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渡米15日目 新学期二日目。日常と非日常の狭間で

6時半過ぎに目を覚まし、久々にラジオ体操と腕立て伏せした。報道カメラマンを続ける中で沖縄に赴任していた頃から腰や肩や膝を痛めて、一時は体が動かなくなった時期もあり、もうおそらくここ10年ぐらい日々のメンテナンスの意味も込めて、朝の体操を日課にしてきた。だが渡米後ホテル暮らしや引越しでしばらく日課をこなせずにいたが、朝起きて、コーヒーを淹れて、体操をするというようやく日常的な流れができつつある。今日で渡米してから早半月。ここにある非日常的だった日々もやがて日常になり、少し落ち着きつつある中で、日本にいた頃の日常的な日々が逆に非日常なものになり、そこにあった時間の流れや物理的な触れ合いを懐かしく恋しく感じるようになってきた。それだけの心の余裕が少しできてきたのかもしれない。

今日は授業のない一日。大学院では毎週月曜日に脚本クラス(Graduate Writing Short Subject)、火曜日に監督クラス(Fiction Film Directing)、金曜日にConceptual Developmentのクラスを履修しているが、水曜日と木曜日はちょうどクラスの谷間となり、授業そのものはない。週に三日しかクラスがないと聞くと、なんて楽なんだと日本の大学生の感覚からすると思うかもしれないがとんでもない。アメリカの大学はとても宿題や課題の量が多く、授業はその課題がきちんとこなせているか、そして次の課題に向き合うための指針を確認するためにあるようなもので、基本的には出された課題に一週間かけて向き合うことになる。まだエマーソンでの秋学期はまだ始まったばかりだが、かつてジャーナリズムを学んだニューヨーク大学(NYU)のジャーナリズム大学院時代は、課題をこなすのに必死で、もうこのまま眠ってしまったら落第してしまうのではないかと最初の秋学期は文字通り、辞書を枕に眠っていた時期もあり、まさに人生を賭けるような勢いで猛烈に学んだのを覚えている。

「人は2年間でここまで変われるのか」

NYUを卒業する時に、自分がどれだけこの2年間で経験し、変化し、成長したかを実感して感じた率直な感想がこの一言だった。こちらの大学では授業料だけでも年間500万円はかかり、日本の私立大学の比ではないが、まさに「LIfe Changing=人生を変える」だけの濃密な時間がそこにはある。だから、僕はあえて再びアメリカにやってきたし、ここでの学びを通じて、この先ずっと映画を撮り続けていくための礎を築きたいと思っている。そしてもちろん、今回の大学院留学もフルブライト奨学金を得られなければ経済的にも到底実現できるものでなかったため、そのための準備に相当の時間も費やしてきた。これまで費やしてきた時間の長さの分だけ、まさに乾いたスポンジのように新たなことにチャレンジ、l吸収しようとする反撥力のようなものが自分の中に渦巻いているのを感じてもいる。

昼過ぎまで、昨日の監督クラスで出された課題の振り返りや金曜日のConceptual Developmentクラス(まだどう日本語に訳していいかがわからないのでまた後日・・・)のリーディングをこなした後、夕方全大学院生に出席が義務付けられているある講習に出席するために、15時過ぎに大学に向かった。

エマーソン大学は、キャンパスがボストン市内のど真ん中にあって、特に囲い込まれた敷地がなく、学部ごとに校舎がビルの中に点在していている。以前2年間を過ごしたニューヨーク大学もまさにこのスタイルだった。こうした大学のメリットは、なんといっても大学は街の中心部にあり、街そのものをキャンパスとして学べること。加えてエマーソン大学は街中にある映画館や劇場までもが大学の所有物だったりもする。街そのものの文化を形成・牽引している存在とも言えるのかもしれない。

だがそのため、どのビルに何が入っているのかをまだほとんど把握できておらず、今後のキャンパスライフを有意義なものにするためにもまだ課題が少ないこの時期にできるだけキャンパスたを歩いてリソースを把握し、ネットワークを築いておきたい。Office of International Studnet Affairs (留学生課)を訪れ、フルブライト奨学生の担当者となってくれるAndreaさんに挨拶し金曜日にアポをとった後、同じビルの3階にある図書館を確認した。さらに劇場の前にある別のビルの中にある留学生向けの語学サポートを行なっているというLacerte Family Writing & Academic Resource Centerへと向かい、担当者に挨拶した。

17時に大学院生が一度は出席が義務付けられているOffice of Equal Opportunity and Healing Advocary Sessionに参加した。この90分間のセッションは、人種、性別、留学生などに対する様々なハラスメントの防止に向けた呼びかけと、もし被害に遭遇した場合の対処策やその際に力になってくれる大学のリソースを紹介するためのもの。何のためにこのセッションに参加しなければならないのか、出席するまであまりその概要をつかめていなかったのだが、セクハラを含めた様々な人権侵害に対して、大学がいかにセンシティブに対応しているかを感じるものだった。今日の収穫としては、参加した他学部の大学院生と話ができたのが有り難かった。大学には様々な無償のサービスがあるが、自分で把握し、自分のニーズに対してカスタマイズしていくことが大切だと感じる。

ブルックラインで家族と過ごしていると落ち着くのだが、やはり大学に行って多くの仲間と交わる機会をこちらから作っていかないと、なかなかこちらの生活に溶け込めないし、頭の中が英語脳に切り替わらない感覚を覚えていて、まだその辺りのバランスをうまく見つけられずにいる。まあそのうち、大学院の課題が忙しくなりすぎて、否が応でも巻き込まれるようにしてそのバランスが定まっていくのだろうけど。。

DAY15 20230906水3238ー3422ー3438

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