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天命を待つのは、人事を尽くしたときだけにしときましょ。

タイトルで全部言ってしまっているので本文は蛇足でしかないのですが、それでもよければ、お付き合いいただけますと幸いです。

「人事を尽くして天命を待つ」ということわざがあります。
『天命を待つ』というワード自体にはネガもポジもなく「ただただ来たる運命を待つ」ということですが、ことわざ全体としては、なんとなく「根拠はないけどうまくいく」という楽観的な雰囲気がありません?

このことわざの語源になった故事は、
ずっと昔の中国の領土にめちゃくちゃ強い異民族が攻めてきたとき、指揮官が考えた作戦を手当たり次第に全部実行して「人ができることは全部やった!あとは運命を天に任せるのみ!」と言ったというやつですが、実際、このとき異民族の撃退に成功しているそうなので、ことわざにポジティブなニュアンスが入っているのもまあそれはそうなのかもと思います。

話が変わりますが、僕はわりと悲観的な人間で、「これはもう無理かもしれない」とわりとすぐ思うタチです。
ただ、実際に無理だったことがあるかというと、これが意外と少なく、キワキワで巻き返せたり、一度目はだめだったけど二度目でうまくいく(一度目でうまくいくよりむしろいい状況になる)ことが結構あります。
これまでは単に「自分は運がいいほうなのかな」と思っていたのですが、そういうことでもないのかもと思う出来事が先日ありました。

僕が参画している、他社が主幹のとあるプロジェクトのミーティングで、納期が迫っているのにスケジュールがかなり厳しいという報告を受けたプロジェクトマネージャーが、じっと考え込んだ末におもむろに「これは……天命を待つしかないですね」と言っていました。

前述のように、ことわざ自体が「なんとかなる」的な雰囲気を醸し出しているのと、『天命を待つ』というワードに中2ライクなかっこよさがあるので使いたくなる気持ちはよくわかります。
ですが、ここではプロジェクトメンバーとしてきちんと「おいおい『人事を尽くして』わい!?」とツッコまなければいけません。ほわっとした空気に流されてはだめです。
(実は、プロマネが唐突にプロジェクトを運任せにするという高度なボケであり、それにツッコむのが正解の可能性もありますが)。

このままではこのプロジェクトは爆死してしまいますが、まだAという手もBという手も残っています。どれも起死回生の一手ではなく、うまくいかないかもしれないし、正直効果は薄いと思うものです。
でも、なにもしないよりかはいくぶんかましです。
みんなで手分けして、できることを全部やることにしました。

まだプロジェクトの途中で納期を迎えてはいませんが、だんだんと「もしかするとどうにかなるかもしれない」と思える状況になってきています。

僕は自分のことを「運がいいやつ」と思っていましたが、実際のところは、できることを全部やっていたから、撒き散らかした種がギリギリで花開いていつも首の皮一枚で助かっていたのかもしれません。

ということで、天命を待つのは人事を尽くしたときだけにしときましょ。
人事を尽くさずに待っているだけでは良い天命はたぶん来ないので。

それでは、また。

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