運転士と会社

私はこの会社にあえて現場職採用で入ったクチだ。
理由は「しっかり現場経験を積みたかった」から。もっと言えば、ガッツリ運転士をやりたかったから。

しかし時代は変わり、なんなら会社が思っていたよりもずっとずっと早く変わり、我々社員もスピーディーな方向転換を迫られている。

今までであれば、駅から車掌、運転士を経験すればひとまず目標達成とみなされ、そこから色々な道が開けるシステムであった。
しかし時代は変わり、駅から直接運転士になれたり、それこそ「運転士なんて興味ないですね」という新入社員が多いと聞く。そこに会社が目指す姿が見え隠れする。

簡単に言ってしまえば、「その道を極めたい」という時代は終わりを告げつつあり、幅広い仕事をこなす事が現場にも求められつつあるのだ。
もちろん道を極めることが否定されている訳では無いが、「あ、オレ運転しか能がないんだよね」などとゆっくりタバコを蒸しながら言い放つ余裕など許される時代ではなくなってきている。

私は元々ずっと現場にいるつもりは無かったが、それでも流れに付いていくのは至極大変。
自己啓発の名の下に次から次へと様々な企画業務ごっこに取り組み、ここ1,2年乗務だけで過ごした月は全く無いと思う。
なんと言えば良いのやら…、私が夢見た鉄道マンの世界は過去のものになりつつある。

こういう生活をしていて思うが、今の乗務密度で同時に空き時間を使って企画業務の類をこなすなど、困難を極めると思う。
乗務中の間合い時間だって潤沢なわけでは無いし、環境だって貧弱。
どうしても仕事前後の対応になり超勤の嵐で、出るものが出たって身体がキツイのなんの…。

過渡期故の辛さかもしれないが、時々馬鹿らしくなるのは事実だ。
早く抜け出したくなったって結局人の縁が無ければ実力一本ではなかなか厳しい世界だし、かと言って立ち止まればどんどん追い抜かれていく。
元々そういう競争の類が嫌いでこの世界を選んだのに、自分のペースもヘッタクレも無いこの状況はだいぶ辛かったりする。

まぁでも、いつかはトンネルを抜け出せるんですかね。分からないし保証は無いけど、その瞬間を夢見て頑張るしか無い。
出た瞬間、めちゃくちゃ眩しいだろうな(笑)

運転士と会社

その関係は今まさに変わりつつあるのを痛いぐらいに感じている今日この頃てある。


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