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J-REIT アセットタイプの違いと特徴

はじめに

 以前、J-REIT の長所と短所について触れてみました。

 J-REIT には様々なアセットタイプに分かれており、それぞれに特徴がありますので、それぞれの特徴について説明します。尚、それぞれのアセットタイプについては下記サイトでご参照いただけます。

事務所主体型(オフィスリート)

 J-REIT と聞くと、一番メジャーなのは事務所主体型だと思います。このタイプはオフィス型とも呼ばれ、オフィスリートと呼ばれることもあります。J-REIT の最古参の銘柄といえば「8951 日本ビルファンド投資法人」です。したがって、このタイプが J-REIT の祖であると言えます。
 現在、10 種類の事務所主体型が上場してます。その中でも前述した日本ビルファンド法人のように大型オフィスビルを得意とするものや、8975 いちごオフィスリート投資法人のような中規模オフィスに特化したものがあります。投資を検討する場合には、それぞれの銘柄のポートフォリをを見て特徴を把握する必要があります。
 事務所主体型は、オフィスを主体としているので景気の動向の影響を受けやすいという特徴があります。コロナショックの直後は、緊急事態宣言により全体的に出勤が減り、空室率も若干上昇しました。最近は空室率も改善傾向にあるようです。
 事務所主体型は実際の物件を見に行けるというのも特徴の一つだと思います。事務所主体型を保有して、実際の物件を見に行けば、若干のオーナー気分を味わうことができます。私は過去に、自分の保有する事務所主体型リートの物件の中で働いていたことがありましたので、なんとも不思議な気分になったことがありました。

物流施設主体型(物流リート)

 次にご紹介するのは最近躍進している物流施設主体型です。現在 9 種類が上場しています。現在、E-コマースが普及してきており、物流の重要性が非常に増しています。過去は 8967 日本ロジスティクスファンド、3283 日本プロロジスリートぐらいしかなかったのですが、近年その数が増えています。
 過去は利回りが 4% を超える銘柄も幾つかあったのですが、近年投資口価格が非常に好調で、利回りが低下しています。とは言え、タイプ的には最も好調な部類に入ると思うので、投資判断が分かれる部分だと思います。
 個人的に思う物流施設主体型の欠点としては、ポートフォリオを見ても、物件の特徴が分かりにくいという部分があります。物件の写真を見ても、全部物流施設で、非常に似ています。したがって、区別がつきにくく、見ていても退屈してしまうというのが個人的な印象です。

ホテル主体型(ホテルリート)

 ホテル主体型は現在 6 銘柄が上場しています。元々、オリンピック需要があり、銘柄数が一気に増えた印象があります。また、コロナの影響が一番大きいのがこのタイプであります。また、ホテル主体型は、ホテルリートと呼ばれることもあります。
 元々は 8985 ジャパン・ホテル・リート投資法人だけだった記憶がありますが、元々総合型だった 8963 インヴィンシブル投資法人もホテル物件の取得を進めてホテル主体型となりました。他にも 3287 星野リゾート・リート投資法人や、3472 大江戸温泉リート投資法人など、特色のある上場リートがあり、銘柄によって個性が分かれるタイプとなります。
 全体的にコロナの影響で宿泊客が減りましたので、投資口価格は低迷しています。また、全体的にホテルの経営が悪化しているので、分配金も低迷しています。その中でも星野リゾート・投資法人は好調な投資口価格を実現しているので、タイプの中でも銘柄間で勝ち負けがハッキリつきました。
 コロナ以前は利回り 4% を超える銘柄も多かったですが、今後の見通しはコロナの状況次第だと思います。なかなか投資が難しいタイプとも言えます。

住居主体型(住宅リート)

 住居主体型はその名が示す通り、マンションなどの住居を中心に投資をするタイプのリートです。現在、5 種類の上場リートがあります。住居主体型は住居を主体としているため、稼働率が高く、景気の影響を受けにくく安定していると言われています。しかしながら、実際投資してみますと、REIT指数が下がるときは住居主体型も同じく下がりますので、そこまで抜群の安定性を誇るかというと、個人的には疑問が残ります。
 3269 アドバンスレジデンス投資法人がこのタイプでは最大の銘柄となります。一方、8979 スターツ・プロシード投資法人のように規模が小さい通好みの銘柄もあります。個人的には、8986 大和証券リビング投資法人は複合型となっていますが、住居の比率が高いので住居主体型と考えて良いのではないかと思います。

商業施設主体型(商業リート)

 ポートフォリオに大型の商業施設を含むタイプが商業施設主体型、商業リートとなります。現在は 3 種類が上場しています。3292 イオンリートは特色のある銘柄で、イオンにのみ投資をしています。また、この銘柄はマレーシアのイオンにも投資をしているという特徴があります。
 元々、現在の 8953 日本都市ファンド投資法人が最も規模の大きい商業リートでしたが、合併の影響で現在は総合型となっています。一方、現在複合型に分類されている 2971 エスコン・ジャパンリート投資法人は、地方の商業施設への投資が主となっているので商業リート特色が強いように思います。
 緊急事態宣言時には商業施設が大きな影響を受けましたので、一時期よりは大分回復しましたが、未だに若干利回りは高めです。また、以前は人口が都市部に集中する傾向があり、地方の商業施設は苦戦していました。しかし、コロナによる労働環境の変化により、近年地方の人気も若干増えています。このように人口の流動性に影響を受けやすいタイプであると言えます。

ヘルスケア施設主体型(ヘルスケアリート)

 ヘルスケア主体型は主に高齢者施設・住宅への投資を行うリートです。過去には 3 銘柄が上場しており、大変人気があった時代もありました。しかし、現在銘柄の合併などにより、3455 ヘルスケア & メディカル投資法人のみとなっています。この銘柄は病院をポートフォリオに持つことでも有名です。日本は現在高齢化が進んでおり、稼働率は高い印象があります。どちらかというと住居主体型と性質的には似ている印象があります。

総合型/複合型

 複合型/総合型については、上記で説明した物件のタイプが混ざったタイプとなります。3470 マリモ地方創生リート投資法人は、その名が示す通り地方の物件に注力している総合型となります。このように総合型であっても特徴のある銘柄もありますので、個々の特徴は個別に見ていく必要があります。

その他

 その他の J-REIT の分類については「利回りでみる」という考え方もあります。私は高利回りの銘柄に対して好んで投資しますが、高利回りの銘柄は時価総額も小さく、ボラティリティが高い印象がありますので、投資の際には注意が必要です。

まとめ

 今回は、J-REIT のそれぞれのタイプ別に特徴をまとめてみました。タイプが異なると、投資口価格の動きも異なってきますのでそれぞれの特徴を理解して投資していくことが大事かと思います。また、同じタイプの銘柄でもポートフォリオに特徴がある銘柄もあるので、個々の銘柄の物件を見て投資判断を決める必要があると思います。
 それぞれのタイプの特徴や、個々の銘柄の特徴が分かってくると、J-REIT への投資が楽しくなってきます。個人的には、個々の物件を自分で足を運んで見てみるのがお勧めです。それでは、J-REIT で投資ライフをご満喫ください。長文を読んでいただき、ありがとうございました。もし、取り上げて欲しいテーマなどありましたらコメントを頂けると幸いです。

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