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こどものストレスを緩和するコミュニケーション ロボット:日本医学会総会2023東京 博覧会 こどもたちと学ぶ なるほど!医学体験 01

2023年04月22日、私は東京国際フォーラムを訪れ、一般客として、日本医学会総会 2023 東京 博覧会(以下2023博覧会)に参加した([1])。

 

「日本医学会総会2023東京 博覧会 こどもたちと学ぶ なるほど!医学体験」で、ソニーグループ株式会社(以下ソニー)は、国立成育医療研究センターとソニーの共同研究として、aibo(aiboは、ソニーグループ株式会社の商標です。)による小児医療現場における長期療養中の子どもに与える癒やし効果の検証を2018年12月より行っていることを紹介した。

aiboを慢性疾患で長期入院を要する子どもたちへのリエゾン医療として導入し、子どもと家族の癒し効果を生物・心理・社会的手法を用いて質的・量的に検証している。

すでに、2018年に実施した、パイロット・スタディ(予備研究)の結果が学術誌に掲載され、一定の成果があがっている。具体的には、aiboとのふれあいによる、長期療養中の子どもの行動観察結果では、ポジティブな反応が63.5%で最も多かった(図01.01,図01.02,[2])。

図01.01.aibo。
図01.02.こどものストレスを緩和するコミュニケーション ロボット。

ソニーは、聖マリアンナ医科大学とソニーの共同研究として、aiboによる知的障害の無い自閉スペクトラム症児の対人関係機能改善に関する予備的研究を2019年10月より実施している。

この研究は、知的障害の無い自閉スペクトラム症患者にaiboと遊んでいただき、遊び方の様子を観察することで、患者への影響を検証するものである(2,[3])。

 

東京医科大学では、ソニーが研究協力を行い、無菌室における長期療養患者様の心理面におけるaiboの支援効果の検証を2020年02月より実施している。

aiboが「無菌室」という閉鎖的な空間での長期療養を必要とする患者さんの心理的な負担を軽減するために、患者さんと共に生活しサポートすることで、ストレス軽減などの効果が表れるかの検証を行っている。

すでに、一定の成果が表れており、2021年の日本血液学会で発表された。即ち、aiboと触れ合っていない人と比較して、aiboと触れ合った人では、ストレスの度合いが大幅に減少した(2,[4])。

 

そして、国立がん研究センター中央病院では、ソニーが研究協力を行い、リハビリテーションをaiboと一緒に行い、応援してもらうことで、リハビリテーションに対する意欲が向上するかどうかの検証を2021年01月より実施している(2,[5])。

 

まさか、aiboが医療現場での名脇役になれる可能性があることは、私にとっては意外である。ま、aiboは良き癒し役になれるしね。

今後の医療現場でのaiboの活躍に期待したい。



参考文献

[1] 第31回日本医学会総会2023東京 展示事務局.“第31回日本医学会総会 博覧会 ホームページ”.https://tsunagu-iryo.jp/minna-expo/,(参照2024年03月08日).

[2] ソニーマーケティング株式会社.“研究活動”.aibo ホームページ.aiboの社会貢献.https://aibo.sony.jp/csr/study.html,(参照2024年03月08日).

[3] 学校法人 聖マリアンナ医科大学.“動物型ロボット(新型aibo)の知的障害の無い自閉スペクトラム症児の対人関係機能改善に関する予備的研究”.聖マリアンナ医科大学 トップページ.Academic Achievements.2020年03月27日.https://www.marianna-u.ac.jp/houjin/academic/20200327.html,(参照2024年03月08日).

[4] 学校法人 東京医科大学 血液内科学分野.“研究内容(進行中)”.東京医科大学 血液内科学分野 トップページ.研究.https://team.tokyo-med.ac.jp/ketsueki/research/kenkyu.html,(参照2024年03月08日).

[5] 厚生労働省 医政局 研究開発政策課.“骨軟部腫瘍患者に対する術後リハビリテーションにおける自律型ロボットの有用性に関する研究”.臨床研究等提出・公開システム ホームページ.「自律型ロボット」でフリー ワード検索.https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCT1030220012,(参照2024年03月08日).

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