを発揮できるようになる。そのため、リーダーはそれぞれの個性や特色を見極め、役割や責任の伴うことや、やりたいことをやれる空間を作りだしていくことが望ましい。

「他者貢献型欲求」は、活動に積極性がみられるときにしか満たされない。消極的に活動している状況では考えすらもしないからである。では、どのように活動の積極性を見いだすのだろうか。それは、活動の目的や、それによってどのような貢献があるがあるのかというのを明確にし、欲求を見いだし意欲を引き出し、積極性をもたせていけるような環境を創り出していくことが望ましい。

「他者依存型欲求」は、承認欲求とも呼ばれ、今あげた二つよりも強いものであろう。そして、前の二つの欲求も、承認欲求によって満たされ、補完されうるものであるともいえるであろう。承認欲求を満たすため、人は無意識に良く見せようとし、自分に対しての像を創り上げていく。このときに、チームメンバーの承認欲求を満たすことだけを考えてはいけない。つまり、なにも考えずに求められた承認を与え続けてしまうと、方向の違ったものにも承認を与えかねない。承認欲求を活用し、チームメンバーの向上心や主体性につなげることを意識しなければならない。

大きく三つに分類したが、これらが密接にかかわりあっているのは言うまでもない。次のように例をあげることができる。「自己完結型欲求」は、「他者依存型欲求」による承認によって自己内での評価、すなわち、自己肯定感が高まる推進剤となりうる。「他者依存型欲求」は、「他者貢献型欲求」を満たすその先に現れるものでもある。「他者依存型欲求」が「自己完結型欲求」を満たすための手段になることもあり得る。


コミュニケーションを大切にするリーダー

  あらゆる2人以上で創り上げる組織はいわゆる共同体組織であり、コミュニケーションは最重要視されるべきものである。その中で大事にされなければいけないのは、他者に対する尊重であり、あってはならないのは他者に対する否定である。この他者とは、他人の考え方・価値観・思ったことを含む他人に関する全てのことである。
 他者に対して意見を付する際は、相手の意見を尊重している前提でなければならない。「それはダメだ」と否定のみを押し付けてしまうと不信感の連鎖につながりかねないからだ。相手の言うことを聞き、尊重したうえで自分の意見を言うことを心掛けたい。誰かと意見の相違があったときは、コミュニケーションを積極的にとり、否定せず尊重し、その上で意見を伝えることが大切である。
 リーダーにはまた、メンバー同士のコミュニケーションを調整する役割も担わなければならない。メンバーが他人を尊重していないような言動をとってメンバー間に亀裂が入ってしまっては自分がどれだけ他人を尊重していても意味がない。そんなときにリーダーにできることは、双方の主張を聞くようなコミュニケーションをとることだ。このときにどちらかの主張に立ち、もう一方を否定することは決してあってはならない。2人の間の亀裂が組織全体の亀裂へと一気に広がってしまう。双方から主張を聞き、双方の意見を取り入れた妥協案を見いだしていく。時にメンバーの言動に他者を尊重していないことが見えたときは、”その言動に関して”注意をし、改めるよう説明をすることが望ましい。全てはコミュニケーションを大切にしたうえで実現することである。相手を尊重し、先入観にとらわれることなく、積極的なコミュニケーションをとることを心掛けたい。

ー続くー


-------執筆者-------
高田朋輝
東海高校2023年度卒業予定、東海高校サタデープログラム第40回講座部長、第41回副実行委員長、134th東海高校記念祭総務班副班長、愛知県高校生フェスティバル74期企画要員部隊長、75期副実行委員長兼企画要員部隊長、元東海中高ワンダーフォーゲル部部長、2020年度全国ジュニア選手権大会JME(中学選手権)クラス優勝、2021年全日本ミドル・オリエンテーリング選手権大会M20Eクラス(20歳以下全日本選手権クラス)準優勝、2021年,2022年日本オリエンテーリング協会U18ジュニア強化選手

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