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会社に怒鳴り込む親

おはようございます。
社労士&診断士のたけちゃんです。
今日はサッカーJ3リーグのカマタマーレ讃岐対奈良クラブの試合があります。
奈良クラブには現代に蘇った遣唐使がいます。
もし会えたら一緒に写真を撮ってもらいたいです。
本編では「会社に怒鳴り込む親」について取り上げます。


会社に怒鳴りこむ親

ここ数年、顧客先の社員さんの親御さんが会社に連絡してきたという相談が増えています。

・息子が先輩にいじめられている。
・娘が上司からパワハラを受けている。
・うちの子は残業させずに定時で帰らせて欲しい。
・40歳近い息子のことで職場に電話をしてきた などなど

ここでは書けないレベルのものもあります。

労働法的な対応

労働法的には親御さんは労働契約の当事者ではありません。
なのでキッパリと伝えればそれはそれで良いことになります。
いじめやパワハラの被害の申し出があるのであれば、まずは事実関係を調査しそれを伝えます。
調査の結果、本当にいじめやパワハラがあったのであれば、当然、当人に謝罪をし、会社としても改善策を講じる必要があります。

ただ多くは上司や会社が部下である社員さんの成長を思っての指導の範疇であるという印象があります。
しかし、その調査結果を丁寧に説明してもあまり親御さんには理解されないという感じです。

これだけこの手の相談が多くなると何なんだろうなと考えこんでしまいます。
そう思っているときに先日、読んだ知人のメルマガに「成人発達理論」のことが載っていました。

成人発達理論

人の成長・発達のプロセスやそのメカニズムを解明する学問領域のことを「成人発達理論」といいます。
知識やスキルを発動させる根幹部分の知性や意識そのものが、一生をかけて成長・発達を遂げるという考え方を持っています。

そして成人以降は以下の4つの意識段階があるとされております。

発達段階2
利己的段階・道具主義的段階:極めて自分中心的な認識の枠組みを持っている。自分の世界と他者の世界を真っ二つに分けて考えるため、相手の立場に立って物事を考える力が不十分である。

発達段階3
他者依存段階・慣習的段階:組織や集団に従属し、他者に依存する形で意思決定する。相手の立場に立って考えるという優れた特性を獲得できているものの、自分独自の価値体系が十分には構築されていない。そのため、自分の意見を表明することが難しく、いわゆる「指示待ち人間」に近い。

発達段階4
自己主導段階・自己著述段階:自分なりの価値体系や意思決定基準を持つことができるようになり、自律的に行動ができるようになる。

発達段階5
自己変容・相互発達段階:開放感と柔軟性に富み、多様な価値観や意見を汲み取りながら、他者と関わり合うことで互いの成長や発達を促す触媒の役割を果たす。

意識段階は上下する

成人発達理論では自分より上の意識段階は理解できないとあります。

とすれば会社に怒鳴りこんできて一方的に自分の主張をして会社からの説明は聞こうとしない発達段階2にいる方に、業務の一環である・お子さん(社員)の成長のためであると説明しても理解されないのは当然となります。

ただ以前にあった事例としてその怒鳴り込んできた親御さんが私の別の顧客の社員さんだったということがありました。
この親御さんはその会社ではかなり評価が高い人でした。
語学堪能で自律的で会社への貢献も大きいといった。

どうやらこの方は以下のように発達段階が上下するようでした。

発達段階2
利己的段階・道具主義的段階
→子供のことになるとこの段階になる

発達段階4
自己主導段階・自己著述段階
→自分のこと(自分の職場)ではこの段階にある

これが発達範囲意識の重心の話になります。
人間は一つの段階にとどまっているのではなく、意識の重心を中心として、状況や文脈、感情状態に左右されながら、意識段階が上下するということです。

とすれば意識段階が上にあがるような投げかけも有効なような気がします。

先日、ある顧客の製造責任者の方が意を決して親御さんに「お母さん、会社は学校じゃないんですよ」と伝えたところ親御さんが黙り込んだということがありました。

お子さん(社員さん)のことで発達段階2の状態にあったのが、製造責任者からの投げかけによって少し上にあがったように感じました。
普段は発達段階2の方ではなかったのでしょうね。ハッと気がついたようでした。

一生をかけて成長・発達を遂げる

成人発達理論は、一生をかけて成長・発達を遂げるという考え方を持っています。

VUCAの時代にこれからの人事は、ここに焦点をあて、お子さん(社員)も、親御さんも含めて意識段階を上げていくことを考えないといけない段階に突入したのかも知れませんね。



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