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NPO法人つなげる の セオリー・オブ・チェンジ(ToC)のデザイン

今日はビジュアルコミュニケーションデザイン、インフォグラフィックスデザインの制作事例をアップします。

制作プロセスの共有が目的なので、画像の解像度はそこまで高くしておりません。正式なバージョンを見たい方は、クライアントであるNPO法人つなげるの公式サイトの方へお問合せください。


NPO法人つなげる Theory of Change 完成版

2020年春から足掛け1年半(ToC作成1年、デザイン化半年)をかけ、当法人では経営の骨子となる考え方を表すセオリー・オブ・チェンジ(以降、ToC)を作成しました。このToCでは、現代の日本社会において、多胎育児にはどのような問題があり、当法人がどのように多胎家庭に寄り添うことで問題を解決し、より良い社会を実現しようとしているのか、を分かりやすくまとめています。

NPO法人つなげるのプレスリリースより
NPO法人つなげる Theory of Change 完成版


【解説】NPO法人つなげるの
セオリー・オブ・チェンジ(ToC)について

ToCとは、社会課題の解決を目指す団体の経営の骨子を示すものです。ToCは、1990年代以降にアメリカで開発された方法論で、欧米等の多くのNPOで作成され、自分たちの団体の説明や、社会資源の獲得に用いられています。

ここに描いたNPO法人つなげるのToCは、主役である多胎ママ、ならびに社会の様々な関係者の方々とともに、NPO法人つなげるがどのような「成果」(矢印でつながる黄色とオレンジのボックス) を目指してどのような「取り組み」 ( 画像中央の楕円オブジェクト) を行うのか、を表現しています。なお、このToCにおける「多胎ママ」は、性別を問わず、日々多胎育児に追われるママ・パパなどの方々を意味しています。

ToCでは、一番下にある現状 (「システミック・プロブレム」:社会が抱える根源的な問題) から、一番上の未来 (理想的な状態) に向けて、成果、介入、前提が因果関係の形で図示されています。「長期成果」とは団体が説明責任を負う未来の成果です。その上の「究極成果」は、団体の説明責任の外にはありますが、様々の関係者の方々と究極的に作り上げたい、目標とする社会の姿が描かれています。未来の望ましい成果を達成するため、下に向けて逆算を重ねていくと、現在に行き着きます。

NPO法人つなげるは、その活動を通じ、いつの間にか孤立し、無力感に襲われ、厳しい状態におかれてしまった多胎ママが、他のママとつながり、支援者とつながり、社会とつながることによって、自立した育児ができるようになること、そしてそうしたママが今度は自ら新しい多胎ママを支援するような循環する社会 (エコシステム(生態系)) を作ること、を目指します。

なおこのToCでは、最もきびしい状態におかれてしまった多胎ママに注目し、その状態や行動がどのように変わっていくのかを描いています。もちろん、例えば実家等の支援を得られ、そこまできびしい状態にはない多胎ママも多くいらっしゃるかもしれません。しかし、NPO法人つなげるは、最もきびしい状態の多胎ママに寄りそったToCを描き、その達成を目指すことで、すべての多胎ママが適切な支援を得て自立できるような社会が実現できると考えています。

NPO法人つなげるのプレスリリースより
より詳細な情報を記載したToC完全版がこちら

今後NPO法人つなげるはこのToCに基づき、様々な状態の多胎ママに支援の手を差し伸べることで、究極的に「誰もが命の誕生を当たり前に喜べる社会を実現する」ことを目指して活動を続けていきます。その中ではToCの各段階に示された社会の状態(途中成果)が達成されているかどうかに関してデータを収集し、定量目標を設定して私たちの活動の意義(社会的インパクト)を統計分析により定量的に明らかにしていく予定です。

このToCは英訳も進めています。英語版が完成した際にはアメリカのCenter for Theory of Change(https://www.theoryofchange.org/library/toc-examples/)にご掲載頂く予定です。日本発の多胎支援事例を、グローバルに発信いたします。

NPO法人つなげるのプレスリリースより

桑畑よりプレスリリース時のコメント

NPO法人つなげるのToCをビジュアライズ(可視化)することによって、二つの成果を生み出すことができると考えました。

一つ目は、これまで関係者が議論を重ねて紡いできた言葉を、より魅力的によりわかりやすく発信できるようにすること。二つ目は、ビジュアライズ(可視化)することによって、関係者の中で新たな発見やアイデアが生まれ、ToCがより鮮明に力強いものになること。おそらく、一つ目の期待から今回のビジュアライズ(可視化)をご依頼いただいたと認識しておりますが、理事の皆さんの素晴らしい姿勢と取り組みによって、二つ目の成果が想像以上のものになったと考えます。

多胎児の育児で悩まれている方たちは、国内の人口の割合からしたら少数派かもしれません。しかし、その一人ひとりに本当に貢献したい、そしてその人たちに貢献することが多胎児の保護者だけでなく、究極成果に掲げた『誰もが命の誕生を当たり前に喜べる社会を実現する』ことを信じて紡ぎ出した結晶だと感じております。

今回のビジュアライズ(可視化)がゴールではなく、NPO法人つなげるに関わる皆様の羅針盤であり、そして本当のスタートになれば、関わらせていただいたデザイナーとしてこれ以上の喜びはありません。

本日、NPO法人つなげるの
クラウドファンディングに寄せたコメント

子どもの頃、自分自身が双子になることを何度も夢想しました。
実は、生き別れの双子の弟がいるんじゃないか?って。

映画やマンガの影響で、双子には憧れしかありませんでした。
三つ子や四つ子の方に実際に出会った時は、ただただ感動しました。

そんな裏にある、多胎児育児の“課題”は、
NPO法人つなげるのみなさんとの関わりの中で初めて知ることになります。

親族に多胎児がいるか、もしくは保育に関わっていないと
多胎育児の“課題”を知る機会は中々ないのではないでしょうか。

そして、知れば知るほど、
多胎育児が抱える“課題”は『社会課題の縮図』だと感じます。
決して、少数派に限定した話ではありません。

多胎育児への課題に取り組むことによって、
様々な社会課題の解決への糸口が見えると考えます。

NPO法人つなげるの人たちは、
楽観的でもなければ、悲壮感漂う印象もありません。
ひとつひとつ、ひとりひとりの悩みに寄り添い、
そして、真剣にいきいきと活動されているように見えます。

そんなNPO法人つなげるのみなさんを心より応援しています。

NPO法人つなげるの活動が広がって、
一人でも多くの人に知っていただくことが、
誰もが命の誕生を当たり前に喜べる社会の実現へつながると信じています。

↓ NPO法人つなげるが、現在チャレンジ中のクラウドファンディング



セオリー・オブ・チェンジ(ToC)とは

私桑畑が、エンドオブライフ・ケア協会とのご縁で知り合った田辺大さんが代表を務める一般社団法人です。日本医療デザインセンターでも昨年、大変お世話になりました(そろそろお披露目しないと…)。
セオリー・オブ・チェンジの詳細は以下の、公式サイトよりご覧ください。

エンドオブライフ・ケア協会のセオリー・オブ・チェンジのPDF版のダウンロードはこちらから
https://endoflifecare.or.jp/files/ELC_annual_report_FY19_202004_final.pdf


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