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「出向課長奮闘記 -個性を活かしたHERO誕生の物語-」(4)「1 on 1はもうやらなくていいですか?」メンバーからの反発

継続したコーチング

メンバーの人となりや特性を知るために、10名全員との1 on 1をスタートさせました。コーチングを通じてお互いがどういう人間なのか理解を深め、メンバー一人ひとりの個性を活かすために可能性を最大限に引き出すことを目指していました。

<前回のnoteはこちら>

1 on 1の回数を重ねるごとに、メンバーも徐々に私に対して打ち解けてきたように見えました。
これらのセッションで確実にメンバーを支えている、良い時間を創出できていると信じて疑わなかった私。メンバーの変化に気づいてませんでした。

思わぬ反発

しかしその考えが幻想だと気付かされます。
とあるメンバーが3回目のセッションが終わった頃、私はいつものように質問を投げかけました。

「言い残したことありますか?」

ある一人のメンバーから思わぬ言葉が投げかけられました。

「もう1 on 1やらなくていいですか?」

まるで胸を蹴られたような衝撃を受けました。
「え?今なんて・・・?」

私のコーチングはメンバーを支えるどころか逆効果だったのか・・・?
苦笑いしながら「も、もちろんいいよ・・・」と言って終わりました。

この出来事は、まるでこれまでのコーチング学習が無駄だったこと、メンバーとのセッションに向けて準備してきたことが水の泡となった思いで、一気に意気消沈してしまいました。

メンバーの本音に耳を傾ける

翌朝、朝早く出勤した私はなぜメンバーが「やらなくていいですか?」と言ったのか、その背景にあることを考えることにしました。
メンバーにも何か理由があったはずです。

ノートに思い当たることを書き出して整理してみると、以下のような可能性を整理しました。

  • 過去の辛い経験を振り返りたくない

  • 仕事で悩みを相談したいが、1 on 1の場では自分の成長に重点が置かれてしまい、話題が逸れる

  • 自分のことを話すのが苦手で、その時間が重荷に感じている

これらを考慮すると、私からのアプローチに改善の余地があることに気づきます。
メンバーの心境を考え、一人ひとりの事情を尊重することの重要性を通過しました。

今まで上司から作業指示が出てそれをこなしていたメンバーが、一転して自分のことを話してと言われる。まだそこまで信頼関係もできていないのに・・・。

強制的に1 on 1を継続させるのは、本末転倒と考え始めました。

メンバーの選択を尊重する

メンバーの立場になって考えてみると、コーチングを受けるかどうかは、あくまで本人の自由な選択であるべきという結論に至りました。

確かに、メンバーの成長を後押ししてHEROすることは私の役割です。しかし、それ以上に大切なのは、メンバーの仕事の進捗が進むことです。

それは例えるなら、HEROが変身したくないのに、変身ベルトを渡されても変身はしません。(仮面ライダー世代)

そこで、「1 on 1を行うかはメンバーの判断に委ねる!」ことにしました。
ふと自分が受講したルミナスパークでの「柔軟性」の高さを思い出し、全言撤回です。

メンバーとの対話を重視し続ける

この経験から、私は改めてメンバー一人ひとりの多様性を認識させられました。コーチングはあくまで手段に過ぎず、目的は生産性の向上とメンバーをHEROにすること。

「1 on 1をやめたい!」と言ったメンバーにも、自身の理由があります。きっと気負っている上司に言うのは勇気が必要だったと思います。

メンバーとの信頼関係を損なわず、お互いに寄り添い続けることが何より大切です。個性を活かしたHEROたちの物語は、まだ始まったばかり。
道のりは遠くとも、前に進み続ける方法を考えるしかありません。

まとめ

今回の出来事を経て、私は以下の点を改めて認識しました。

・メンバー、一人ひとりの状況を尊重することの大切さ
・こちらから強制して行うのではなく、相手に選択の自由を与えること
・コーチングは目的達成するための手段であり、最終目的はメンバーの成長と生産性の向上にある
・常にメンバーの立場に立って考え、寄り添う姿勢をもつ

この結果を受けて、自分のアクションを見直しました。

  1. 1 on 1を続けるメンバーは引き続きコーチングを行う
    やりたいメンバーは継続してコーチングを行う。

  2. やめたメンバーに対しては、別のコミュニケーション手段を考える
    定期的なコーチングが不要なだけで、「たけちゃんとコミュニケーションを取りたくない」と言われたわけではない。そしてHEROになるためには、個性をもっと引き出したい。日々のコミュニケーションから個性を引き出す挑戦をする。

  3. 週次MTGやチャットなどでメンバー全員と対話の機会を設ける
    やっている人、やっていない人で差が出ないよう全員で状況共有を行う。選択肢はメンバーにあるが、いつでも戻って来れるようにも配慮して・・・。
    (悔しい自分がどこかにいる)

全員が集まる会議で、実施可否についてはみんなが決めるよう話しました。
その結果3人のメンバーが実施し見送りとなりました。

まだまだやることはたくさんある、、、。
次は何をしようか、考えながら帰りの京浜東北線に乗る私でした。

\ 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!/


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