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野外保育『森のようちえん』を卒園した子ども達はどのように育ったのか

3月の卒業・卒園シーズン。
我が子(下の子)も今年度(2023年度)で卒園となりました。
通っていたのは、一風変わった野外保育スタイルの「森のようちえん はっぴー」。千葉県南房総市で活動しています。
「森のようちえん」という取り組み自体は、北欧諸国から始まったと言われていて、日本でもかなりの数、種類の森のようちえんが展開されています。

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暑い日も寒い日も、多少風や雨の日も、荒天以外は基本1日を外で過ごします。上の子もはっぴーを卒園し、下の子も今年度で卒園。2人合わせて(被りも合わせて)6年間お世話になりました。何かを教えたり、学ぶというよりは、子どもたちのやりたいことや主体性を大切に、保育者は見守るというスタイルです。

子どもたちは自然の中で日々何を感じ、経験していたのでしょうか。
結果我が子はどのように育ったのか、主観ではありますが、森のようちえんの活動と我が子の様子についてお伝えしようと思います。


森のようちえんの活動について

我が子が通っていたの森のようちえんは、月曜から金曜まで9:30〜14:30が基本的な保育活動の時間帯です。
場所は大房岬自然公園内を基本として、畑の活動や海の活動などをする場合、会場を移したりもします。
激しい雨や強風などの天候の際は、室内の活動に切り替えることもあります。
3歳〜5歳までの3クラスに分かれていますが基本的に一緒に活動をしています。その下の2歳クラスもありますが、時間が少し短いのと、活動は別となっています。

まず朝集まってから行うのは始まりの会。
休みが続いていたら休みの間に何があったのか話したり、歌を歌ったり、今日やりたいこと、行きたいところについて話し合ったり。
その日一日の計画を確認します。(と言っても基本子ども達の興味を大切に過ごします)

子ども達は起伏の激しい公園内を自分の足で逞しく歩き、芝生の広場で遊んだり、道の途中にある生き物や植物を観察したり、時には海岸まで降りて海で遊んだり、大房岬の大自然に囲まれながらたくさんの刺激を受けて毎日を過ごします。
また、友達とも遊びを通してコミュニケーションを取りながら関係性を築いていきます。


大房岬自然公園 森と海に囲まれたフィールドが園舎

予測できない自然の中での活動

自然の中では室内と違い、不確定要素の多い環境です。気温や天候などはもちろん、生き物や植物は人間にとって危険なものもいます。また斜面や階段、でこぼことした地面は歩きづらく、身体的なバランス感覚を研ぎ澄ませて活動しなければなりません。
人間のコントロールできない、予測できない状況の中で、自分で判断し、身を守りながら日々を過ごしています。
このことは、子どもたちにとって、かなり刺激的な毎日であることは間違いありません。
大人になり社会に飛び込んでいったときに、予測不能なことや、どうにもならないことがたくさん起こるのは、みなさんも体感値としてお持ちなのではないでしょうか。
これを幼児期に体験しておくことはとても大切なことだと思います。

森のようちえんを経験した我が子はどうなったのか

2024年度に小学校3年生になる女の子と、小学校1年生になる男の子がいます。我が子は2人とも森のようちえんを卒園しました。
森のようちえんに通っていたすべての子に共通するわけではないと思いますが、あくまで主観としてお話しします。

・アウトドア好き

当然と言えば当然ですが、キャンプや海で遊ぶといったアウトドアでの活動に抵抗なく、躊躇なく参加してくれます。休日も親が色々なところへ連れ回すのですが、今のところ快く付き合ってくれます。ちょっと不便なテントでの宿泊(最近はホテルの方が良いと言い始めましたw)や、体力を使う海山川での遊びも一緒に楽しんでくれます。アウトドア好きな親からしたら嬉しい子どもに育ってくれました。

まだまだキャンプには付き合ってくれます

・よく寝て、よく食べる

上の子は朝が苦手ですが、夜更かしもすることなく普段は21時頃遅くとも22時には就寝という感じです。アレルギーやちょっとした好き嫌い(肉が嫌い)がありますが、基本食べるの大好きで量もよく食べます。
そして、下の子は18時半には寝て朝5時に起きます。ちょっと早寝早起きすぎる感もありますが・・・。逆に肉大好きで野菜嫌いですが、上の子と同じく量をよく食べます。そして、2人ともお腹が空くと機嫌を損ねます。
2人とも日中の活動量が多いこともあるのか、よく寝てよく食べる子どもに育っていると感じています。

・好きなことをする集中力が高い

上の子は工作や小物作りが大好き。下の子は体を動かすことが大好き(今は野球にハマっています)。とにかく好きなことをとことん突き詰めます。上の子のクラフト能力はすでに親を大きく上回っていますし、下の子は朝起きてから夜寝るまで常に野球がやりたいと言っています。youtubeでプロ野球の試合を見ながら、解説者の言葉を一言一句記憶していますw。
好きなことにのめり込む性格は、森のようちえんで主体的に自分で判断して行動していたことが影響しているのではと思っています。

ミニュチュアアイス作りにハマる


どこに行っても野球。細長いものがあれそれはバットです。

・コミュニケーション能力が高い

上の子は比較的誰とでも仲良くやる感じです。森のようちえんに行っていたので小学校入学時点で友達はあまりいなかったのですが、今では仲良しの友達を見つけて小学校ライフを楽しんでいるようです。
下の子はこれから小学校入学ですが、自分が目立ちたい欲が強いようで、何かやるにつけて常に周りへアピールしたい目立ちたがり屋気質に育ったようです。
どちらの子も、初めて会った子に対してもあまり臆せずコミュニケーションを取れるように感じています。
森のようちえんでの屋外活動は自然環境下ですので、おもちゃやデジタルツールもありもせん。必然的に友達とコミュニケーションを取る機会が増えます。規模としては少人数ですが、より濃い人間関係を作る基礎となったのではないでしょうか。

・工夫して遊ぶ力が高い

砂浜に行けばひたすら穴を掘って過ごしたり、川に行けば石をひっくり返して生き物を見つけたり、森に行けば虫を探したり、とにかく遊び方はよく知っていると思います。また、室内でも広いスペースがあれば自分たちでルールを作って新しい遊びを考えたり、その場をどう楽しむか自分たちで工夫します。
一方でネットゲーム、テレビゲーム、スマホのアプリなどデジタルゲームをやりたい欲も高くなっています。自分の身体的な遊びとデジタルの遊びのバランスはこれから親の課題ではありますが、今ある環境で楽しむ力は森のようちえんでの活動が生かされていると思います。

保育活動を通して保護者も育てられている 

ここまで我が子ということでかなり主観的にお話ししましたが、もちろん全て同じように子ども達が育つわけではありません。ただ、森のようちえんの子ども達を見ていると、総じてみんな穏やかに育っているという印象です。そして、保護者の方も皆さん穏やかで園の運営にも、とても積極的に参加しています。

卒園式の日に、保護者だけで話をする時間があります。一人一言1年間振り返って感想を話します。想いが溢れて涙する場面もあります。そこで皆さん言われるのは、子どもを預けるというより、保育活動や子育てを通して保護者も人間として共に成長させてもらっていたということです。
森のようちえんの経営も課題があり、保護者も協力しながら保育活動をせざるを得ない状況という側面もあります。しかし、そこで保護者と運営スタッフ、保護者同士のコミュニケーションが生まれ、子育てコミュニティとしての森のようちえんが運営されているのだと思います。

仕事に集中したいのでなるべく園の運営や行事に時間を取られたくないという方にはあまり向かないかもしれませんが、子どもの育ちを共に見守っていきたいという方にはぜひお勧めしたい保育の方法です。
ぜひ皆さんもお近くでやられている森のようちえんの活動をチェックしてみてください!

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