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甲子園浜と神戸港―後書きに代えて:特別展「海 ―生命のみなもと―」見聞録 その19

2023年08月12日、私は国立科学博物館を訪れ、一般客として、特別展「海 ―生命のみなもと―」(以下同展)に参加した([1])。


私は現在まで、以下の同展関連記事を執筆した。

上記の拙記事から、私は以下の事柄を知ることができた。

1.国立科学博物館、海洋研究開発機構(JAMSTEC)、他の博物館、および、大学による最新研究。

2.環境省、水産庁、企業、および、市民団体による海洋環境の保全活動。

3.日本の海運と船舶の最新技術。


そのおさらいとして、本記事で甲子園浜(兵庫県西宮市)と神戸港(兵庫県神戸市)を紹介・比較する。

 

2024年04月13日、私は兵庫県立甲子園浜海浜公園(以下同園)を訪れた。

同園ふるさと海岸地区は、自然の砂浜、干潟、および、磯がある貴重な浜である。

砂浜の東側には野鳥の貴重な餌場で、面積が少なくなりつつある干潟があり、国設浜甲子園鳥獣保護区・特別保護区となっている。なお、そこには、浜甲子園阪神パークの建物の残骸や海軍の滑走路の残骸がある(図19.01,[2][3][4][5])。

図19.01.兵庫県立甲子園浜海浜公園 ふるさと海岸地区。
大阪湾の奥に奇跡的に残された干潟で、国の鳥獣保護区に指定されている。

干潟は多くの水生生物の生活を支え、産卵や幼稚仔魚に成育の場を提供する以外にも、水中の有機物を分解し、栄養塩類や炭酸ガスを吸収し、酸素を供給するなど海水の浄化に大きな役割を果たしている。

近年では、干潟の価値が再認識されていることに伴って、干潟を再生する試みが各地で行われている。人工干潟の造成もその1つである。人工干潟は、清浄な砂で海底を覆うことで海底からの栄養塩の溶出を抑えるとともに、酸素供給による水質の浄化、多様な生物相の回復を目的としている。

港湾域周辺における環境保全・回復を目的としたもの、アサリやクルマエビ、ガザミなど漁業資源の回復・増殖を目的としたもの、水環境の改善を目的としたもの等、多くの造成事例があるが、件数では水産利用が目的の人工干潟の割合が高くなっている([6])。

水産利用が目的の人工干潟の割合が高いとはいえ、個人的には、人工干潟の造成に期待している。なぜなら、人工干潟の造成が生態系の回復に繋がるからである。

とはいえ、自然の干潟と比べて、生物相が乏しいという課題を克服する必要がある([7])。

 

一方、2023年07月12日、見学者として、理化学研究所 計算科学研究センターを訪れる序に、神戸港を神戸新交通ポートライナーから見学した。

神戸港は、慶応03年(1868年)の開港以来、日本の代表的な国際貿易港として、産業・経済発展の一翼を担い、市民の生活基盤、経済基盤として大きな役割を果たしている。 

また、東アジアの玄関口として、世界約130余りの国・地域、500余りの港を結ぶ数多くの国際定期船が寄港している。

近年、近隣アジア主要港間の競争が激化する中、平成22年08月には国際コンテナ戦略港湾「阪神港」(神戸港・大阪港)として選定され、国際競争力の強化に向けたハード・ソフト両面からの取り組みを進めている(図19.02,[8][9][10][11])。

(a)世界一周クルーズ 豪華客船 「飛鳥II」。
(b)ホームロジスティクス 神戸DC(Distribution Center:在庫型センター)を望む。
(c)川崎重工業 神戸工場を望む。
図19.02.神戸港。

近年、ASEANをはじめとするアジア諸国等の急速な経済成長や、第4次産業革命とも言われるIoT・AIなどの技術の進展、そして国際海上物流の急速な環境変化など、ヒト・モノ・カネ・情報・技術など様々な側面で急激な変化やグローバルな結びつきがますます強まっている。一方、国内に目を向けても、人口減少社会の進展や国内港湾の相対的地位の低下など、神戸港を取り巻く状況は大きく変化している。
神戸市では開港150年の節目に、今後もさらに大きな変化が予見される、世界・日本の社会経済情勢や港湾物流の動向等を適切に踏まえ、概ね30年先を見据えた、神戸港が目指すべき戦略的な将来像を策定することとした。
本構想の検討にあたっては、神戸港の主たる機能である港湾・産業に加え、みなとまち神戸の活力と文化を創造するにぎわい・都市、さらに今後一層重要性が高まる環境・安全を対象とし、神戸港の総合的な国際競争力強化を図ることとした([12])。

 

上記の2施設からも、海は「海は生命のゆりかご」だけでなく、「人間の生活拠点」でもあることを痛感した。

 

皆様、上記の拙記事読んでくださり、誠にありがとうございます。



参考文献

[1] 特殊法人 日本放送協会(NHK),株式会社 NHKプロモーション,株式会社 読売新聞社.“特別展「海 ―生命のみなもと―」 ホームページ”.https://umiten2023.jp/policy.html,(参照2024年04月18日).

[2] 公益社団法人 大阪自然環境保全協会.“海の観察会 甲子園浜 観察会写真集”.ネイチャーおおさか ホームページ.自然観察会.自然観察会.海のふしぎ観察会.https://www.nature.or.jp/observation/group/umi/koushien.html,(参照2024年04月19日).

[3] 西宮市役所.“甲子園浜海浜公園について”.西宮市 トップページ.西宮市の施設(アクセス・利用案内).公園.2023年11月08日.https://www.nishi.or.jp/access/koen/koshienhama.html,(参照2024年04月19日).

[4] 特定非営利活動法人(NPO法人) 海浜の自然環境を守る会.“甲子園浜の歴史”.海浜の自然環境を守る会 ホームページ.https://www.npo-koshienhama.com/history.html,(参照2024年04月19日).

[5] 合同会社 西宮流(にしのみやスタイル).“甲子園浜のライオン像”.西宮流 ホームページ.西宮ペディア.アート・モニュメント.2021年02月04日.https://nishinomiya-style.jp/glossary/lion,(参照2024年04月19日).

[6] 水産庁.“干潟の働きと現状”.水産庁 ホームページ.分野別情報.水産業・漁村の多面的機能.多面的機能の解説.藻場・干潟・サンゴ礁の保全.https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/tamenteki/kaisetu/moba/higata_genjou/,(参照2024年04月19日).

[7] エレビスタ株式会社.“干潟とは?仕組みや役割、生息する生き物、守るための取り組みも”.Spaceship Earth トップページ.SDGsを知る.2023年09月25日.https://spaceshipearth.jp/tidal-flat/,(参照2024年04月19日).

[8] 国土交通省 近畿地方整備局 神戸港湾事務所.“神戸港の概要”.神戸みなとぴっくす トップページ.みなとを知る.みなとの紹介.https://www.pa.kkr.mlit.go.jp/kobeport/_know/kobe_intro.html,(参照2024年04月19日).

[9] 郵船クルーズ株式会社.“飛鳥クルーズ ホームページ”.https://www.asukacruise.co.jp/,(参照2024年04月19日).

[10] 株式会社 ホームロジスティクス.“物流センター”.ホームロジスティクス ホームページ.拠点一覧.https://www.homelogi.co.jp/base/center,(参照2024年04月19日).

[11] 川崎重工業株式会社.“神戸工場”.川崎重工業 ホームページ.企業情報.事業拠点・関係会社.https://www.khi.co.jp/corporate/network/kobe_f.html,(参照2024年04月19日).

[12] 神戸市役所.“神戸港将来構想”.神戸市 ホームページ.市政情報.計画.港湾局の計画・事業等.神戸港における事業.2023年03月15日.https://www.city.kobe.lg.jp/a49918/shise/kekaku/minatosokyoku/kobeko/20170710173101.html,(参照2024年04月19日).

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