終電の余韻

他の職場の人だけど、好きな車掌さんがいる。

「好き」というのはラブとかそういうのじゃなくて、お気に入りのTシャツに抱くような「好き」である。
なぜ好きなのかと言うと、放送の声が聞いていて心地よいし、ちゃんと挨拶を返してくれて、またその時の笑顔が癒されるのだ。

先日、終電でその車掌さんと組んだ。
最近目が疲れやすくなってきたりして辛い終電帯、テンション爆上げである。
放送のモニター音量を大きめにしてラジオ代わりに。ハキハキした中にも柔らかさがあり、相変わらず癒される放送。
全く気にも留められていないと思うし、なんなら「やめてくれ〜」と思われているかもしれないのに、剃刀ブレーキでガンガン突っ込み気分良く運転。あーゆー時は「天体観測」を自然と口ずさんでしまう。

終点に着いて点検のために後ろに歩いていくと、車掌さんと中ほどですれ違う。
「ありがとうございました〜」と、お互い笑顔で挨拶を交わす。
仕事なので誰にでも同じ挨拶をしているのが分かりきっているのに、なんだか自分だけにしてくれていると勘違いをしかけている自分を頭の中で一発引っ叩く。
ただのキモいオッサンである。

挨拶しかしないし、なんなら苗字すらも知らない車掌さん。

いつもありがとうございます。

この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?