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いわきFC:ロアッソ熊本は、いわきFCの進化形か?

 J2リーグ第19節、6月3日(土)、対ロアッソ熊本戦をグリーンフィールドで観戦。結果は、0-4の敗戦。スコアを見ると完敗のようだが、いわきの時間帯もあり、「あそこで決まっていればどうなっていたか」という試合であった。特に、前半9分の谷村のシュート、GKに阻止されたが、こぼれ球に味方が反応できなかった。リーグ最少得点(最多失点タイ)を象徴するような場面であった。一方、熊本の4点目は、こぼれ球が熊本の選手に有利なところに転がった結果だ。いわき後半42分の吉澤選手のシュートも、無情にもポストに嫌われ、結局、こん節も前節に引き続き無得点で終わった。
 ところで、グリーンフィールドは、専用スタジアムなので、ピッチ近くで観戦できるのがありがたい。この日は、午前中のぐずついた天気も昼には晴れて、コンディションは最高だった。熊本のサポーターが意外と少なかったが、後で聞いたところによると、応援ツアーのバスが常磐道で通行止め(大雨のため)に会い、途中から引き返したとのことだった。くまモンは、しっかりと来ていたので(おそらく前日から)、快勝を見届けられなかったサポーターには同情。
 熊本は、前節山形にホームで完敗(0-3)していたので、入りは固い印象だった。しかし、16分に先制するとすっかり落ち着き、その後は「強いチームではないか」との印象を与えた。特に、寄せの速さは、いわき同等かそれ以上。スタミナもあり、最後まで足は止まらなかった。このチームがどうして12位に?と何回も自問した。前節のヴェルディ、前々節のジュビロに比べて、インテンシティがとても高いチームであった。今後、上位に食い込んでいくのではないか。セカンドボールへのチャレンジにしても、プレスバックにしても、熊本の選手たちは、寄せが素早かった。つまり、狭い地域でのアジリティ(俊敏さ)に長けていたのである。スタイル的には、いわきと似ている面があり、現在のところ、熊本の方が質的にほんの少しだけ上回っているのだろう。この文章のタイトルでは、「進化形」という言葉を使ったが、両者の差は極めて小さいと思う。
 ただし、いわきが熊本を上回るには、それなりの工夫が必要だろう。例えば、試合前の練習で、熊本は珍しいボール回しをしていた。バックスタンド側だったので、目の前で見ることができた。最初は、何をしているかよく分からなかった。約5m四方に、10名(?)の選手が密集して、ボール回しをしていた。赤いビブスが3名、青いビブスが3名、ビブスなしが3名と、黄色いビブスが1名(トップ下で出場した平川怜選手)。基本はボールのつなぎで、スクエア内の3対3がボール保持を競う形。黄色のフリーマンを入れると4対3、辺にいる3名を入れると7対3の攻撃対守備となる。守備側の3名がボールを奪うと攻守が入れ替わる。狭いエリアで、守備の3名がボールを奪いに来るのを相手となる3名は、フリーマンと外側をうまく使いながらボールを保持する訳だ。実際の試合でも、平川怜選手(背番号17)が効果的な動きでボールをさばいていた。この試合前練習は、即効性を目的としていた。
 一方、いわきFCの得点力不足は、かなり深刻なのだが、画期的な工夫でそれを打開してほしい。前回でも触れたサッカーマンガの「アオアシ」では、次のような印象的なセリフがあった:僕は、フィジカルという言葉は、テクニックのない人間の言い訳だと思っています(ユース所属でトップチームの試合に途中出場し活躍した栗林選手のヒーロー・インタビューでの言葉)。いわき=フィジカルでは、もう通用しない。テクニックも一段上げなければならない。シュートについては、コンマ何秒かの中でのテクニックの優位性が必要ならば、それを磨く術が必ずあるはず。例えば、いわきの攻撃で観客を沸かせていたのは、永井、加瀬選手のドリブル突破だった。残念ながらゴールには結びつかなかったが、可能性は感じさせた。永井選手と言えば、20番の背番号を着た20名弱の小学生グループがバックスタンド最前列に陣取って応援していた。永井選手、次は彼らにゴールをプレゼントしてくれ!
 なにしろ「アオアシ」の真骨頂は、考えられないほどの成長力である。マンガのストーリーの実現を期待している。信じられないほどの「成長」を見せてほしい!
 
 
 
 
 
 
 
 

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