vol.130 Q.何かの決定において、意見がまとまらない時の対処方法は?(自己内対話60)

A. 意見の対立が起きたり、あちらを立てればこちらが立たずのような複雑な状況において、何かを決定していかなければならない状況は毎日のようにどこかで起きていますね。

民主主義では多数決で決めてしまうことが多いわけですが、ここでは、さらに進化したプロセスを紹介します。

まず、メンバー間の意見に対立構造がある場合、「①テーマに関する理解の不十分 ②使われている言葉の定義が共有されていない ③それぞれのメンバーの思いや信念が共有されていない」といったことがあります。

①については、そもそもテーマについての理解が不十分なために、議論が空中戦になっている場合です。そのテーマについてリソースを持っている人に話をしてもらい、話し合いのメンバー全員の理解の底上げをして知識の濃淡やでこぼこをならすところから再スタートします。

②については、対話によって、その言葉をどう定義・解釈しているかを深堀りして、メンバーが共通した理解のもとで、言葉を使っていくことを促します。これにより、違う言葉の定義による誤解を防ぎ、本質に迫った議論に向かうことができます。

③については、メンバーの背景や思い・信念をじっくり聴く機会を作るということになります。ある意見に賛成する・反対する理由というのが明確になり、例え相手と違う意見を自分が持っているとしても、その背景や思い・信念があるならばそうなっていくだろうということが理解され、互いの主張に対してリスペクトができるようになります。

そうして対立構造が見える化してきたら、対立構造の上にある上位概念を整えていきます。このテーマの本質は何なのか?誰のための何を目的にしたものかを明らかにしていきます。そうしていくことによって、この上位概念は納得できるものという核をみつけていきましょう。

最後に、その上位概念を実現していくための現実的な方策を考えます。方法については、状況にあわせて最適なものの選択は変わってくることでしょう。ここは意見がさらにまた割れるかもしれませんが、互いに持っているアイデアの欠点をフォローし納得できる第3案が生まれてくる可能性も高くなっています。

実際に、対立構造を超えて上位目標として合意形成した身近な好例としては、「国連のSDGs」があげられると思います。SDGsは、2016年から2030年の15年間で達成が目指されている国際的な目標で、貧困、飢餓、ジェンダー、教育、環境、経済成長、人権など、幅広いテーマをカバーしています。先進国・途上国すべての国を対象に、経済・社会・環境の3つの側面のバランスがとれた社会を目指すもので、2015年9月に国連で開催された持続可能な開発サミットで、150か国を超える加盟国首脳の参加のもと全会一致で採択されました。

機械的に多数決を取るのではなく、上記のような方法により、参加メンバーの納得感の高い最適解を見つける試みをしてみください。

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