人気が高まるスウェーデン企業、避けられるアメリカ企業

興味深い事に、最近「北欧の会社で働きたいです、もうアメリカ企業はいやです」という相談を立て続けに受けました。

そうした方たちによると、アメリカ企業はあからさまに「植民地」として日本で運営しているのが嫌で、一方スウェーデン企業は「一緒に日本で頑張りましょう」というスタンスだからいい、自主性が認められていてお互いを尊重する社風なのがいい、との事だそうです。

(*ご相談者各個人の感想です。もちろん、素晴らしいアメリカ企業も沢山あると思いますし、”植民地的”な経営をする北欧企業もあるかと思います。
ここで表現している◎◎企業、というのは全体的な傾向であって、個別の企業を指すものではなく、例外が多く存在している事を前提として書いています。)


日本の大企業の働き方と比較すると、驚くほど働いていない(早くに帰るし良く休む)のに、世界トップ企業で有り続ける北欧企業がいくつかあります。その理由は何なのでしょうか。

以前、スウェーデン企業でとても楽しそうに働いていた方がいたので、掘り葉掘り聞いてみました。その人のスウェーデン上司の性格やマネジメントスタイルもあるかもしれないのですが、そのとき聞いた話では:

・ものすごく適当。本当に適当。でも本質はちゃんとつかんで、そこだけちゃんとやる(なので長時間労働にならない)
・全然会社に来ない人もいたけど何も言われてなかった
・就業時間中にマネージャーの呼びかけでみんなでジムに行ったりもする
・自分のプライベートの近況について会議で報告、プレゼンする
・飲み会やバーベキューなどでアクティビティ(わさびルーレットなど)をやってものすごく盛り上げようとする
・基本的に優秀な人しかいない
・役員レベルは国籍問わず本当にハードワーキングしている(なのでその人は昇進を断った)
・性善説のマネジメント。和気藹々としたチームの雰囲気。

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その方以外にも、たとえばアメリカの金融企業でも、北欧のオフィスは上記の特徴と同じような点が多くて、世界中の拠点の中でユニークな存在だったと聞いた事があります。ちなみにその会社の日本拠点は、立派なまでの植民地的経営だったとのこと、、。

ホフステードの理論によると、スウェーデンはじめ北欧企業はマネジメントスタイルが女性的(民主的・フラット)なのだそうです。その反対は男性的(権威的・階層的)なマネジメント。日本の組織は極めて男性的な特徴だそう。アメリカも日本ほどではないけど、男性性が高いグループに入っています。

最近話題のティール組織やホロクラシー経営の話も、マネジメントスタイルが民主的・フラットな企業の話です。こうしたマネジメントスタイルが世界中で話題になっている背景には、今は「世の中全体が女性的(民主的、フラット)に変化してきている」(ホフステードの方の話)とうパラダイム変化があるのかもしれません。
 
グーグルの心理的安全性の話もそうですね。プライベートを含めた全人格を組織で尊重しあう。そしてその前提には性善説やマチュアネスが求められていて、研究の結果そのような組織が高い成果を出す傾向にあると。

人材獲得競争の中では、このような組織が優秀な人材をより引きつけて、モチベーションを上げて、成果を出しやすくなっている、のかもしれません。

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発達段階的に考えると、北欧企業は発達レベルが高い組織になっているように思います。構成員の発達段階が4,5の人が多い。そうした人たちが、自主性を持ち、相手を尊重して、違いも受け入れて、性善説を持って仕事を進めていく
 
一方で、「植民地」として日本で運営するアメリカ企業(全部のアメリカ企業ではなくて、いくつかの、です)はたとえば、レベル3以下の人たちの方が成果を出しやすくなっています。良く「うちは植民地なんです」とおっしゃるアメリカ企業に勤務されている方がコメントされているのは、日本は頭は使わないでいい・手足になればいいと言われる、達成がすべて、数字がすべて、相手を道具として扱う、言われた事をやればいい、雇用は搾取的(下のスタッフの給与を出来るだけ安くして沢山働かせる事でマネジメント層は評価されて多額のボーナスをもらう)などなど。

こうした発達段階の話をどうして私が力説しているかと言うと、

個人の発達段階とは異なる組織に行ってしまうと、苦労して短期退職につながりやすい

からなのです。

レベル4,5的な方が、レベル2,3的なアメリカ企業に転職し、植民地的経営になじまずに退職された事例を複数見ています。

逆に、レベル2,3の方がレベル4,5的な組織に転職しても、組織にはなじめずに「あの人は信用できない」と評価されません。

なので転職をする際は、こうした「自分と組織の発達段階のマッチング」をぜひ、考慮のひとつにいれて見る事をお勧め致します。(←ここテストに出したいよ!)←出るよ!と書けるほど普及しているポイントではないので、控えめに伝えてみました)

今回は◎◎系企業、という大きなくくりでの事例を紹介しましたが、決して国によるタイプ分けだけではなく、同じ日系企業でも様々なタイプがあり、合う、合わないがあったりします。

また別の機会でその様な事例も紹介したいと思います。




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