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「デジタル看護入門」看護のDXに必要な100のポイント

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数年前から、「看護教育のDX」を研究テーマとして活動している筆者が、できるだけわかりやすく「看護とICT」について解説していきます。実際の看護学校で活用できるようなさらにポイント… もっと読む
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2021年8月の記事一覧

「デジタル看護入門」第15回 〜在宅医療とICT その2〜

 前回に続いて、在宅における酸素療法について、お話しします。 ★HMV(Home Mechanical Ventilation:在宅人工呼吸療法) 在宅人工呼吸療法とは、呼吸器の慢性疾患や、難病などにより、神経・筋疾患など障害があり、呼吸の補助が必要な患者さんに対して、在宅で人工呼吸器を使用する治療法です。前回、説明しましたが、HOT(在宅酸素療法)は、自分で呼吸ができるが、ガス交換が不十分のため、酸素を補う治療法で、このHMVは、呼吸そのものが自身では難しいため、その補

「デジタル看護入門」第14回 〜在宅医療とICT その1〜

 前回の最後に、在宅療養をしている患者さんにも人工呼吸器が使用されているというお話をしましたが、今回は、在宅医療における医療機器、とくに呼吸器系の解説をします。いくつか種類がありますので、簡単にご紹介します。 ★HOT(Home Oxygen Therapy:在宅酸素療法) おそらく呼吸器系の疾患の患者さんの在宅療養で、一番歴史のある療法かと思います。昔は、機械ではなく、直接、あの大きな酸素ボンベから直接、酸素吸入を行っていましたが、現在では、空気中から酸素を取り出す、吸着

「デジタル看護入門」第13回 〜人工呼吸器とICT〜

前回は、呼吸の観察に関する医療機器を解説してきましたが、今回は、おそらく看護師さんが一番苦手とする医療機器である「人工呼吸器」です。なぜ苦手なのか、それは人工呼吸器の種類や機能がとても多く、さらにICT技術の進化により、どんどん人工呼吸器もバージョンアップされているからです。進化が遅い医療機器も紹介してきましたが、人工呼吸器に関しては、進化がとても速い医療機器のひとつです。 人工呼吸器は、呼吸不全の患者さんへ使用されます。人工呼吸器を使用する目的は、呼吸の状態を改善する

「デジタル看護入門」第12回 〜呼吸の観察とICT〜

 前回までの解説で、パルスオキシメーターと聴診器について、お話ししました。今回も「呼吸」に関する内容ですが、じつは呼吸数や呼吸の程度を測定する機器は、厳密にいうと心電図モニターで間接的に測定する機器(心電図モニターの3誘導の装着部位(赤・緑・黒)が、呼吸による胸郭などの動きで、それぞれの移置が変化することにより、呼吸状態を感知して、呼吸の程度と呼吸数を測定しています。)くらいしかありません。呼吸の程度や呼吸数については、ICT技術が進化しても、医師や看護師の直接的な観察、つま

「デジタル看護入門」第11回 〜酸素飽和度測定器とICT〜

 今回は、ひとむかし前までは、一般的な患者さんのバイタルサインとしては、それほど測定されていなかった「酸素飽和度」いわゆるサチュレーションです。パルスオキシメーターが高価であり、まだあまり普及していなかった頃は、ICUなどの重症患者さんのベッドサイドモニターなどで「酸素飽和度」を測定するしか方法がありませんでした。ICT技術などの進歩により、パルスオキシメーターがコンパクトになり、体温計のように持ち運びができるようになり、そして安価になりました。今では看護師さんひとりひとりが

「デジタル看護入門」第10回 〜聴診器とICT〜

 聴診器は、日常的に医師や看護師さんが医療現場で用いられている、ごく身近な医療機器です。聴診器は、開発されてから、約200年ほどの歴史がありますが、実は今まで、あまり進化してこなかった、ある意味、めずらしい医療器具でもあります。といいますのも、おおくが患者さんの呼吸音や心音を直接、聴診器で聴診する方法に、あまり不便を感じていなかった部分もあり、聴診器を使用する医療従事者もある程度、限られていたため、あまり新しい技術の投入や、聴診器の改良などが行われなかったという背景があります