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編集者の仕事とは「読み手の感情」を設計すること

編集者の仕事とはいったい何でしょうか?

編集者は日々、書き手の文章をよりわかりやすくしたり、よりおもしろくしたり、アドバイスすることで書き手の文章をよりよくするお手伝いをしています。

外から見ると、完全に「文章をいじっている仕事」です。(もちろん文章だけではなく、写真だったり、イラストだったり、パッケージや売り方などをディレクションする仕事でもありますが……。)

編集者とは、本を作る仕事。
編集者とは、Webメディアを作る仕事。
編集者とは、文章を編み上げる仕事。
編集者とは、書き手のサポートをする仕事。

どれも正しいけれど、どれも的を射ないような気もするんです。

料理人はパスタがつくりたいわけではない

編集者とは何をする仕事なのか?

ぼくはひとつの答えとして「読み手の感情を設計する仕事」という答えを提案します。

感情を「設計」すると言うと、なにか人を無理に動かしたり、誘導するようなちょっと強いイメージもありますが、真意はそうではありません。

人に感動してもらったり、人を楽しませたり、困っている人を少しでも楽にしたり、泣いている人を笑顔にしたり、そういうことができる仕事なんじゃないかと思うんです。

たとえば料理人は、料理を作ります。

包丁を握って、材料を切って、パスタとかを作る。それは外から見れば完全に「パスタを作っている」だけなのですが、料理人がしたいことは本当に「パスタを作りたい」ことなんでしょうか?

ぼくは、料理人がしたいことは「目の前のお客さんを楽しませること」ではないかと思うんです。おいしいなと思ってもらったり、疲れを癒してもらったり、楽しい時間を過ごしてもらいたい。

その「手段」としてパスタを作っている。

もちろん職人の中には、パスタ自体にこだわっている人も多いと思いますが、もしそういう人であってもその先に「食べる人」がいなければ、そこまでこだわらないはずです。

ということは、料理人はみんなを笑顔にしたり、みんなを楽しませる仕事なんじゃないかと思うんです。

同じように、編集者も外から見れば「文章をいじっている」ようにしか見えない。最近のぼくであれば、SNSをディレクションしたり、こうしてnoteを書いたり……外から見れば、それだけの仕事かもしれないけれど、それは「手段」に過ぎません。

本質の部分は「お客さんを喜ばせたい」というところにあります。

それを読んだ人が感動するように、読んだ人がなるほどと思えるように、コンテンツを組み上げていく、設計していく。

それが編集者の仕事だと思うんです。

あらゆる仕事は、お客さんの気持ちを設計している

そう考えていくと、あらゆる仕事はきっと同じです。

外から見れば、「時計を作っている」「テレビを作っている」。ある人は「水道を工事している」「電気の工事をしている」なのかもしれないけれど、その先には必ずその仕事によって喜ぶ人がいたり、感動する人がいたり、安心する人がいたりするはずです。

外側だけを見ると、何か機械をいじっているだけに見えたとしても、その先ではかならず誰かが喜んでいたりする。

ということは、その仕事はお客さんの気持ちを作りあげている、気持ちを設計している仕事と言えるのではないか。

ぼくの会社・WORDSのお客さんも同じです。(急に自社の宣伝みたいですみません。。。)

識学はマネジメントのコンサルティング会社です。外から見れば、識学というマネジメント手法を教えているだけの会社です。ただ、それによって顧客の会社が強くなって、業績が伸びて、多くの人が助かったり喜んだりするわけです。

リチカは動画生成のソフトウェアを開発している会社ですが、この会社だって動画のソフトウェアが作りたいわけではなくて、その先で「リッチなコミュニケーション」を生み出して、世の中をもっとあったかくて、楽しいものにしたい、という願いを持っています。

スタディハッカーという会社は、英語のコンサルティングサービス「イングリッシュカンパニー」というのをやっています。そこも英語を教えているように見えますが、その先には英語が使えるようになってキャリアアップして、より豊かになったり、救われたり、仕事が順調に行ったり、必ず誰かが喜んでいるはずです。

グラッシーという会社は社内報のビジネスをされていますが、そこもただ紙の束を作っているわけではありません。社内報を通じて会社の内部から盛り上げていき、ディスコミュニケーションをなくして、代謝をよくしていく。会社のインナーブランディングに寄与することで、たくさんの人を救っています。

どの会社も、仕事の先で人を幸せにしようとしている。たくさんの人を感動させようとしています。

「WORDS」もことばで世の中をよくしたい

そして、ぼくらはそんな会社をお手伝いすることで、間接的にでも世の中をよくすることができないかなと考えています。

よりわかりやすい言葉、より届きやすい言葉。それを適切なコンテクストで届ける――。

WORDSがやっているのは、外からみるとたしかにTwitterやnoteなどのメディアをいじっているだけかもしれない。ですが、もちろんTwitterやnoteをやりたいわけではありません。

これらはあくまで「手段」であって、(ちょっとおこがましいですが)その先のクライアントさんの成功、そしてさらにはその先のお客さんたちの感情、感動を「設計」する。最高のコミュニケーションを設定する。そんなことができるといいな、と思っています。

きれいごとのようにも聞こえますし、まだまだ実態は程遠いかもしれませんが、まぎれもない本心です。

激変する世の中で「こっちに行くよ」と指し示す言葉は、これまで以上に重要になってきています。

その「言葉」をうまくディレクションすることで、世の中が1ミリでもよくなればいいな、と思っています。

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