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【一人で勝手に旅気分】337

(過去の旅についての振り返りです)
★引き続き関わるのに、去らねばならない不思議な立場(2023年年3月10日)

【記事累積:1973本目、連続投稿:906日目】
<探究対象…タイ、バンコク、在外教育施設、オンライン授業、閉校>

今日の「ナゼ・ナゾ」は、タイ・バンコクの写真です。この写真を撮影したのは、昨年度住んでいたタイ生活がそろそろ終わりを迎える頃でした。さて、どんなところが「ナゼ(疑問を持った)・ナゾ(気になった)・アンテナ」に反応したのでしょうか。

1年前の今頃、私はタイのバンコクに住んでいました。当時は、バンコクにある私立在外教育施設の「如水館バンコク高等部」という学校にフルタイムで勤務していたのです。そして1年前の2023年3月10日は、この学校との繋がりが大きく変わる日でした。

この日は3学期最後の日で、次に生徒たちが登校してくるのは、4月中旬のタイ正月(ソンクラーン)が終わってからでした。そして、私はこの日で彼らと対面授業で接する教員ではなくなることが決まっていたのです。4月からは再びラオスのビエンチャンに住み、メインはビエンチャンの在外教育施設で教員をすることになっていました。ただ、バンコクの生徒たちとの繋がりはゼロになるわけでなく、4月からはオンライン講師という形で遠隔授業をすることになっていたのです。

今日の写真に写っているのは、2023年3月10日の職員室の写真です。私がここに注目した理由は何であるのか推察してみると、来年度も授業を担当するにも関わらず、職員室の荷物を撤去しなければならない状態だったからだと思います。次の年度も授業は担当するものの、居住国はタイではなくラオスになるため、授業のたびに学校に出勤して職員室を訪れることなくなるので、私は一般的な離任の教員と同じように、使っていた机や棚の荷物を完全に撤去する必要があったわけです。

新型コロナウイルス感染症の世界的な広まりによって、オンライン授業は非常に身近なものになりました。日本国内の学校に勤めていたとき、オンライン授業をした経験はありました。しかしそのときは、生徒は自宅にいるものの、教員は学校の教室からの配信だったり、教員も自宅からの配信だったりしました。ただそのどちらにしても、学校の職員室に荷物はありました。

そのときと、今年度のオンライン授業との違いは、メイン空間とサブ空間の関係性だと思います。前者の場合、メインで教育活動を行う空間はあくまでも学校で、自宅などの学校外はサブの空間でした。オンライン授業は行われているものの、多くの時間はメインの空間と繋がっていたため、荷物はメイン側の学校にあったわけです。これに対して後者の場合、メインで教育活動を行う空間はビエンチャンの自宅でした。そして学校は私にとってはサブの空間(授業を受けている生徒にとってはこちらがメインの空間)となるわけですが、移動は容易ではないことからサブというよりもゼロの空間になることが予想できました。そのためサブにすらなりえない学校に荷物を置いたままであることの意味はなかったのです。

今回の「ナゼ・ナゾ」は、授業はあるのに去らねばならない職員室の写真でした。学校との繋がりがなくなる離任ではないのに、荷物を撤去しなければならない状況は、これまでの教員生活で経験したことがない貴重で不思議なものでした。そしてラオスに住みながら、タイに住んでいる生徒たちにオンライン授業を提供するという経験も貴重で、特に授業展開について多くの学びを得ることができました。しかも一時的ではなく、全てオンライン授業になることが分かっていたので、1年間を通した遠隔でどのように進めていくかというオンライン授業のフォーマットについても試行錯誤できたわけです。そのため、発問、課題の出し方、フィードバック、定期考査、採点・返却・解説など、オンライン授業における理想(したいこと)と現実(できること)のバランスでも、膨大なヒントをいただけました。

そんな貴重な経験ができた如水館バンコク高等部のオンライン授業ですが、来年度はそのチャンスはありません。現在の学校のホームページを見ると、「本校は2024年3月31日を持ちまして閉校させていただきます。」というメッセージが書かれています。新型コロナウイルスの影響もあり、生徒募集は2021年度を最後に停止としていました。そして最後の生徒募集で入学してきた学年が、2024年1月末の卒業式で巣立っていき、2008年開校からの16年間の歴史は幕を閉じました。これまで5つの在学教育施設の教員をしていますが、閉校の年度に関わることができたこともまた貴重な経験だったと思います。ただ今年度の学校のリアルな姿は見ていないので、何とか時間を見つけて如水館バンコク高等部の最後の姿を直接見たいと思います。

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