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【猫様】またまた脱走

昨日、朝6時に起こされ、二度寝を決め込んだ下僕。
すっかり秋も深まり、朝晩は冷え込むのでお布団の中が幸せでならない。このまま冬眠したい…

と、階段を上がる足音。オカンは滅多に2階には来ない。足が痛むし、散らかっていてイライラするからだ(ごめんね)。
だが、それをおして、しかも私を起こす必要のない時間に、上がってくる。
理由はただ一つである。

「ごめん、Rちゃんがまた逃げちゃったんだけど」

やはり。

ぬくぬくのお布団の中、開かない目を何とかこじ開けようと努力するも、最近ちょっと体調がよろしくないこともあり、なかなか上手くゆかない。

「お母さん、これから出かけなきゃだから」

オカンの追撃。わかってるよー…起きるよ、起きますよ…

結局、5分ほど(怠けたい自分と)格闘し、フラフラと階段を降りる。
外は秋晴れ、それはもう、すんばらしい青空。
そしてRくんは最近ストレスを溜めている。下僕が仕事の疲れであまり遊べないからである。

こりゃーしばらく帰ってこねえな…

早々に諦め、とりあえず朝ごはんをムシャムシャ。
食後のお茶を飲みつつ新聞を読む、というオジサン朝のルーティンをかまし、食器を片付け、部屋から煙草と灰皿を持ち出す。
長期戦を覚悟して。
何せ、奴の朝ごはんは既に済んでいる。おやつで釣っても威力は低いだろう。お腹いっぱい、元気いっぱいな若者が、遊びに行って素直に帰ってくるとは思えない。

庭に出てみる。名前を呼んでみるが、やはり反応なし。
どこまで行ったのか。
それにしても太陽眩しいな!!

庭石に腰掛けて一服していると、どこからか聞き覚えのある甘えた声が近づいてきた。
お目目キラッキラさせたRくんが茂みから登場。

「おはよ。どこまで行ってたの?」
「にゃあん」

ご機嫌で足に頭を擦り付けるRくん。
確保できそうだけど、もう少し遊ばせておくか。その方が油断するだろうし。

にゃあにゃあ鳴きながら、庭の茂みに凸している。
楽しそうである。
虫か何か見つけたのかな。私の目には既に茂みから飛び立ったハチしか見えんが。
お尻フリフリしては茂みに突っ込むのを繰り返している。野生味があるのか鈍臭いのかわからないが、可愛いから良いか。

Rくんも、そう遠くに行く気はなさそうなので、そのままにしてもう一服させていただく。
私もたまには太陽に当たらないとね…自律神経が狂い始めている。季節の変わり目はいつもそうだし、バイトが夜までなので、今年は特に調子が悪いのである。
それにしても眩しいな!!

灰皿を物干し台に置き、両手を自由にさせてから、Rくんに向き直り話しかけてみる。

「楽しそうだね。そろそろ帰ろっか」
「にゃあん」

スリスリ。はい、確保ー!!
やはり油断したようだ。甘いぜ、坊や。

抱っこ嫌いなRくんの暴れっぷりは見事なもので、下僕の大切なメガネが落ちそうになったが、Rくんを家の中へぶち込むことに成功。
しばらく不服げに鳴いていたが、それなりに満足したらしく、しっぽブンブンしながらゴロゴロ言っている。どっちなんだよ、それは。

Rくんが完全に満足するまでモフってから部屋へ戻ると、Kさんが日向に長々と落ちていた。

平和な秋の朝の話である。


※) 尚、オカンは最近おとなしくしていたRくんにすっかり油断していた、とのこと。
猫様相手に油断するなど百年早い。
猫様はいつだってニンゲンの予想を超える驚きをもたらしてくれる存在なのである。

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