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077 70.5点の領域

パスタと料理


父が料理人だったからか、はたまた母も調理師免許をもつほどの料理好きだったからか、僕もある時から料理を趣味にするようになった。

きっかけは一皿のパスタ。

出張先でたまたま食べた「茄子と厚切りベーコンのアラビアータ」が美味しくて、大阪に戻ってからパスタ屋さんを何軒か探した。
それでもぴったり食材のパスタなんて見つけることができず、しかたなく自分で作ってみようと思い立ったのだ。

パスタ作りは意外と簡単で、一度作り出すと、次々に食べたいパスタが頭に膨らむ。

「しらすの冷製パスタ、ちょっときゅうり添えたやつ」や「バジルソースにタコ絡めて、そこにレモン絞りたい」など、かなり的の絞られたパスタを欲しては、キッチンに立つようになった。

自分で言うのもなんだけど美味しいのよ僕のパスタ!

正直、ちまたに溢れる安い居酒屋の多くより、断然うまいのでは?と思うほど。

そんな心持ちになってくると、今度は人に振る舞いたくなってくるもの。

何かを理由にかこつけて、食事会やパーティーを開いたり、お気に入りの女子に振る舞ったり。見た目から入るのが好きだから調理器具もそれなりに揃えてシェフ気分。

「お店でも開いちゃおうかしら!!」

なんて偉そうなことは、口が裂けても言えないけれど。


プロの領域

料理を作ったことがない人が0点だとすれば、レシピを見ながら一度でも作れば60点の料理はできるし、少しハマってみれば、たちまち70点の料理が作れるようになる。どんなことでも70点まではすぐなんだ。

あるコーチが言っていた。

「素人で100mを13秒では走れる人を指導すれば11秒台はすぐ出せる。でもそこから0.1秒縮めていくのが大変なんだ」って。

33
g確かに世界陸上を見ていても思った。こんなに練習してるのに0.1秒がなんで縮まらないんだろうって。それが限界までに突き詰めたプロの領域、あと少しが大変なんだ。

料理はもちろん、カメラやデザイン、執筆でさえも
はじめてみれば70点の作品はすぐに現れる。
そしてまわりから「できる人」だと言われるようになる。

プロを目指してないなら70点は十分すぎる満足点。

なんでもやり始めるって大切だなぁ。

そうそう、最近ダイエットも頑張ってるのよ。
一気に5kg痩せたけど、そこからの100gってなかな落ちないよね。

自然の摂理かこのやろう。

***


-もの-

忘れた傘で雨をしのいで
白川烈著

嘘みたいな話なんだけど、昨夜この文章書いて、「もの」コーナーを昼休みに書こうと思ったら、仲良しでありながらも嫉視する物書きが「70点」をテーマに遠からず近からずなエッセイをあげていてびっくり。そんなことある?

いやーこれは上げにくい。
本人にそのことを送ったら「出したもの勝ちの世の中だー!笑」って。

とはいえ勝も負けるも、彼は遠く75点を超えた世界にいると思う。

だって本出したんだもん。

もうすぐAmazonで販売開始だとか。

書き手の想いが滲み出た素敵なエッセイだし、校正にもこれまた心寄せる物書きが関わっているのでぜひお手に元に一冊。


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