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コロナで僕が学んだこと「今後の事業戦略について」

今回の新型コロナウイルスの感染症を目の当たりにし、将来また再来するであろう感染症やその他不測の事態に備えて、今後どのようにリスク管理をしながら事業成長をさせていくか改めて強烈に考えさせられた。

今から書く内容は、突拍子なことではなく、誰しもが分かっている(気づいている)ことではあるが実行まで落とし込む人は少ないと思っている。

そんな自分自身も、このままふわっとさせると、この緊張感や学びが薄れる可能性があるので、必ずや実行レベルに落とし込み未来へ繋げていくために、思考の整理並びに備忘録として書き留めておきたい。

事業運営者のみなさまに少しでも参考になれば幸いです。

1,非生産部門の為の本社を設置しない

もともと、今回の新型コロナウイルスに関係なく、本社設置をせずしていかに事業展開(店舗展開)するかを1つのテーマにしていたが、塚田農場の本社解体の一件を受けて、改めて本社のあり方を再考するきっかけとなった。

小売業での本社の在り方は、攻撃的部門(収益を上げる)というよりは、むしろ守備的部門(店舗を管理する)位置づけが強い。もちろん、新規商品開発、PR、システム、戦略といった未来の収益を構築する上での重要部門もあるが、割合守備的部門いわゆる非生産部門が多くを占めている。

この非生産部門は基本的には1円の利益も上げておらず、店舗で稼いだ利益をシェアしてもらって運営しているわけだが、言わずもがな、この部門の固定費が上がれば上がるほど、現場(店舗)での損益分岐点は上がる。いかにしてこの非生産部門の固定費を下げるか(無くすか)がポイントになってくる。

小売業(現場)に勤める人の収入が比較的低いのも、この本社(割り当て)経費が重たい理由が大きいだろう。

よって、この本社(割り当て)経費を重たくせずして(非生産部門を置かずして)事業運営できるかが重要になってくる。そのためには、デジタルの導入を主軸としながら、外注とのバランスをいかにして築けるか、いかに持たざる経営ができるかが問われる。

2,パーヘッド粗利額の追求

パーヘッド粗利(=一人頭の粗利)には、粗利率と粗利額の2つの指標があるが、重要視したいのは粗利額。

もちろん、粗利率を指標としても良いのだが、そもそもの単価が低ければ粗利率が高くても利益インパクトが少ないので粗利額を指標にしたい。

事業計画において、目標売上を決めてから、逆算で営業利益を計画する人が多いと思うが、売上額を指標とすると、どうしても無理な人員補強や店舗展開をしがちになり、それに伴い販管費があがり、パーヘッド粗利額が下がる傾向にある。経営計画としては、目標パーヘッド粗利額をいかに達成するかにフォーカスして設計すべきと考える。

パーヘッド粗利額を上げるための重要項目としては主に3つ。

・時間あたりの粗利額を上げる
・購入確度を上げる
・仕入単価を抑える

1つずつ整理する。

■時間あたりの粗利額を上げる

1時間あたりの粗利額を上げるには大きく2つが重要になってくる。

・商品単価をあげる
・客単価をあげる

ここでは、いかに安売りすることなく自社製品の価値を高めることができるか、そのための企業努力をどのようにしていくかが重要。来店数を増やしたいなどと、安易に単価を下げてしまうと、それがブランドイメージとしてマーケットに定着してしまうため、単価を上げることが今後難しくなってしまう。

もちろんセールもやらない。違法薬物と同じで一度やってしまうと癖になり辞められない。

繰り返しだが、事業計画は売上から逆算するパターンが多いが、売上はあくまでもパーヘッド粗利額を上げるための商品単価と客単価の追求による結果と位置づけていく。(時間はかかるがブランド認知が進めば、数を追わなくても勝手に増える。)

■購入確度を上げる

いくら来店客数を追求しても、10組来て1組も購入に至らなければもちろん売上はたたない。逆に言えば、来店が1組だけだとしても購入につながれば売上になる。

飲食であれば来店イコール購入になるだろうが、物販の場合はそうではない。接客が伴うのであれば尚のこと、購入するしないに関わらず労力は同じなので、いかに客数を増やすかではなく、いかに購入数を増やすかが重要になってくる。

そういう意味では、いかにして「ここで買いたい」と思ってもらえるかが重要であり、接客レベルもあるが、ほとんどは来店前のブランディングによるところが大きいだろう。このブランド力をいかに構築できるかが大切になってくる。

■仕入単価を抑える

これは仕入れを伴う事業であれば当たり前だが、仕入単価を抑えればその分粗利率は上がる。ただここで絶対に欠かしてはいけないポイントとしては、仕入単価を抑えるあまり、粗悪な商品をつくってしまっては全くもって意味がない(長続きしない)。マーケット並びに消費者が満足する品質を担保し、且つ、自分たち自身が納得のいく品質で、どれだけ原価を抑えることができるかが重要になってくる。

品質が担保できる仕入単価を確保するためにも、販売単価を下げることなくいかに販売していけるかが本当に重要になってくる。

3,事業の多角化

株式投資で「リスク分散」して投資するのは一般的であるが、事業も同じだと痛感した。現在、弊社ではアパレル事業とジュエリー事業の2つを運営しており、休業要請に伴いジュエリー事業は店舗休業を余儀なくされたが、その収益をアパレル事業でカバーし乗り切ることができている。

しかしながら、アパレル事業もB2Bビジネスの為、取引先の今後の状況によっては苦戦を強いられる可能性は大いにある。

今回の状況下で強さを発揮する(リスク軽減できる)企業は、DMMのような様々な事業運営をしている会社だと実感した。

従来の事業モデルは1事業で売上100億円をどう目指すかが目標になっていたが、今後は、同じ売上100億円でも、10億円×10事業で100億円もしくは、極端に、1億円×100事業で100億円でも良いかもしれない。

とかく、1事業で運営する1本足打法の経営スタイルでは生き残りが難しくなると予測する。

*事業展開の重要性は下記でも書いたので興味ある方は参考ください。

ポートフォリオ上、バランスの良い事業展開ができれば理想だが、もちろん1事業を収益化するのも簡単じゃない。複数となれば難易度は非常に高い。しかしながら、現状維持は衰退の一途をたどるだけなので、事業領域ができるだけ被らないような事業展開を目指した、新たな1手をいかに打ち続けるかが重要だと考える。

4,オフラインとオンラインの両立

今回のコロナの一件で強さを発揮したのがオンライン。打ち合わせはもちろん、物販や飲食においてもオフラインだけでなく、オンラインのベースを築いてきた企業(事業)は、致命傷を免れたのは言うまでもない。

デジタルにおいては「限界費用ゼロ」で成長線を描くことができるのも強みの1つ。小売業としては最低限の店舗展開が必要なので、限界費用ゼロは難かしいが、オンラインを駆使しながら、限界費用を抑えていくことはできるだろう。

*理解を深めたい人はこちらの本を参考ください。

5,感染症が起きても慌てないような準備を

コロナウイルスの影響(収益ダメージ)を受けていない人の方が少ない中、今回の経験と学びを未来へどう繋げていくかが本当に問われる。

ほとんどの人は、きっと、「そんなこともあったね。」と過去の出来事としてコロナ終息後、時間と共に経験や学びが薄れ、コロナ前と変わらない日々を過ごすであろう。

しかしながら、感染症は今後も必ず発生するし、感染症に限らず不測の事態はいつ起こるか分からない。その対策を打ちながらどう事業運営をしていくかは、今後、経営者(事業責任者)に求められる1つの能力になってくる。

今回を機に、予測不能な未来へのリスク管理対策を進め、次また感染症が起こった際にもジタバタしない事業運営をしていきたい(していってほしい)と心底思う。

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