「ずっとパパ、冗談言ってると思ってた。まさか本当にボストンに来るなんて思ってもみなかった」こちらに着いてから何度も次男が呟いている。そこに悲壮感はないが、どこかやはり夢であって欲しいというような願いも汲み取れるニュアンスで。

今日は渡米後、初めての週末。もうすでに渡米後5日が経過しているが、他の手続きに追われて、フルブライトへの到着報告を済ませていない。10日以内報告する義務があり、怠るとビザの剥奪にも繋がりかねない。加えて、子供達の入学に向けた手続きもまだ必要な書類を提出するところまで至っていない。やるべきことが多すぎて追いついていない現状は日々変わらず、時差ボケもあるものの神経が昂っていて、夜中に目が覚めては手続きの再開に取り掛かる。今日も１時すぎに目が覚めてしまった。

「今日は一切関われないから」と家族に宣言し、オンラインでの手続きを進めていたが、昼過ぎ、ちょっと息抜きに、次男が行きたがってホテルのプールに初めて泳ぎに行った。ボストンは日中の気温もすでに２０度台前半でもう夏と呼ぶには、涼しすぎるぐらいだから、きっとプールも肌寒いだろうと思ったが、お湯のような温水プールで入っている間は暖かい。次男と久々に３０分ほど遊んで、それから再び作業に戻った。

困ったことに気がついた。米国に正式に入国したことを証明するI94という書類を提出しなければならないが、オンラインでDepartment of Homeland Security（国土安全省）のページにアクセスしたところ、なぜか次男の入国記録だけが見つからなかった。情報の入力間違いがないか、何度入力しても、「No record found for traveler」と表示される。やれやれ、困ったぞ。おそらく、入国管理官が入力を怠ったのだろう。そもそも入国時にパスポートに入国スタンプが押されなかったことも気になっていたが、ちょっと適当な担当者だったのかもしれない。アメリカではよくあることかもしれないが、頼むから仕事を増やさないでくれよ・・・。明日、フルブライトの担当者にひとまず連絡して対応を仰ぐことしよう。

事態を家族に共有すると、次男は「じゃあ日本に帰れるの？」ととても嬉しそうなリアクション。そういうことじゃなくて、今、日本にもアメリカにもいないことになってるんだよと伝えると、がっかりしていた。

夕方、近くで行われているイタリア系移民のお祭りに赴いた。この時間帯になると睡魔が襲ってきて眠気が止まらない。同じく睡魔に襲われている次男を抱き抱えて、祭りをしばし楽しんだ後、黄昏色に染まる街角を歩いてホテルに戻った。一方、全く時差ボケのない長男はスマホでポケモン探しに熱中している。

夕食にすっかり御用達となったホテル近くの健康食品系スーパーWhole Foodsで、夕食用にそれぞれが好きなスープとピザ、朝食用にバナナとヨーグルトを買い込んで家路についた。

DAY5　20230827（日）3206−3219