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[note20]授業と社会をどうつなぐ?

主に地歴公民科の中でも政治経済や現代社会、次年度は公共を担当する自分が意識していることが授業と社会が乖離しないことです。公民系の科目は、社会における原理原則やメカニズムを扱うことが特徴ですが、それらが実際の社会とリンクしないと意味がないと思っています。単に言葉を知っているということではなくて、その原理原則が現実の社会事象の中で、どのように反映されているのかを理解することで自分の学んでいる抽象的な内容と具体的な現実が繋がって理解が深まると考えているからです。
ただ、その具体と抽象の往復を授業で展開しようとすると、とても難しい壁に当たります。素材選び、授業における素材の捌きを誤ると、何のために具体的な事象を取り上げたのかが教師も生徒も分からなくなってしまいます。

今は春期講習で新高校3年生に向けて政治経済の授業を行っています。
先ほどの具体と抽象の往復に関して、以下のような資料と使って授業を展開しています。政治経済のテーマとしては最初の「主権と国家」です。具体的事例として今年の元旦の記事から「デジタル国家は実現するか?」、ネット上の仮想空間(メタバース)が国家のような姿になったとしたら私達の知る国家はどうなるのか?

共通テストを意識して、右側にはできる限り、統計資料やグラフなどを入れるようにしています。今回はソーシャルネットワークサービスの利用状況と日本と世界で比較したSNS別の利用者数の一覧です。生徒達にとっては、
FacebookやInstagram、Twitterは身近な存在でありますが、それが今は国家のような存在に代わり得る可能性を秘めていることは大きなインパクトがあると考えて取り扱いました。

①人は孤立して生きることは出来ず、社会を形成する存在であるが、そこには利害対立が生じる。
②利害対立を調整するために必要となるのが政治であり、権力である。
③権力には正当性が必要であり、一般的には国民の代表によって構成される議会が制定した法律に基づいて政治が行われることで担保されている。
④国民の代表は選挙を通じて選出されるが、それが国民の信託に背いた場合は異議を申し立てることができる。
⑤法律に基づいて正しく権力が行使され、自由や権利が保障されることが、社会には求められる。

これが一般的な教科書的な説明です。しかし、記事にもある通り、デジタル国家では、その運営者がルールを決定します。例えばMeta(旧Facebook)がデジタル国家を形成するならば、そのルールの制定者はザッカーバーグということになります。この状況において私達がイメージする法の支配は確立するのでしょうか…といった感じです。

課題は素材となるニュースや社会事象(Social Issuesと呼んでいます)を選定する際に、いかに生徒にとって身近で、ある程度の予備知識がなくても、イメージできるものを選択するかです。ここが本当に難しい。そして、折角の素材を使いきれずに授業を終わらることがないように通常授業なら45分、講習や2コマで1テーマを扱う場合なら90分の中に組み込まなければいけません。もちろん、重要な原理原則の説明も必要…。欲張ると中途半端になりがちです。色々試しながらやっていますが、素材選びで失敗すること、捌き方で失敗すること、提供時間で失敗することなどなど色々あります。できるなら、素材から生徒が疑問や質問を生み出してくれるように展開することが出来たら良いなと思っていますが、まだまだ試行錯誤は続きます。とりあえず、今日も帰ったらマイノートにイメージを落書きしながら考えます✊


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