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「私、馬鹿だからわかりません」

写真 ホセ・オルテガ・イ・ガセット(1883―1955年)

「私、馬鹿だからわかりません」──これを謙遜の言葉と取るのは大きな間違いである。実際はその逆で、尊大さ、他責性などを詰め込んだものだ。

そして何よりこの台詞は、相互理解を抛棄し、一切の対話を拒絶する不寛容の表れである。自らの凡庸さを棚に上げ、いやむしろその凡庸さを誇り、凡庸さを強制しさえする。それは、かつてオルテガが嫌悪した「大衆」の姿を髣髴ほうふつとさせる。

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参考文献

  • ホセ・オルテガ・イ・ガセット(神吉敬三訳)『大衆の反逆』(ちくま学芸文庫)、筑摩書房、1995年


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