vol.121 Q.自分が対話をする意味って何でしょうか?(自己内対話51)

A. 鏡があると自分の顔は確認できますが、心は鏡で映し出せません。対話をする意味、それは心の鏡をみる手段の意味が大きいです。対話は、他者とする対話、作品(芸術、文芸など)とする対話、自分自身との対話(リフレクションや内観)などの種類がありますが、一つ一つみていきましょう。

1つめとして、他者と対話すると何が起きるか。地球の全人口は2023年現在で80億人を超えたようです。この1人1人が違う考え、違うものの見方をもっています。例えば、「リラックスする」という言葉について対話したとすると、なんとなくの共通項は見いだせるからその言葉が存在しているわけですが、細かいニュアンスの違いは、話してみるといろいろ出てくるものです。そして、自分が定義している言葉を自分が発信していたとしても、その同じ心象風景を目撃するように他者が理解していることは原理的にないわけです。そこで、対話によって何が同じで何が違うのかを発見することができます。

もし、仕事でも人間関係でもよいですが、Aさんと歩調を合わせたいと考えているのにどうもうまくいかないというときは、いろいろ言葉の定義をつきあわせて対話してみることをお勧めします。同じ言葉を使っていても全く異なる概念理解のもとに使っていれば、なるほどそこに違いがあるのに、同じと想定しているから誤解があるのだなぁというのがわかるはずです。

2つめとして作品との対話。本でも映画でも美術作品でも音楽でも、見る・聞く・触る・味わう等、五感を通じて対話するように、対象作品と対話してみます。そこから感じること、受け取ることは何でしょうか?またそれに触発されて自分が発信したくなったころは何でしょうか? あなたは、そういう多様なものを体験するためにわざわざこの3次元物理空間にいるともいえます。作品との対話によって、あなた自身というものを知る機会が提供されています。

3つ目として自己との対話。気づき、考え、行動の内省をすることは自己との対話。心に何が映っているのかをじっくり見つめることで、あなた自身が発見されます。自分語りを他人に聞いてもらったり、日記を書いてみたり、気づいたことをノートに書いてみる、その心象風景を絵として表現するのも良いでしょう。昨日までは見えなかった自己発見につながっていくはずです。


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