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幻聴はその人を助けるものなのかもしれない…

今回は本のご紹介です。

https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/114328

精神科訪問看護ステーションで長年実践されている精神看護専門看護師の中村創さんが、精神疾患とその関わり方についてまとめた本です。

統合失調症をはじめ、うつ病、双極症、依存症、パーソナリティ症、神経発達症群、認知症、強迫症、不安症について著者の体験を交えながら解説しています。


訪問看護では研修を受ければ精神疾患の方の訪問をすることができます。

私も研修を受け、精神疾患の方々の訪問をしています。

しかし、今まで精神疾患の方々に関わってこなかったのでどう接していいか悩むことが多く、「自分の関わりはいいのか?」と自問自答しながら訪問をしていました。

そんな中この本に出会い、精神疾患の方々への関わり方が深まったように思います。

幻聴は否定も肯定もしない?

統合失調症では幻聴が主症状の一つです。
皆さん、看護学校では「幻聴は否定も肯定もしない」って習いませんでしたか?
正直これを習った時はピンときませんでした。
「え。じゃあ聞いてるだけなの?それで話している人は満足なの?」と。
ピンとはきませんでしたが、精神疾患の患者さん達との関わり方って分からないので、実習でも訪問看護でもこの「否定も肯定もしない」関わりをしていました。

幻聴によってその人が救われていることがある

しかし、この本では幻聴によってその人が得すること(疾病利得)やその人の願望が隠されていると紹介しています。
そして、幻聴を否定するのではなく、訴えをよく聞き、その人の症状からその人が求めていることや必要なことを考えていくことが大事だと。
つまり、幻聴はその人との関わり方のヒントになるということです。

学校で習ったこととは全然違いますね。
でも、私はこの考えの方がなんとなく納得感があります。
患者さんも話したことを否定されるのはイヤだよなって直感的にも思います。
本の中では著者の体験や科学的な視点も示されているので、説得力がありました。
今は少しずつ自身の実践にこの本で書かれていた内容を取り入れていっています。

まとめ

この本は精神科看護に新たな視点をもたらしてくれる良書だと思います。
著者の看護実践での成功、失敗も様々紹介されていていますので、一読されることをおすすめします。

看護は日進月歩ですね。
皆さんと一緒に少しずつ学んでいけたらと思います。

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