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サウナフェアでの登壇資料を無料公開します【東京ビッグサイト】

本日、東京ビッグサイトにて開催されたサウナフェア(東京ギフト・ショー LIFE×DESIGN 内)のトークイベントに登壇して参りました。100人キャパでは収まらず急きょ増席されましたが、もしかしたらお話が聞けなかった方もいらっしゃったかもしれません。主にその方に向けたnoteになります。

そこで私のパートで恐縮ではありますが、登壇資料を無料公開いたします。
(無料のトークイベントであったため、主催の許可を得て公開いたします)


トークイベント内で収まりきらなかった話も、こちらのnoteで続きを書いていきます。会場でお話が聞けなかった方はまず資料で雰囲気を掴んで頂きつつ、そして会場にいらしていた方は、会場での続きのお話としてぜひこちらのnoteをお読みいただけたら、さらにお楽しみいただけるかと思います…!

今年で3回目になるサウナフェア、会場にいらした方はお感じになられていたと思いますが、バレルサウナやインルームサウナ、アウトドアサウナの出展数が拡大していたのが特に印象的でした。サウナ以外に、ストーブのラインナップも拡充されていて、サウナの選択肢がいよいよ増えてきました。

バレルサウナに特化したところでみると、実は検索エンジンでの検索数も急増しており、検索連動型広告なども多種多様な企業が出稿しています。かつて1年半前、バレルサウナのnoteを執筆した際はこんな盛り上がりではなく、テントサウナの後発的存在として市場形成はまだ先という印象でした。

実際に各メーカーさんのお話を伺うと、使用している木材やストーブ、そしてこだわりが素晴らしく、どのサウナを選択しようか悩んでしまうほどの充実したラインナップの数々。私が執筆したnoteさえ古い情報になってしまい、市場スピードの速さを感じます。しかし一方で課題も見えてきました。

テントサウナにおいても同様の現象が起きていたのですが、プレイヤーが増えてくると、どのように差別化すべきなのかが全事業者の課題になってしまうのです。プレイヤーが少ない頃は珍しいサウナに入るだけで価値になっていたのですが、市場が拡大すると同時に更なる創意工夫が求められます。

そして、その差別化や創意工夫を具体的にどうやるの?ということなんですが、まずは事業者側におけるお客さんが誰かを見極めることです。これが考えられていないことがものすごく多い!上のnoteでWHO&WHATというフレームを紹介していますが、差別化以前に顧客を決めることが肝要なのです。

しかしサウナ市場がある種の難しさをさらにもたらしているのは、バレルやインルームサウナなど、未だ日本市場に存在していないマーケットを作らなくてはならない、というのが他業種とまた異なる難易度として加わります。だからこれをやりきれる事業者はめちゃくちゃ凄いということになります。

これは「自分達が何を欲しいと思っているのか?」を顧客ですら言語化できていないということなんですね。顧客に答えを求めても明確なフィードバックがない。ゆえに市場でまだ見ぬプロダクトを顧客にぶつけなくてはならない難しさがある。ウィスキングやショーアウフグース等も同じ状況です。

そもそもサウナの「提供価値」とは何でしょうか。そしてバレルサウナやインルームサウナが顧客に提供する価値とは、何でしょう?サウナ室という箱、つまりハードで勝負するのなら、必然的に「サウナ室の価値」を掘り下げ、分解されることが求められるはずです。その頃合いが今だと思います。

『ドラマサ道』をはじめとする各種メディアで、「ロウリュができる」ことがサウナ室の価値のひとつとして市場で認識されてきました。昨年末に個室サウナの全国リストをまとめましたが、要は「ロウリュができる場所が増えた」というのが今のサウナブーム(らしきもの)として認識されています。

しかし、その先の価値を掘り下げるための情報と手段がない。なのでロウリュできる場所が増え飽和してしまうと、事業者としては差別化に悩んでしまうという構図です。他に顧客から認識されている価値といえば「いかにととのえるか?」ということ。なので目線は水風呂と外気浴環境に向かいます。

年始にサウナのWeb広告100事例をまとめたnoteを書きましたが、ととのいの要素を掘り下げたクリエイティブメッセージがとてつもなく多かったことに驚きました。そしてその空気感を事業者側も感じているのか「社交場」や「健康」「ビジネス」などのキーワードで、差別化作りを模索し出します。

このようなまとめをすればするほど「どうすれば事業者は競合との差別化を意識しすぎず、より本質的に、かつ顧客に対して価値を提供できるのか?」というサードドアを筆者は考えるようになります。そのうちのひとつが「サウナ室の価値って、そもそも何だろう?」というテーマでもありました。

そんなことをうっすら考えていた時に、まさかの機会が巡ってきたのが昨年度のフィンランド渡航でした。そして筆者個人の体験ですが、現地で大きな挫折をすることになります。「日本のサウナブームはめちゃくちゃすごい」と資料まで作り現地で説明したのですが、外国人に全然響きませんでした…

そもそも世界的にサウナが盛り上がっているのが現代で、日本人は知らないかもしれないけれど、イギリスやアメリカ、ノルウェーや、そしてフィンランドでも新たなサウナブームが起きていると。そしてそのブームというのは、日本のサウナ市場で認識されている価値とまた違うということでした。

マーケティング界隈でもよく言われたことですが「海外の最先端トレンドは、数年遅れて日本に到達する」というのがおおよその流れであり、海外トレンドは英語のニュースを読んででも積極的にキャッチアップすべしというアドバイスを頂いたことがあります。そしてこれ、サウナも同じでは?と。

冒頭のスライドでも紹介したのですが「サウナが心地良すぎてサウナ室から出たくなくなる」というのは、国内のサウナ市場では大きく認識されていない(むしろ熱々にして高回転で水風呂に向かうのが日本)のが今なので、「サウナ室の価値を改めて掘り下げる」という問題を考え出しています。

名古屋に、オフィスサウナの先駆け的存在の『LUOVA SAUNA』があります。ビジネスシーンで注目されているのは周知の通りですが、スライドでも紹介した「フレッシュエアー」の度合いがLUOVA SAUNAは異次元です。熱いのに、何故か息苦しくない。この価値に一度気付くともう戻れなくなる。

海外におけるサウナ室の価値として認識されているものと、日本国内で認識されているものはまだまだ大きな隔たりがあります。これはストーブの選び方にも言えることですし、サウナストーンの扱いひとつですら、価値づくりを定義するためのものとして扱われていない。情報の断絶、とも言えます。

今年は海外と日本を見た先駆者たちを中心に、情報の断絶を課題として、サウナそのものの価値の掘り下げを行うイベントや手段などが増加していくと予測します。いや、予測というよりも、意識的に断絶をなくしていかないといけない。でないと、価値はいつまで経っても次元が上がっていきません。

その情報の断絶は(私個人の私見も含みますが)なるべく民主化がなされ、事業者が競合のパイを奪い合うことなく顧客と向き合い、サウナを主とした本質的な提供価値がなされないと、「良質な」サウナマーケットの盛り上がりは実現できないのではないかと考えています。こうした課題は、サウナ業界に限ったことではなく、あらゆる業界で起こっていることかと思います。

トークイベントの最後でサウナツアー企画の紹介をしましたが、ツアーに取り組むことがゴールではなく、まずは「情報の民主化」がよりサウナマーケットが盛り上がるヒントになるのではないかと考えています。もっというと、日本のサウナシーンが、世界に肩を並べるところを想像してみたい。昨年末にサッカーのW杯がありましたが、少し似た感情かもしれません…

とはいえ海外へ気軽に足を運ぶことができない、さらにはパンデミックや紛争などでまた海外に出かけることが難しくなる… こういった状況も予想し、国内のみのオンラインもあります。内容はさておき、先に紹介した『LUOVA SAUNA』の企画が事業者にヒントをもたらす機会になるかと考えます。

「なるほど!フレッシュエアーってこういうことかー!」という感動が、きっと得られます。はじめて「ととのい」という感覚を知ったとき、それを周りの人に知ってもらいたいがためにサウナへと誘い、そしてテントサウナを購入し、はたまたサウナ事業をはじめようという起源となったはずです。

「フィンランドのサウナはフレッシュエアーが凄かった」「海外のサウナはロウリュが気持ちよかった」「以上!」という結論にしてしまうと、再現性がないままなので、それを実現するためのツールとして紹介したのが、こちらの企画になります。会場で伝えきれないところもあったため、そのあたりの背景も含めて、noteでのスライド公開と続きのお話を書いてみました。

いつかまたトークイベントに出演することがあればどこかの会場で、はたまたフィンランドで、どこかのサウナでお会いすることがあれば、サウナの価値についてあれこれお話しましょう。本日は貴重なお時間と機会をありがとうございました! 

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