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新宿の南 人びとの西

さまざまな私鉄、地下鉄、JR各線が集中する、
巨大なターミナル駅、新宿。

人々のカオスと言っても良い新宿エリアの脇、
人々の最終目的地となりにくいからなのか、
みんな見たことあるけれど通過してゆく、
急行も快速も止まらない駅。

顔は知ってるけれど、
話したことのない2件隣の住人みたいな、
近いのに、なんだか遠くにある様な、


そう言えばあったなぁ…的な感じの、

南新宿駅


カラダに例えると、
なんとなく頭が東京駅で、
新宿は肩あたりでしょうか。

肩から伸びる腕は、
その先の肘や手の平につながってゆき、
さまざまなものを掴んだりする。
だから肩は、
注目され、ケアされ、強化もされる。


肩から近いけれど、
あまり気に留められない場所、
たとえば、二の腕の裏側辺りは、
注目されたり強化されたりしないので、
いい感じでタルんだりする場所、
そこにあるホクロみたいな感じの駅、
南新宿駅。

まだ桜がハッキリと咲かない、
春になる前の天気の良い3月、

平日、
下北沢というキャラの立つ街へ行くために、
カオスのようなキャラ立ち過ぎの新宿を、
南に避けて、スマホの案内をやんわり無視して、
代々木で降りてみた。

なんだか、
新宿の高層ビルから見下ろされ、
自分がてんとう虫になった気分で、
住宅街を抜けつつ、
「この道でいいの?」な感じの、
ゆるい坂をフラフラと下り、

明らかに駅前!って呼べるスペースのない、
改札だけの、幻の様に佇む
南新宿駅へ。



午後3時を過ぎた辺りの、
注目に値しないゆるい時間に、

二の腕の裏側にある、
何年振りかに見たホクロみたいな、
誰もいないベンチで、

快速が2本通過するのを見た。

ここは新宿の南、人々の西



僕が見た風景は蜃気楼だったのか、

それとも、新宿のカオスが蜃気楼なのか…。

南新宿駅 中々いいなぁ


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