『かわいそう』な人たち

大変興味深い記事を読んだ。

日頃から気になっていたことを、ハッキリとわかりやすく書いてくださっている。

私はバブル崩壊後の社会へ放り出された就職氷河期世代だ。とは言え、私自身は自ら望んで非正規雇用の道を選んだので、一般的な就職氷河期世代の方とは違うのであるが。
その上で、社会の中での不公平をずっと感じてきた世代ではある。

現在、少子化問題に取り組む政府が挙げている様々な政策は、私たちの世代には関係のないことだ。団塊二世でもある私たちの世代は、収入の不安定さによって結婚や子育てを諦めた人も多い。少子化に拍車をかけ、中流世帯の低収入化を推し進めた格差社会へのスタート地点にいる世代でもある。
それらを問題視し、ようやく今になって是正されようとしている訳だが、出産ばかりは今更どうにも出来ない。産もうと思えば産めるのかもしれないが、リスクは高い。安心して子育て出来る環境もまだ整っていない。
そんな訳で、社会の中でポツンと取り残された、ロストジェネレーションだという意識は常にある。

しかしながら、それを世間に訴えたところで、
「自己責任だろ」
と言われるのが関の山である。
世間から見れば、独身で非正規雇用のオジサンオバサンが喚いているだけなのである。
好きで独身で非正規雇用なオバサンでいるような、私のような人間はほぼ居ないというのに。
誰だって安定した職に就き、家族を持って、普通の暮らしをしたいだろうに。
自己責任だと言われ、社会からの助けは得られず、あとは孤独に死ぬのみの人生である。

かわいそうランキングの最底辺である。

そういえば、岸田首相が総理に着任する際、非正規雇用の人間に給付金を、と仰っておられたのだが、アレ、どうなりました?蓋を開けてみれば、子育て給付金しかなかったのですが?
政府、与党にとって、わかりやすく救済して世論の賛同を得られるのは、子育て世帯であり、社会に見捨てられた非正規雇用者ではないというのが、よくわかる事例である。ここまで大量の非正規雇用者を生み出したのはアンタらなんですけどね。

けっして擁護はしないし出来ないのだが、こうした社会弱者が犯罪を犯す度に、わからないでもない…と思ってしまう。そう思えてしまうのが嫌だ。
周囲の人々に虐げられ、公的な支援を受けることも出来ず、ただただ耐え忍ぶ日々に希望はない。絶望の日々の中、唯一の救いに見えるのが犯罪だというどうしようもなさ。
今日食べるものもない犯人と、何百万ものお金を身内にはポンと出せる犯罪被害者と。
どちらが『かわいそう』なのだろうか。
そんなことを考えてしまうのが、本当に嫌だ。

世間的には見えない存在になっている社会弱者を救うのは、闇社会ではなく、公の社会であってほしい。
見えない振りを続けていれば、闇に飲み込まれ、今以上に苦しむ社会弱者は増える一方である。その、負のスパイラルを断ち切ってほしい。
そんな微かな希望を、まだ諦めたくはないと思う。

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