自#658「冬の冷たいからっ風が吹く門の傍で、昼間、警備で立っていました。いい経験をしたと思いましたが、これが毎日の仕事だとしたら、やっぱりきついなと、痛感しました」

       「たかやん自由ノート658」(自己免疫力④)

 推薦試験で、校門の警備の仕事を担当しました。過去、37年間、入学試験の校門の警備を担当したことは、一度もありません。共通テストの朝、東大の正門付近で、受験する高校生と、年輩の男性と三人が、学業不振でノイローゼになった名古屋から上京して来た高校2年生に刺されました。ああいう事件が、発生して、万一、警備担当者がいなければ、学校は、責任を追及されます。何か事件が発生して、裁判になった時に、敗訴しない、まあこういう理屈で、世の中は動いているってとこも、結構、あります。
 私が勤めている学校には、新校長が1月1日付けで、赴任して来ました。何かご事情があって、前任校長は、退職されたんです。通常の教員の人事異動は4月1日付けです。3学期の一学期間、学校長が不在でも、副校長をヘッドにして、学校運営は、普通にできます。が、何か起こった時、学校長が任命されてなければ、責任体制を問われることになります。
 医療もまあそうです。風邪を引いて、患者が病院に来たら、「薬など飲まず、自宅で暖かくして、睡眠を取って、安静にして過ごすように」と、指示するのが、ベストのインストラクションです。が、注射も打たず、薬も出さず、患者を帰してしまったら、そもそも、病院ビジネスが、まったく成り立ちません。万一、医療放棄をしている医者だと訴えられたら、面倒です。標準治療というマニュアルがあります。そのマニュアルに従って、熱があれば、解熱剤を出し、咳があれば、咳止めの薬を出します。解熱剤も咳止めの薬も、免疫力を下げますから、本当は、患者の身体には望ましくないんですが、マニュアル通りの標準治療を行っていれば、裁判では敗訴しません。
 賢い患者は、薬など飲まず、静養すると思います。もっと、賢い患者は、そもそも風邪くらいでは、感染症のリスクの高い病院などには、最初から足を運びません。病院のビジネスに、安易に巻き込まれない賢い人間にならないと、人生百年時代で、たとえ百歳まで生きても、鼻からチューブが入ったり、胃瘻などを拵えて栄養を補給しながら、ベッドに寝たきりになって、ほぼ痴呆状態で、QOLのはなはだ低い、百歳のBirth Dayを迎えることになります。
 もし、今、私が勤めている学校が、80'sの超荒れた、教育困難校のような学校であれば、学校の前の道路を、特攻服を着た暴走族のバイクが、爆音で往復し、隙があれば、校門を突破して、中庭に突入し、バイクでそこらを駈け巡るみたいな展開になるのかもしれませんが、2022年のなうは、もう暴走族そのものが存在してません。八王子には、いまだに「族」がいるらしいんですが、たとえそんな絶滅危惧種がいたとしても、入学試験日に学校の周囲を爆音で走りまわって、ブイブイ言わせる(こういう形容を昔はしました)とかなんて、到底、考えられません。
 校門前の殺傷事件の方は、起こらないとは言えません。が、これも限りなくrareです。もし、発生すれば、そうは言っても、私はルーツ昭和の熱血ですから、年甲斐もなく、身体を張って、せいいっぱいの対処をします。
 現実は、何も起こりません。AM8:00から、PM4:00まで、途中、休憩時間はありますが、ひたすら何か起こった時のための警備員として、門の傍に、立ち続けているって感じです。工事をしている工事現場や建設中のビルの前で、警備員さんが立っていますが、まあそれと同じ仕事です。
「本当にこの工事、必要なの? ただ、予算を消化するだけのために、別段、たいして必要でもない不要不急の工事を、無理くりやっているだけなんじゃないの?」と、疑いたくなるような道路の改修工事、ガス管の工事などを、交通量があまり多くない、道路で、しょっちゅうやってたりします。法令上決まっているので、警備員さんが立っています。痩せてスリムな、スレンダーな警備員さんは、ほとんど見かけたことがないです。警備の制服がちょっと着ぶくれて見えるってとこも、まああると思いますが、多少、小太りの人が多いと推測しています。実際、自分が、朝から夕方まで、埼玉からのからっ風が押し寄せて来る、学校の中庭にずっと立っていて、ある程度、皮下脂肪が厚くないと、冬場、この仕事は、きついなと感じました。当然、盛夏も、直射日光が当たって、水分補給を怠ると、熱中症の危険があります。夏も冬も、この仕事はhardです。春と秋の気候の良い時のみ、何も考えず、ぽへーっとできるような気がします。
 ところで、自己免疫力という観点に立つと、夏の日差しで身体が熱くなるよりも、冬のからっ風で、身体が冷える方が、はるかに身体に悪影響を与えます。日頃から、私がいつも疑問に思っているのは、都立高校のJKたちは、何故、冬場の超寒い時でも、スカートを短くして、生足で登下校するんだろうということです。タイツを普通に穿けばいいし、今は、多くの学校で、ズボンを穿くことも認められている筈です。イケてるJK=ミニスカート=生足という思考の枠組み(パラダイム)が、出来上がってしまっていて、そのパラダイムを崩せないので、冬場に足も腰も冷やしまくっているんです。これが、どんなに悪影響を及ぼすのかについて、保健の先生や、家庭科、体育の先生は、もっと授業で、生徒にレクチャーすべきだと、私は思っています。自己免疫力という観点でいうと、冬場のミニスカート、生足はperfectにNGです。学校では、インフルエンザが、すぐに蔓延してしまいます。それは、JKがミニスカート、生足で、冬場、自己免疫力を低下させていることも、大きな理由のひとつだと、私は考えています。
 ビルの中の警備ですと、あっちこっちを巡回します。あの巡回の速度を上げれば、有酸素運動になります。エレベーターを使わず、階段を使って、巡回すれば、足腰も鍛えられます。ビル内を巡回する警備は、限りなく健康的な仕事だと思われます。工事現場で、ただ立っているだけの警備は、正直、不健康な仕事です。それでも、座り続けるよりも、立っている方が、腰に負担をかけないだけ、まだ良しとすべきなのかもしれません。
 学校の周囲を、ぐるぐると巡り歩きながら、警備をするという仕組みにすれば、この仕事は、もっと健康的になります(二人ペアで、ひとりが校門に張り付いている時は、もう一人は周囲を巡回し、それをalternatelyに繰り返すって感じです)。
 からっ風の中、ただ立っているだけでは、身体は冷えて、免疫力が下がってしまいます。他にすることが、何もないので、数息観をして、呼吸を整えることにしました。数息観というのは、いーち、にーい、さぁーん、と、息をゆっくり吐きながら、数を算える呼吸法です。息を完全に吐き切るということが、ポイントです。息を吸うのは、別に意識しなくても、ごく自然にできます。肺に残っている息を吐き切るためには、それなりのpowerと気合いが必要です。これをやると、代謝が上がります。代謝が上がるということは、身体が熱を持つということです。工事現場の警備員さんが、数息観をやっているとは、思えませんが、もし、このnoteを読んでいる警備員さんがいれば、時々、数息観をやってみることを、僭越ながら、お勧めしておきます。
 数息観以外に、警備の時間の過ごし方は、思いつきませんでした。次回、警備の仕事を担当した時は、数息観で数を算えている自己と、からっ風と、冬の青い空と、目の前の欅の裸木が、ほんの一瞬でも、渾然一体となる境地を、目指します。相当難しい課題ですが、やってみる価値は、充分にあると思っています。

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